本を愛しすぎた男 の商品レビュー
思ったよりも、「愛」は感じられなかった。 ギルキーは犯罪者なので、感情移入のしすぎは良くないのだろうけれど、それにしても、作者はギルキーをずいぶん突き放して見ているのだな、と思った。 そもそも、ギルキーは、本を愛しているというよりは、稀覯本をたくさん持っている教養ある自分を愛し...
思ったよりも、「愛」は感じられなかった。 ギルキーは犯罪者なので、感情移入のしすぎは良くないのだろうけれど、それにしても、作者はギルキーをずいぶん突き放して見ているのだな、と思った。 そもそも、ギルキーは、本を愛しているというよりは、稀覯本をたくさん持っている教養ある自分を愛しているのであって、古書店主たちとは違うわけで。 ギルキーにはギルキーの論理があり、この世界が不公平で不条理であることは確かで、そこから、泥棒への道と諦めへの道との分岐点において、人は何を選ぶのか。 本を所有したい欲求、もっと言えば、美しい本を所有したい欲求というのはある。それは本に限らず、美術作品においてもそうだ。そして、それを手に入れたことで、いつでも手に取れる状態になったことで、満足する、というのもある。誰かに見せびらかしたい、というのではなく、ただ自分の中の満足として。それが「愛」なのか、それとも、愛しているから多くの人の手に渡ってほしいと願うのか。
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稀少古書のみ数百冊を巧妙な手口で盗み続けた「本を愛しすぎた男」と、彼を追う古書店主にして熱血素人探偵のデッドヒート!古今東西の本泥棒たちの驚きのエピソードも交えて描く、古書をめぐる手に汗握るノンフィクション。
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ノンフィクション! 読書家は、本の内容あるいは本を読むという行為が好きな者。一方愛書家(bibliophilia)は〝書籍〟という物体を愛する者。 (P.18,20) 「本とは物語の入れ物であり、そしてそうである限り、物体としての本は所有者の歴史の産物、記憶の容器である。」「...
ノンフィクション! 読書家は、本の内容あるいは本を読むという行為が好きな者。一方愛書家(bibliophilia)は〝書籍〟という物体を愛する者。 (P.18,20) 「本とは物語の入れ物であり、そしてそうである限り、物体としての本は所有者の歴史の産物、記憶の容器である。」「本は内容を伝える手段にとどまらない。それをはるかに超える存在だ。」 本を読むきっかけ・読んだ時の感情・読み終わった後のストーリー、全て思い出が詰まってますよね。またそれが誰かの手に渡り、つながっていく。それが500年の歴史を持っていたなら…その書籍は、確かに単なる物ではない。 実際にいた本盗人にとっては、それが 思慮深く先見の目をもった、お金と地位のある上流階級の証として存在していた。 認められたかったんだろうなぁ。 貧困にコンプレックスがあったんだろうかなぁ。 自分の存在をあるがままで受け入れてくれる人が そばにいなかったんだろうなぁ。 と思いました。 とても心理分析的な内容で、私は面白かったです!
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※このレビューにはネタバレを含みます
タイトルを見て感じたほど読んでいてわくわくしなかったのは、結局本泥棒が愛しているのは「本」ではなくて、「稀少価値のある古書を数多く所有している自分」なんだなあと、がっかりしたから。 そこには、本に対する愛は感じられなかったな。 それより、高価な稀少本を盗まれても警察に相手にされず、泣き寝入りするしかなかった古書店主が、名探偵ばりに推理をし、古書店組合で情報を共有し、遂に警察を動かすほどの活躍を見せる部分の方が面白かった。 さらには、古今の愛書狂と言われる人たちの、ここのエピソードの方が面白かった。 ということは、この本の構成に問題があるのかもしれない。 だって、一番ページを割いて、一番読ませたかっただろう本泥棒の部分が一番つまらなかったんだもの。 残念。
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帯文:”「間違いない。この男は嘘をついている」” ”稀少古書のみ数百冊を巧妙な手口で盗み続けた「本を愛しすぎた男」と、彼を追う古書店主にして熱血素人探偵のデッドヒート!古今東西の本泥棒たちの驚きのエピソードも交えて描く、古書をめぐる手に汗握るノンフィクション!” 目次:序章『薬...
