現代語訳 竹取物語 の商品レビュー
大河ドラマに感化され、星新一Ver.を読み、さらには川端氏ならどんな解釈の元で訳すのだろう?と興味が沸き拝読しました。私の勝手な解釈ですが、星氏は執筆した当時の社会情勢に合わせた「現代的」な描写をし、川端氏は一人の若い女性の「性」への潔癖感、嫌悪感をまずは描き、帝とのやり取りの末...
大河ドラマに感化され、星新一Ver.を読み、さらには川端氏ならどんな解釈の元で訳すのだろう?と興味が沸き拝読しました。私の勝手な解釈ですが、星氏は執筆した当時の社会情勢に合わせた「現代的」な描写をし、川端氏は一人の若い女性の「性」への潔癖感、嫌悪感をまずは描き、帝とのやり取りの末は精神的とはいえ情愛が育ちゆくさまを清らかに、それでいて艶めかしい筆致で描くという個性を感じ取りました。どちらも原文で読み通す勇気がないため手に取ったのですが、訳本の面白さを知るきっかけとなりました。
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※このレビューにはネタバレを含みます
ノーベル賞作家の川端康成による現代語訳の本編と、川端本人による解説からなる一冊。 子供の頃に『かぐや姫』の絵本は読んだけど、『竹取物語』の全編を読むのは初めてです。 結婚をしたくないため、かぐや姫は5人の貴公子それぞれにある品を持ってくるように言い渡しますが、これがこの世に存在しない(と思われる)代物。貴公子たちはお題の品物を探しますが、インチキしたり、騙されて偽物を掴まされたり、或いは品物を求めるにあたって怪我をしてしまったり…。 結局、この5人はかぐや姫の婿にはなれず。 かぐや姫の勝ちです。 かぐや姫が帝と相対したときに消えて影のようになってしまうのにはびっくりしました。人間ではない存在だと分かっていても消えてしまうとは。SFですね。 あと、天の羽衣を着せ掛けられると人の心を失うという設定も初めて知りました。 富士山のいわれなど、所々出てくる言葉遊び?も面白い。
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日本最古の物語であるとされている『竹取物語』。 本書は、その誰もが知る“かぐや姫”の物語を、『伊豆の踊子』などで知られる、ノーベル文学賞作家・川端康成が現代語訳したものです。川端康成本人が物語についても解説しているので、もう一度詳しく『竹取物語』に触れたい方におすすめです。
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高畑勲の「かぐや姫の物語」を観て、一度「竹取物語」をおさらいしたいと思い、この本を紐解いた。 先ず気がついたのは、アニメが中心的に描いたかぐや姫の幼少期の話は一章で終わっており、物語の大半は公達や帝の妻恋に多くを採っているということである。 高畑勲版は、比較的原作に忠実に描か...
高畑勲の「かぐや姫の物語」を観て、一度「竹取物語」をおさらいしたいと思い、この本を紐解いた。 先ず気がついたのは、アニメが中心的に描いたかぐや姫の幼少期の話は一章で終わっており、物語の大半は公達や帝の妻恋に多くを採っているということである。 高畑勲版は、比較的原作に忠実に描かれてはいるが、従来の話とは全く違う物語だということは、ここからも解る。 竹取の翁は終始出てくるが、その妻は「爺さんはそれを婆さんにあずけて育てさせた」と一文出てくるだけであり、視点が全く違う。姫や婆さんの目から見た世界はどう映っていたのか。私たちは、アニメというカメラを通して、自然の美しさ、人の世の愚かさを知るだろう。原作は、明らかに男の視点で見ている。それだけは、川端康成も認めている。 帝の望みをかぐや姫は断る。これは、当時としてはタブーだった。しかし、なぜ物語として許されたのか。川端康成は、そのことに延々と筆を及ばす。しかし、かぐや姫としては、それはあまりにも理の当然のことであって、私もあまり関心はない。月の使者が「いったいそのかぐや姫は、ある罪を犯しなすったによって、汝のごとき賤しき者のところに、暫く身をお寄せになったのである。」と書いているが、「罪」と書いて、川端康成は、ひとつも解説に言及していない。此処に、時代を越えて「支配する側」の世界の「限界」があると想うのは、私の穿ち過ぎなのだろうか。 最後に川端康成は解説に書く。 「かぐや姫の昇天は、勿論この世に失望した人の昇天である。が、失望はしたが、しかも尚それを捨てきれないものの悲しい昇天なのである。昇天の前の、あの月を見ての悲しみがそれを証拠だてている。 またかぐや姫は、彼女の周囲のすべての人間を一蹴した。勿論それは、彼女の高い清純さのためであろう。が、いかに高い清純さのためとはいえ、やはり現実を軽蔑した者の淋しさは受けねばならぬのである。」(163p) 原典に沿って解釈すれば、また、まだ女性の処女性が家の存続の為に当然のこととされていた戦後間もない男性社会にとっては、こういう解釈も当然だったのかもしれない。しかし、高畑監督の「かぐや姫の物語」を観てしまった我々から見れば、なんと狭く根拠のない解釈かと思うのである。 かぐや姫は、確かに「仰ぎ見る世界」月からやって来た。我々の世界を、全てを見渡したと見なければならない。京の都を飛び出て世界を見渡しただろう。それならば、彼女は十分に世界を見たから月に帰らざるを得なかったのである。「竹取物語」に描かれなかった物語を含めて、我々はこれからこの物語を見ることになるだろう。 2014年1月3日読了
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竹取物語と川端康成の流麗な文体が予想以上にマッチしていた。 本文中に「訳注」の形で薀蓄的な説明がついているが、それも簡潔ながらなるほどと思わせる(実際、“かぐや姫”の由来も初めて知った次第)。 現代語訳とほぼ同じページ数を割いて書かれている「解説」まで読めば、原文を読んだ気に...
竹取物語と川端康成の流麗な文体が予想以上にマッチしていた。 本文中に「訳注」の形で薀蓄的な説明がついているが、それも簡潔ながらなるほどと思わせる(実際、“かぐや姫”の由来も初めて知った次第)。 現代語訳とほぼ同じページ数を割いて書かれている「解説」まで読めば、原文を読んだ気にさせてくれる。1冊で数倍おいしい作品。
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