首折り男のための協奏曲 の商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
久しぶりに伊坂作品を読むと、いつも感じる独特の疎外感がある。たとえば黒澤が出てくると、あぁこの人、しょっちゅう出て来るんだけど、具体的にどんなことをしてきたか思い出せないんだよなぁ、と。伊坂作品ならではの内輪ネタを私も楽しみたいのに、新作を読みたいばかりに旧作を読み返す気力がない。だからいつもこの疎外感を感じながら、シニカルで軽妙な会話劇をまた読み始めてしまう。 「人間らしく」での神様の仕事の仕方に関する考え方は新鮮だ。神も仏もいやしない、と思ったときに思い返したい一場面。思い詰めてしまったり、絶望したときにふっと気を楽にさせてくれる、前向きな諦めのような光が見える言葉に感じた。 「合コンの話」ではピアニストの話が印象的。自分の幸せに罪悪感を感じたことは誰しもあるのではないか。とくに災害の悲しみに思いを馳せるこの時期には。自分の譜面に向き合うこと、他人の演奏の成功を祈ること。たった数行で記されたこの話が、私には誰かの心を救う答えのように感じた。 伊坂作品は、時々こうして気持ちを軽くさせてくれるような、大事なときに思い返したいような、そんな言葉をくれる。忘れないでおきたい、と思える言葉に出会えるのは、私にとって本を読む喜びのひとつだ。だから、毎度疎外感を覚えたとしても、また彼の作品を読みたいと思ってしまう。
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大好きな伊坂先生の作品を久しぶりに読んだ。元々短編集だったことを知らずに読んだので、最後一体どうやってまとまるのかと訳がわからなかった。個々の話自体は面白かった。
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連作短編集だと思い注意深く読み進めたけど、登場人物がかぶっているだけで特に繋がってなかった(と思う) でも何か隠されてそうで再読したい。
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連作短編集 1.「首折り男の周辺」 2.「濡れ衣の話」 3.「僕の船」 4.「人間らしく」 5.「月曜日から逃げろ」 6.「相談役の話」 7.「合コンの話」 タイトルが無気味で少し敬遠していたが読んだら面白かった 伊坂作品ではお馴染みの泥棒の黒澤も登場 個人的には「僕の船」「合コ...
連作短編集 1.「首折り男の周辺」 2.「濡れ衣の話」 3.「僕の船」 4.「人間らしく」 5.「月曜日から逃げろ」 6.「相談役の話」 7.「合コンの話」 タイトルが無気味で少し敬遠していたが読んだら面白かった 伊坂作品ではお馴染みの泥棒の黒澤も登場 個人的には「僕の船」「合コンの話」が良かった
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初め作品名を見て、ホラーだと思っていて読むのが怖かった。だか読んでみると協奏曲というだけあり、心地よい繋がりがあった。2度目も読みたいと思えた本だった。 特に曜日の題のところは、特に好きだった。 様々な描かれ方が、作品を飽きさせず、読者を惹き付けるようだった。
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首折り男や、それに関わる人間たちの不思議な連作短編集。それぞれの物語は独立しており、全く異なる趣を見せているが、どこか世界観が繋がっているスモールワールドの中にある。主人公たちは他の物語の登場人物たちの行動によって、バタフライエフェクトのように影響されて、物語が変容していく。時空...
首折り男や、それに関わる人間たちの不思議な連作短編集。それぞれの物語は独立しており、全く異なる趣を見せているが、どこか世界観が繋がっているスモールワールドの中にある。主人公たちは他の物語の登場人物たちの行動によって、バタフライエフェクトのように影響されて、物語が変容していく。時空や運命みたいなものがねじ曲がって物語の世界を包み込んでいる感覚を覚えた。
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読み終えた時のしみじみとした充実感、伊坂作品独特の感覚。作品のベースに首折り男がいて、まさに協奏曲。本当に素敵な作品ばかりでした。合コンの話は見事。伊坂氏でなければ読めない作品です。メロディーが流れる余韻のあるラストは本当に素晴らしいです。サイン本購入したのに長い間読めず、やっと...
読み終えた時のしみじみとした充実感、伊坂作品独特の感覚。作品のベースに首折り男がいて、まさに協奏曲。本当に素敵な作品ばかりでした。合コンの話は見事。伊坂氏でなければ読めない作品です。メロディーが流れる余韻のあるラストは本当に素晴らしいです。サイン本購入したのに長い間読めず、やっと読めました。いつまでも大切にしたい本です。
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元々は関係のない短編だったようですが、加筆修正により一本になったんだか、ならないんだかって言う感じの物語です。 タイトル通り前半と最後は首折り男の話なのですが、間は黒澤という探偵で空き巣の話です。 誰か彼かがどこかの物語で繋がっている連作のような短編集です。 はじめて伊坂幸...
元々は関係のない短編だったようですが、加筆修正により一本になったんだか、ならないんだかって言う感じの物語です。 タイトル通り前半と最後は首折り男の話なのですが、間は黒澤という探偵で空き巣の話です。 誰か彼かがどこかの物語で繋がっている連作のような短編集です。 はじめて伊坂幸太郎作品を読んだのですが、読みやすく面白い。 非常に気に入ったのが「月曜日から逃げろ」ですね。 文中で種明かしはありますが、時系列把握するまで若干混乱します。叙述トリックみたいで楽しいです。 ポイントポイントでクスリとするような表現が多く、結構な数の「死」を扱ってるのに明るい感じがしますね。 とにかく楽しかったです。
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いくつかの雑誌のために書いた短編に、少し手を加えて、緩やかに繋がりを付けてまとめた本。 繋がりのキーワードは「首折り男なる人物」と「黒澤という泥棒」。 元々が関連した話ではないので、1話完結していて、ちょっとのスキマ時間に少しずつ読んで楽しめる。 小気味よいセリフの応酬や、時間...
いくつかの雑誌のために書いた短編に、少し手を加えて、緩やかに繋がりを付けてまとめた本。 繋がりのキーワードは「首折り男なる人物」と「黒澤という泥棒」。 元々が関連した話ではないので、1話完結していて、ちょっとのスキマ時間に少しずつ読んで楽しめる。 小気味よいセリフの応酬や、時間軸のトリックなど、伊坂ワールドを片手間に楽しむのにはもってこいの作品集。
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弱い関連のある話を中心にまとめられた短編集。短編の割に伊坂氏らしい話が多くて楽しめました。ただ、引き込む力は少し弱く、ペースはあまり上がりませんでした。
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