帯文:”「間違いない。この男は嘘をついている」” ”稀少古書のみ数百冊を巧妙な手口で盗み続けた「本を愛しすぎた男」と、彼を追う古書店主にして熱血素人探偵のデッドヒート!古今東西の本泥棒たちの驚きのエピソードも交えて描く、古書をめぐる手に汗握るノンフィクション!” 目次:序章『薬草図鑑』、第1章 大古本市、第2章 本泥棒ジョン・ギルキー、第3章 仮釈放、第4章 金鉱、第5章 古書店主ケン・サンダース、第6章 透明人間、第7章 この男は嘘をついている、第8章 宝島、第9章 ブリック・ロウ・ブックショップ、第10章 狂人たち、第11章 怒り、第12章 快適な暮らし・・・他
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本を愛するが故に稀覯本を盗み続けてしまうコレクターのギルキーと、それを追いつめ監視し続ける古書店店主サンダースとの攻防に、ライターのアリソンが迫るノンフィクションです。 初めは二人へのインタビューに徹する第三者としての立場だったアリソンですが、ギルキーの影響で彼女もいつの間にか渦...
本を愛するが故に稀覯本を盗み続けてしまうコレクターのギルキーと、それを追いつめ監視し続ける古書店店主サンダースとの攻防に、ライターのアリソンが迫るノンフィクションです。 初めは二人へのインタビューに徹する第三者としての立場だったアリソンですが、ギルキーの影響で彼女もいつの間にか渦中へ巻き込まれてしまいます。 蒐集癖は多くの人が持っているものですが、犯罪という一線を越えてしまうコレクターの姿が綴られている一冊。
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著者は偶然手に入れた稀覯本をきっかけにこういった本を盗む本泥棒をテーマに取材したいと思った。これは本泥棒のギルキーと古書店探偵のサンダースを取材した2年間が描かれている。好きだからその物を盗んでしまう。盗みの理由としては許されないがギルキーが本を盗むには別の理由があった。
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買った本は読まないがちなので目が痛い。棚に並べるのが好きなんやろ、と小学生の頃指摘した兄は正しい。 盗んじゃダメだべなー。ギルキーの場合、たまたま対象が本だっただけで、盗むことを楽しんでるようにしか思えない。根っからの嘘つきで泥棒だ。
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導入部の「薬草図鑑」の話、本泥棒と古書店探偵といった素材は良いのだが、いまひとつ心に響かない内容だった。話が展開するテンポが悪い気がする。 また、翻訳の文章も淡白で、流れる様に読める文章ではなかった。 ノンフィクションとして面白い素材なのに、この手の小説に負けている気がして残念...
導入部の「薬草図鑑」の話、本泥棒と古書店探偵といった素材は良いのだが、いまひとつ心に響かない内容だった。話が展開するテンポが悪い気がする。 また、翻訳の文章も淡白で、流れる様に読める文章ではなかった。 ノンフィクションとして面白い素材なのに、この手の小説に負けている気がして残念だ。
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本は好きだけど書かれている描かれている物事が好きなのであって本を眺めてるだけとかこの本を持ってる私って凄いでしょって見せびらかす感覚は理解できない。寧ろ、自分が集める本は自分の趣味丸出しだから恥ずかしくて見せられやしないよ。古書店はBOOK○FFさんしか行ったことない私には初版本...
本は好きだけど書かれている描かれている物事が好きなのであって本を眺めてるだけとかこの本を持ってる私って凄いでしょって見せびらかす感覚は理解できない。寧ろ、自分が集める本は自分の趣味丸出しだから恥ずかしくて見せられやしないよ。古書店はBOOK○FFさんしか行ったことない私には初版本の価値は全く解らない。本を愛する部分が自分とはズレまくってるのと考え方の違いにクラクラしながらそれも本に宿る魔力か引力か、インクで紙に書いたり印刷するだけで私を含めある種の人を狂わせ惑わす恐ろしいものを造りだしたものだよ、人間は。
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