蛇行する月 の商品レビュー
内容紹介そのものの作品でした。 それぞれ6編からなる短編集かと思ったら、 一人の女性が年上の妻子ある男性と駆け落ちをするという行為で、 全部の話が繋がっています。 主人公クラスの女性は、 ―道立湿原高校の同級生や彼女たちと関わりのある人たちです。 高校を卒業してからそれぞれの人...
内容紹介そのものの作品でした。 それぞれ6編からなる短編集かと思ったら、 一人の女性が年上の妻子ある男性と駆け落ちをするという行為で、 全部の話が繋がっています。 主人公クラスの女性は、 ―道立湿原高校の同級生や彼女たちと関わりのある人たちです。 高校を卒業してからそれぞれの人生がどうなったのか、 順を追って書かれていました。 ●1984年 清美 ●1990年 桃子 ●1993年 弥生 ●2000年 美菜恵 ●2005年 静江 ●2009年 直子 1984年から2009年までの25年で、 駆け落ちして極貧の暮らしをしている順子の生きざまを見て 他の主人公たちは自分たちの半生を見つめ直します。 何が幸せなのだろう、とふと考えたくなる作品でした。 「ホテルローヤル」の作者だけあって、 不倫や浮気、駆け落ち、といった 影の恋愛がうまく描き出されていました。 人生、純愛ばかりが、しあわせじゃないのね。。。
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女性の生々しい日常、生涯をジメジメした舞台背景で描いた作品。釧路という曇り模様の多く、湿った大地が、ものがたりをより深く感じさせる秀作。
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親ほど年上の和菓子職人と不倫、妊娠、駆け落ちした順子を軸に、彼女に係わる女性たちの人生の一こま。連作短編6編で、少しずつ年代をずらしながら、彼女たちの成長と幸せとは何かを問いかける仕組み。構成がとてもうまいと思う。
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女の人生ってほんと多種多様なんだなと実感。 何が本当の幸せなのか?何度も読みながら自分にも 問うてみるが、私には順子のようには達観して生きられないかも。 人それぞれなんだろうけども。 看護師の直子の葛藤も考えさせられる。
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道立湿原高校を卒業した図書部の仲間たち。 その中の一人、順子は親ほどの歳の男性と駆け落ちをし、釧路を出ていく。 順子を取り巻く六人の女性たちの目線から綴った連作短編集。 生きることに必死で過去も未来も考える暇もない順子。 捨てた故郷には帰れるはずもなく。 それでも彼女は「幸せ」だ...
道立湿原高校を卒業した図書部の仲間たち。 その中の一人、順子は親ほどの歳の男性と駆け落ちをし、釧路を出ていく。 順子を取り巻く六人の女性たちの目線から綴った連作短編集。 生きることに必死で過去も未来も考える暇もない順子。 捨てた故郷には帰れるはずもなく。 それでも彼女は「幸せ」だと言い切る。 そんな彼女がいったいどう彼らに映っているのか。 そして自分の幸せはどこにあるのか。 桜木さん、最新作。いや~、よかった。まさに新境地。 「ホテルローヤル」で自身のトラウマである過去を昇華しきったのか、この作品には性愛がほとんど描かれていない。 彼女の作品特有の女のどろどろした部分を極力抑えて、逆に女同士の絆の強さが前面に出ている。 六人の女性それぞれが過去に囚われて生きている。 その中でもがきながらも自分の幸せを探していく。 幸せに規範なんてない。他人と比べても詮無いこと。 彼女たちの真摯な姿に心を打たれる。 そんな中、一人だけ自分の幸せを疑うことなく「今」をがむしゃらに生きる順子。 みずからは語ることのない順子だが、六人の女性を通して対比的に順子を描く構成は見事。 「ホテルローヤル」でがっかりした人、多分いるんじゃないだろうか。 それだけが桜木さんじゃありません。 本書も是非ご一読を!
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色々な女性の生き方と繋がり。『桃子』の章が好きだな。最後に、友人への御礼や謝罪を書いた手紙を破り捨てて、マジックで『ありがとう』を書いた紙を荷物と共に送る潔さに、明るい未来と力強さを感じた☆
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
1984清美 割烹ホテルかぐら 女営業 宴会で客からセクハラ 大晦日に退職 札幌の彼氏と文通 おざなり関係 高校の友人順子が不倫 妊娠して東京へ逃げる 北海中央電に合格 1990 桃子 カーフェリー乗務員 不倫相手と甲板でSex 声を出さず 順子に会いに東京へ 寂れた不味いラーメン屋さん 幸せそうだった 1993 弥生 順子に亭主を取られた妻が離婚届と失踪届を持って東京へ ラーメン屋の前で二人の子供 喫茶店に元亭主を呼ぶ 一度だけ振り向くと3人が立っていた 和菓子屋はデパ地下で新たなスタート 2000美菜恵 順子が告白したが土下座して断った谷川が結婚した女 大学進学して教師になり職場結婚 披露宴に大勢よぶ 順子は谷川に気に入られようと国語は100点 問題を作る立場 順子が谷川が呟いた言葉すら記憶していた 女子高生の欲望への拒絶 2005静江 男出入りの激しかった順子の母 スーパーの仕事は辛い 首切り寸前 東京に会いに行く 順子は保険外交員 旦那の保険受け取りは元奥さん 孫は国立大学建築科の学生 ラーメンは不味い 東京タワーへ観光 自分は60 別れた男は50 30の女のもとへ去った 復縁の食事の誘いを断る 2009直子 看護師 趣味はダイビング 10才以上若い後輩と沖縄へ 離島ドクターから看護師の誘い 順子とは連絡をとっていた 年末に会った順子は末期癌 死んだら母を東京によぶ 自分の角膜を息子に移植 東京から沖縄へ後輩に合流 後輩から一緒に離島で働かないかと誘われている
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可もなく不可もなく、かな。 ■ ■ ■ ■ ■ たぶん私よか、ほんのちょい上世代の登場人物たち。 その頃の自分が、時間が足りないほど遊び倒してたせいか ぬるま湯的な高校時代を過ごしたであろう登場人物たちに どうも感情移入が難しくってねぇ。 ■ ■ ■ ■ ■ 自分のメンテ...
可もなく不可もなく、かな。 ■ ■ ■ ■ ■ たぶん私よか、ほんのちょい上世代の登場人物たち。 その頃の自分が、時間が足りないほど遊び倒してたせいか ぬるま湯的な高校時代を過ごしたであろう登場人物たちに どうも感情移入が難しくってねぇ。 ■ ■ ■ ■ ■ 自分のメンテナンスは、お金をかけずともできるんだよ。 それを放置するような女のひとは どんだけの豊かな人間性を含有してたとしても やっぱ、好きにはなれんしな。 ■ ■ ■ ■ ■ この作者さんのは初めて読むんだけど きっともっとどろっどろしたお話を書くんだと思う。 ほかの作品も手に入り次第読もうと思ってて そっちに期待。
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直木賞受賞後もぶれずに重たく静謐な文学を書き続けていることをはっきりと証明して読ませてくれた連作短編の真骨頂作品。 大満足の一作。 この次は長編を読みたいと思います。
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