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天国旅行 の商品レビュー

3.6

225件のお客様レビュー

  1. 5つ

    30

  2. 4つ

    76

  3. 3つ

    80

  4. 2つ

    14

  5. 1つ

    1

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2013/08/18

天国旅行という名の小説はない。全体を踏まえてつけられたタイトルなのだろう。天国というと片道切符というイメージだが、この短編小説ではそうではない。旅行は巡って帰ってくるものだ。あの世に触れてこの世で生きるということか。 「心中を共通のテーマとした短編集」とあるが、必ずしもそれだけ...

天国旅行という名の小説はない。全体を踏まえてつけられたタイトルなのだろう。天国というと片道切符というイメージだが、この短編小説ではそうではない。旅行は巡って帰ってくるものだ。あの世に触れてこの世で生きるということか。 「心中を共通のテーマとした短編集」とあるが、必ずしもそれだけではない。愛する人が死ぬ、あるいは一緒に死ぬことを求められる、その瞬間、死と生が隣り合わせにあり、登場人物たちは死の世界を垣間見て、それから自分の生きる意義を見出していく。静かな余韻が心地よい。 お盆にいい小説を読ませてもらった。

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2013/08/16

死にゆく人たちをテーマにした短編集。青木樹海で自殺未遂になった中年男と、通りかかりの青年の二人のやりとり、自殺しようとうする中年男の妻との過去の出会いからの告白に及ぶ遺言、祖母の初盆に遠方から来たという不思議な人物(従兄?)など、暗い話が多いのですが、読後感は印象に残る作品集でし...

死にゆく人たちをテーマにした短編集。青木樹海で自殺未遂になった中年男と、通りかかりの青年の二人のやりとり、自殺しようとうする中年男の妻との過去の出会いからの告白に及ぶ遺言、祖母の初盆に遠方から来たという不思議な人物(従兄?)など、暗い話が多いのですが、読後感は印象に残る作品集でした。著者によればどれも心中がテーマとのことで、ある意味でいろんな形が心中なのだいう主張なのでしょう。

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2014/03/12

太陽のように白いボールは、 きみから放たれた輝く矢となって、 いまも深々とワタシの胸に刺さったままだ。 (森の奥/遺言/初盆の客/君は夜/炎/星くずドライブ/SINK) (森の奥/遺言/初盆の客/君は夜/炎/星くずドライブ/SINK)

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2013/08/15

心中、自殺など亡くなった人または残された人の視点で書かれた短編集。旅行に行くような気持ちで天国に行く気持ちになれたら気楽でいいかも…

Posted byブクログ

2013/08/15

「人生が愛おしくなる7つの物語」―。文庫の帯にはそう書いてあったけど、そんなに軽々しいものではない、と読後の私は感じました。解説の角田光代さんの言葉を借りれば、「死を美化していないのと同様、生もまた、美化することはない」7つの物語は、生と死が隣り合わせとなった現実世界で私たちが生...

「人生が愛おしくなる7つの物語」―。文庫の帯にはそう書いてあったけど、そんなに軽々しいものではない、と読後の私は感じました。解説の角田光代さんの言葉を借りれば、「死を美化していないのと同様、生もまた、美化することはない」7つの物語は、生と死が隣り合わせとなった現実世界で私たちが生きていかなければいけない意味を容赦なく考えさせようとする。その結果として、生きることの面白味を見いだせる、というような、そんな印象を受ける作品でした。 「心中」をモチーフにした短編集。収録された7編は、驚くほどに個性豊かなものばかり。さまざまな情景で紡がれるそれぞれの作品は、全て別々の作家さんが書かれたアンソロジーなのではないかと思えるほど、一人の作家さんから生み出されたとは思えないくらい、別個の世界観を確立していたように思います。それでも、「心中」というモチーフが中心に据えられている分、それぞれの登場人物たちを通して、生と死という万人に共通して与えられている人生のテーマにより深く感じ入り、考えさせられるものがありました。 「英ちゃんを好きだって思いだけしか、いまは残ってない」(『星くずドライブ』より) もし今、私が死んだら、私は想いを残せるだろうか。私がこの世にいる証しが何もかも消えてしまったら、想いさえも消え失せて、何も残らないんじゃないだろうか。私の想いを、心の中に抱いて生きていってくれる人が、果たして存在するだろうか。香那の想いを受け止める英ちゃんのような人が、私の周りにはいるのだろうか―。 死を通して紡がれる、人と人のつながり。「死にたい」と思うことも、「生きたい」と思うことも、結局は誰かとのつながりがもたらす意思なのかなと感じました。生も死も美化することなく描かれる本作は、それでも読後に、大切な人たちへの想いがある限り、生をまっとうしなければと感じさせてくれるような作品であると思います。

Posted byブクログ

2013/08/12

「心中」をテーマにした短編集。「すべての心に希望が灯る傑作短編集」って紹介だったけど、全然そんなんじゃなかったし・・・。まぁ、好みの問題かもだけど、後を引くことは引くので、そういうのは嫌いではないけど、うーん、やっぱちょっとねw 後味が悪いのとも違うけど、救いや希望があるというわ...

「心中」をテーマにした短編集。「すべての心に希望が灯る傑作短編集」って紹介だったけど、全然そんなんじゃなかったし・・・。まぁ、好みの問題かもだけど、後を引くことは引くので、そういうのは嫌いではないけど、うーん、やっぱちょっとねw 後味が悪いのとも違うけど、救いや希望があるというわけでもない。いや、なくてもいいんだけど別に。やっぱ、好みの問題かなw 最期まで読んでから、角田光代さんの解説を読むと、再読してみたくもなる、かな?・・・という感じ。

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2013/08/12
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※このレビューにはネタバレを含みます

短編だがそれぞれ密度が濃い。 感情表現の揺れ動き、 最後に読者に想像させる終わり方が巧い。 最近読んだ本の中でダントツです。

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2013/08/11
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

テーマが「心中」の短編集だと作者が書いている。本人が言っているのになんだが、それよりも「強要される死」というのはどうだろう。心中という語感には、無理心中であっても「共に、一緒に」というニュアンスがあるが、いくつかの短編は全然「共に、一緒に」ではない印象。強要するのは人だけではない。それなら単に殺人や自殺教唆だが、病気や経済状況、家族環境など、そこに追い込まれていく心理状態を作り出す何かや、そこに生まれる不運や奇跡の感傷を冷たく柔らかくすくい上げている。 個人的にはもう少し希望があるものが好みなので評価を下げた。

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2013/08/11

タイトル買いしたら見事にイエローモンキーの曲からだった。 音や気配、感覚の書き方がリアルなイメージがしやすい話が多くて良かった。 本当のことがわからないまま憶測を重ねて気持ちを整理していくのに共感した。

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2013/08/10

死に纏わる短編集…と思っていたら、最後の作者のコメントで、心中に纏わる短編集だったのだとわかった。 テーマがテーマだけに、重い話も多い。 その中で私の印象に残ったのは、「初盆の客」。私のこれまでの三浦しをんのイメージとは少し異なった、少し古風な不思議譚。ちょっと怖いけれど、後味の...

死に纏わる短編集…と思っていたら、最後の作者のコメントで、心中に纏わる短編集だったのだとわかった。 テーマがテーマだけに、重い話も多い。 その中で私の印象に残ったのは、「初盆の客」。私のこれまでの三浦しをんのイメージとは少し異なった、少し古風な不思議譚。ちょっと怖いけれど、後味の良いお話で、良かった。

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