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東京ロンダリング の商品レビュー

3.7

116件のお客様レビュー

  1. 5つ

    17

  2. 4つ

    46

  3. 3つ

    40

  4. 2つ

    2

  5. 1つ

    1

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2024/07/23
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

原田ひ香さんの淡々とした中にあるあたたかさがすき。 ロンダリングというお仕事、 とてもじゃないけど私はできないなあ。。。 でもこういうお仕事をしてくれる人がいて、 不動産屋的にはとっても助かる。 お仕事をとおして、自分を見つめ直し、 人生を再生できるのは素晴らしいことだなと思った。

Posted byブクログ

2024/06/16

事故物件に約一ヶ月だけ住み"ロンダリング〈浄化〉"するのを職業としている30代女性が主人公。離婚後行く宛てのなかったりさ子がたどり着いた不動産屋で「家賃はいらない。住んでくれるならお金をあげる。だからこの物件に住まないか?」と先の住人が急死したアパートをすすめ...

事故物件に約一ヶ月だけ住み"ロンダリング〈浄化〉"するのを職業としている30代女性が主人公。離婚後行く宛てのなかったりさ子がたどり着いた不動産屋で「家賃はいらない。住んでくれるならお金をあげる。だからこの物件に住まないか?」と先の住人が急死したアパートをすすめられたことから始まった。自死、変死、傷害事件などがあったいわゆる事故物件は、不動産業者は次の借り手に対して告知する義務がある。でも、一度借り手がついて人が住んだならばその後は告知する義務が無くなる。それ故にりさ子のようなロンダリングを生業とする者が必要なのだとか。現実にそのような人達がいるのかしらないけれど、居るのかもしれない。(事故物件住みます芸人さんみたいな方もいますし。)それはともかく、幽霊とかの騒動なんかもあるのかな?と期待したのですが、そういう方面は一切なく、あくまで人間劇場でした。行く宛てのなかったりさ子が心の居場所を見つけるまでの、心温まる物語でした。うかつにも序盤の頃は、りさ子の事故物件暮しがとても自由に見えてちょっと羨ましいかも?とか思ってしまったのですが、実際危険も伴うし、精神衛生上の問題もありますし、何より身元が怪しい人に貸してまた事故を起こされたらシャレにならないので誰にでもできる訳ではない様子。人を選ぶのは頷けます。りさ子は最初こそ心配要素ばかりでしたが、最後の方は、私が住むことでこの物件が必ず浄化されるというプロ魂すら感じられて、素直に感動しました。それと、こういう能力を持った人、世の中にはいるかもしれないなぁと思いました。お祓いとは意味が違いますね。劇中でも言われてましたが、こういうロンダリングの必要性はなくなっていくどころか、むしろ増えるかもしれないですよね。増えてはいけないのですが。 事故物件紹介のインターネットサイトって〈大島️○る〉のことですかね?不動産屋さんにとったら確かに目の敵にされそう。

Posted byブクログ

2024/06/10

ロンダリングという言葉を初めて知った。誰にでも出来そうな気がするが、やってみるとなかなか難しいと思う。みんなが安心して住むためには必要な仕事なのかもしれない。富士屋の手伝いに何回も遅刻していたりさ子が、最終的には菅さんを助けるほどまでにたくましくなっていて感動した。

Posted byブクログ

2024/06/08

事故物件に一定期間住むという ロンダリングの話、こちらが先だった笑 りさ子がどうしてロンダリングを することになったのか 相場、亮一との出会い 続きをもう一度読んでみたくなった!

Posted byブクログ

2024/06/05
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

自分の浮気が原因で離婚して、夫も家も財産もすべて失ったりさ子。「わけあり物件」を「普通の物件」に戻すために、一ヶ月だけその部屋に住むだけで良い、という「ロンダリング」のアルバイトを始める。 りさ子の毎日は、ただ部屋にいて、本を読んで、コンビニでお惣菜を買って食べる日々。 32歳、まだまだやり直すには遅くないのに、こんなに無気力で大丈夫かしらと心配になるくらい、死んでるように生きている。 ただ雇い主に言われるがままに転々と住んで、自分の意思がない。 何かを変えようとも思っていない。 最後は少しだけ同僚のために行動できるようになるが、それも亮が計画して準備したものに便乗しただけのように見える。 原田ひ香さんの作品で、こんなに受動的な主人公は珍しい。 傷ついて落ち込んで、自分の幸せを考えられなくなっている人は、都合よく搾取される。 そんなりさ子に対して、お節介ながらに「そんなんじゃだめよ」とびしっと言ってくれる真鍋夫人の存在が救いだった。

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2024/06/03

事故物件に短期間住みロンダリング(浄化)する仕事、本当にありそうな仕事でこの設定にまずは掴まれた。 積極的に生きる意義を見失っていた主人公は、何も考えず流されるままにこの仕事を続ける。が、人々と関わり合ううちに徐々に心が目覚め、周りにも心を開いていく。読む前に勝手に思っていたお...

