蛇行する月 の商品レビュー
高校生の図書部に所属していた4人とそこにかかわる人を描いた連作短編集。1章ごとに時代と人が変わり、すべて読み終えることで、図書部の一人の人生の輪郭が描かれている。今までこの作家さんはどこか苦手な部分もあったけれど、今回の作品はサクサク読めました。一人の女性の一生を色んな角度から描...
高校生の図書部に所属していた4人とそこにかかわる人を描いた連作短編集。1章ごとに時代と人が変わり、すべて読み終えることで、図書部の一人の人生の輪郭が描かれている。今までこの作家さんはどこか苦手な部分もあったけれど、今回の作品はサクサク読めました。一人の女性の一生を色んな角度から描いているので、重い部分もあるし、この作家さん独特の話の底辺にあるようなほの暗い重さもずっとあるけれど、読後感は決して悪くはなかったです。各章の主人公の未練がたたれるのは前進しているのかもしれない。
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ここ何作かは苦手な話だったのですが、これは面白かったです。 明るい話ではありませんが、読後感は良かったです。
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直木賞の「ホテルローヤル」の桜木紫乃著。 一見暗い題名と表紙画で読むのを躊躇したが意外にさくさくと進みました。高校時代の女友達の人生。苦労しながらも自分の価値観での幸せを掴んでいったり、必死に生きていたりするところに同じ女性として共感できる部分がありました。互いを見ての心の声は、超女っぽい感じ。 でも、そんなに相手と自分を比べるものなのかな~とも思えたりも。深いような浅いような独特なタッチの本でした。
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直木賞受賞作の「ホテルローヤル」より,この小説の方がこの著者らしくて好きです。 何気ない言葉なのに,はっとさせる人生の真髄を切り取った文章…。 一番印象に残っているのは和菓子屋の女将の話で,ぐっときました。 全体的を通して,明るく元気をもらえる話とは言い難いので,何度も読み...
直木賞受賞作の「ホテルローヤル」より,この小説の方がこの著者らしくて好きです。 何気ない言葉なのに,はっとさせる人生の真髄を切り取った文章…。 一番印象に残っているのは和菓子屋の女将の話で,ぐっときました。 全体的を通して,明るく元気をもらえる話とは言い難いので,何度も読み返したいとは思いませんが, 読み終えた後は深い満足を覚えました。 女性は悲しいけれど,強い。 様々な女性の人生を追体験したいときはおすすめです。
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いつも思うのはこの著者の作品、タイトルがすごくいいです。「蛇行する」かぁ…なるほどなぁと。 主人公の人生をその人物に語らせることなくあぶりだすというのは、他の方も言っていますけれどもとても難しい手法でしょうね。どの短編の語り主もよく描かれており、そこに関わる全編の主人公の生き様もしみじみと伝わります。 最後の章の語り主(短編の主人公)に一番共感します。年代が近いせいでしょうか。きっと読者それぞれに共感する短編の語り主が存在するのでしょうね。 著者はどの短編も苦労したけれど、一番最後の章だけは 書きたいことが決まっていてすぐに書けたという意味のことを言っていましたが、そういう伝えようとする力を一番感じさせる章になっていると感じます。 主人公の人生を思うと、人の幸せは他人には忖度できるものではないということをつくづくと思わされます。
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勤め先の店の旦那と駆け落ちした女性を中心に、その周辺の人たちが順に語り手となってストーリーが進んでいく。母親、高校時代の友人たち、夫を盗られた妻、それぞれが幸せを求めて苦しんでいる。 なかでも、駆け落ちしたものの極貧生活に加え家族や自らの病など、はた目には決して幸せとは思えない...
勤め先の店の旦那と駆け落ちした女性を中心に、その周辺の人たちが順に語り手となってストーリーが進んでいく。母親、高校時代の友人たち、夫を盗られた妻、それぞれが幸せを求めて苦しんでいる。 なかでも、駆け落ちしたものの極貧生活に加え家族や自らの病など、はた目には決して幸せとは思えない女性が、とびきりの笑顔を絶やさずに幸福感を漂わせているのが印象深い。幸福とはあくまでも主観的なものであり、本人の心持ち次第なのだなと感じた。
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釧路の高校に通っていた女友達6人。章ごとに1人ずつがメインとなり、時系列順に物語は進んでいく。 20も年上の男と東京へ駆け落ちした順子。今が幸せ、といいながら、狭く汚いラーメン屋であくせく働く、かつての友人をみた桃子はー。 嫉みやこのままでいいのかという焦りは、一定年齢の女性に共...
釧路の高校に通っていた女友達6人。章ごとに1人ずつがメインとなり、時系列順に物語は進んでいく。 20も年上の男と東京へ駆け落ちした順子。今が幸せ、といいながら、狭く汚いラーメン屋であくせく働く、かつての友人をみた桃子はー。 嫉みやこのままでいいのかという焦りは、一定年齢の女性に共通だが、大人になっても学生時代の交友関係が世界だというのは、地方ならではだと思う。 年代をぐっと絞った感じはするが、前回読んだ作品よりは良いかも。
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高校時代の女グループを軸にその周辺の女の生き方についてかかれていた。 一人ひとり話が時間軸に沿ってかかれているけど結局は一人の不倫して逃避行した女の子にたどりつく。 幸せとか辛さとか、悲しさとか女の感情もあるし、人としての色々な感情が詰まっていた。 印象に残っているのは逃げてしま...
高校時代の女グループを軸にその周辺の女の生き方についてかかれていた。 一人ひとり話が時間軸に沿ってかかれているけど結局は一人の不倫して逃避行した女の子にたどりつく。 幸せとか辛さとか、悲しさとか女の感情もあるし、人としての色々な感情が詰まっていた。 印象に残っているのは逃げてしまった女の子の母の話と旦那が消えてしまった奥さんの話。 娘の生き方と自分の生き方を比べ、責めることができないといって娘にたよらないと決めた母が印象的だった。 そして旦那に失踪届か離婚届を選ばせるシーンは辛かった。 幸せという言葉は夢物語ではなく、いろいろなものを犠牲にしてもそう思える事なのかもしれない。
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読書中。('14.1.11) 貧乏は貧乏なりに何かと物入りだった年末年始を過ごし、貧乏は貧乏なりに大いに貧乏になってしまったので、本屋さんには近付かぬようにしていました。 ・・が、ふとした気の緩みでしょうか。 所用で新宿に行った帰り、無意識に紀伊國屋さんに足が向かい...
読書中。('14.1.11) 貧乏は貧乏なりに何かと物入りだった年末年始を過ごし、貧乏は貧乏なりに大いに貧乏になってしまったので、本屋さんには近付かぬようにしていました。 ・・が、ふとした気の緩みでしょうか。 所用で新宿に行った帰り、無意識に紀伊國屋さんに足が向かい、無意識に本作を手にレジに並び・・。 我に返ったときには帰りの電車の中、読み始めていたりしてました。 北上二郎さんの13年のベスト10、その選外にあったタイトルが頭の片隅に残っていたのでしょう。 → http://www.webdoku.jp/column/meguro_n/ 六つの章から成る本作、三章まで読み終え、猛烈に『甘納豆』を食べたくなりました。 ~読んでいない方には意味不明でしょうが・・。 大いに貧乏になった上の更なる予定外の本作の購入。 甘納豆は来月まで我慢しようかと・・(淋)。
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いつか桜木紫乃の本を読みたいと思っていました。 和菓子屋職人と駆け落ちした順子の周辺の人から見た、順子の幸せ。 2014/1月6日
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