事故物件に短期間住みロンダリング(浄化)する仕事、本当にありそうな仕事でこの設定にまずは掴まれた。 積極的に生きる意義を見失っていた主人公は、何も考えず流されるままにこの仕事を続ける。が、人々と関わり合ううちに徐々に心が目覚め、周りにも心を開いていく。読む前に勝手に思っていたお話と違い、中々ほっこりする良い小説であった。もう少し主人公の成長と顛末をしっかり見届けたい気もしたが、最後は割合とアッサリ終わる。 大団円に向かうキッカケが少し強引で興を削いでいるのが少しだけ残念。 この作者、最近は食べ物をテーマにした作品も多く出しているみたいだが、本作でもうまそうな料理が結構出てくる。そこも読みどころの一つだと思う。

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2024/05/30

さらっと読めるけど読後に爽やかな印象を残すいい本だった。主人公が都合よく社会に復帰したりしないあたりも好印象。もっとたくさん物件が出てくる事故物件カタログみたいな内容を想像してたけど、思ったよりも人と人の物語だった。実際大家をやってるので面白い視点からも読めた。

Posted byブクログ

2024/04/30

こういう職業ほんとうにありそう。 キズを負っている主人公が、再生し成長していく物語はほんとうに尊い。 周りの登場人物もどこか魅力がある。

Posted byブクログ

2024/04/27

離婚して行き場をなくした32歳のりさ子は、都内の訳あり物件に1ヶ月住んで浄化し再度貸し出せるようにするロンダリングの仕事を始める。訳ありだろうが何だろうがいろんな意味で感度の衰えてきた自分が終日本読んでられる面白そうなバイトだ。そこで出会う人々とやりとりする中で、りさ子は徐々に心...

離婚して行き場をなくした32歳のりさ子は、都内の訳あり物件に1ヶ月住んで浄化し再度貸し出せるようにするロンダリングの仕事を始める。訳ありだろうが何だろうがいろんな意味で感度の衰えてきた自分が終日本読んでられる面白そうなバイトだ。そこで出会う人々とやりとりする中で、りさ子は徐々に心の鎧を脱いで自分の居場所を見つけていく。  りさ子が出会う人々。定食屋の亮には心開きそうだが亮の想いには応えられない。相場社長やまあちゃんにも本当の意味では心は開かない。義父には心の底で繋がったのかな。先輩の菅先生は同志という位置づけか。大家の真鍋夫人には「何も持ってない、どこにも行けない人を比べることはできないと思います。努力したって報われない人はいるんだし、その人の努力が足りないなんて誰にわかるんですか」と感情を爆発させる。 この話のテーマは「自分の居場所」である。が何が彼女を吹っ切れさせたのか。その前に、そもそも彼女は不幸だったのか、悶々としてたのか、気持が塞いでたのか、そういう自覚があったのかがよくわからない。ラストで菅先生を救うためにいきなり大見得を切る。社会悪を倒すような大きな話ではない。引きこもっていた殻を破って外に飛び出すような何となくスッキリしたラスト。自分が何を求めてるのかもよくわからず、ただもやもやっと生きていて、個人的なことだけどその眼の前のもやもやした雲を少し吹き飛ばす。その解放感を味わう。まさに自分をロンダリングする。社会のため、他人のためではなく、ただ自分と自分のごく近くの人のためだけにひと肌脱ぐ。そこが現代的だ。というか、昔の世代から見た解決策だ。若い作家なら違う書き方しそうな気もする。 そしておそらく彼女には最初から居場所があるのだ。自分から目を逸らしていただけなのだ。殻を破るチャンスが次々訪れるりさ子と、あがき続ける菅先生や他の登場人物たちとを比べてしまう。りさ子もまた「何かを持っている報われた人」なんだろう。ただ、伏し目がちな目を開けてしっかり前を向いて生きようという小さな元気をくれる物語でした。

Posted byブクログ

2024/04/17
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

ロンダリングを通じて、りさ子が他人と向き合い、自分と向き合い成長していく物語。 人間関係、心理描写が丁寧に描かれているなぁと感じた。 真鍋夫人との衝突のシーンでは、気まずい空気感が妙にリアルで、読んでいるこちら側もソワソワ、ハラハラしてしまった。 初めは「何だこの人、、自分的にちょっと苦手かも」と思っていたけど、りさ子が成長するうえで必要な出会いだったんだろうな。 亮がりさ子に言った 「なにかお腹の中で話しているでしょう」「口に出して言えばいいのに。呑みこんでくれる人ですよ」 「僕らは人にいろいろ求めて、期待して、よっかかって、甘えて…なんとか生きてる。」 という言葉は、私自身も考えさせられる言葉だった。 この本を読んでロンダリングという仕事があることを初めて知った。 住処というのは生活する上でとても大切で、環境が変われば生活も変わってくる。それが自分のタイミングではなく、急に変わることもある。 ロンダリングが交感神経と副交感神経に似ているというのは確かに的を射ていると思う。

Posted byブクログ