スウィート・ヒアアフター の商品レビュー
友達との待ち時間が長くなりそうだったので本屋で(再)購入。 ところどころ琴線に触れる言葉が散りばめられているところが著者の魅力なので、ストーリーはあまり気にせず読みます。 なので、再読だったけど新鮮な読後感でした。 「ハゴロモ」に似ていて、大好きだった人を失った主人公の心がズシン...
友達との待ち時間が長くなりそうだったので本屋で(再)購入。 ところどころ琴線に触れる言葉が散りばめられているところが著者の魅力なので、ストーリーはあまり気にせず読みます。 なので、再読だったけど新鮮な読後感でした。 「ハゴロモ」に似ていて、大好きだった人を失った主人公の心がズシンと胸に響いた。 みんな、悲しいほどにいろんなことを背負って生きているんだ、ということを優しい言葉で教えてくれる。
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交通事故に遭い死の淵から生還した小夜子だったが、恋人は喪ってしまった。体は大きく損傷し、魂もすり減った。私が死んでいたらよかったのに……しかも事故の後遺症で幽霊が見えるようになってしまった。そんな小夜子はある日、アパートでずっと微笑んでいる女性の幽霊を見かけ―ー京都を舞台に、日常...
交通事故に遭い死の淵から生還した小夜子だったが、恋人は喪ってしまった。体は大きく損傷し、魂もすり減った。私が死んでいたらよかったのに……しかも事故の後遺症で幽霊が見えるようになってしまった。そんな小夜子はある日、アパートでずっと微笑んでいる女性の幽霊を見かけ―ー京都を舞台に、日常の中で命の輝きを見出し、ゆっくりしかし確実に再生の道をたどる物語。 前に借りようと思ったけどなかったもの(代わりにどんぐり姉妹読んだ)冒頭がいきなりショッキングな書き出しだったのでなんかサスペンスなにおい! と思ったけど全然そんなことはなく。何を期待していたんだ。 京都が舞台だった。ここんとこ、というかばななさんの作品はだいたい海外が舞台になるのが多いのでそれとは正反対な感じがすごく意外で新鮮。ばななさんは京都さえモノにしているのか……などと思う。京都に住んでたらいろいろわかるんだろうなあという書き方。京都久々に観光したくなってきた。 世界には全部ある。生きていることも死んでいることも。そういう考え方はおおらかですごくいいな。ただ自分はひねくれ者で年を重ねるにつれてますます度量が狭くなっているので、こんな風にさっぱり考えられない私は何だ、とか私は親からねたみぐせをもらっているけど……とかいろいろ考えてしまった。今は余裕がないからついこういう考えをしてしまうんだな…… だったらあんたも小夜みたいに臨死すればいいんじゃ、って、そういうわけじゃないけど 生き残った人が死んだ人を思い出す時、その人の一番いいところを思い出してくれる。それはとてもいいことだ……ああ、なんかすごく救われた気持ち。そうだよね。私も死んでしまったらそう思う。悲しむばっかりじゃなくて、笑ってるところとか思い出してほしい。ここにすごくグッときました。あと、洋一の家族にとって小夜子が既に家族になってて、たとえ別の人と結婚して子供が生まれてもずっと仲良しでいようっていうのもじんわりときます。
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あとがきに書かれているように3・11で亡くなった人たちからも、感謝のメール(?)が届いていると思う。
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読み終えてあとがきを見てわかったのだけど、これは3.11の震災のことを思って書かれた小説なのだそうです。 よく「死と隣り合わせ」と言うけれど、そうじゃない状態で生きている人なんてこの世の中にはひとりもいないと思う。 事故にあって1時間後に死ぬかもしれない、急病で明日死ぬかもしれな...
読み終えてあとがきを見てわかったのだけど、これは3.11の震災のことを思って書かれた小説なのだそうです。 よく「死と隣り合わせ」と言うけれど、そうじゃない状態で生きている人なんてこの世の中にはひとりもいないと思う。 事故にあって1時間後に死ぬかもしれない、急病で明日死ぬかもしれない、だけどそのときはそんなことを少しも考えずに生きている。 みんな同じ条件で生きていて、特別な人間がいるわけではないと思う。 この小説は、冒頭で大切な人をなくした主人公が、自分も死の淵から生還したあと、半分生きていて半分死んでいるような人間に生まれ変わって、少しずつ自分を取り戻して再生していく物語。 でも、それを経験した前の状態には絶対に戻れない。 失ったもの、新しく得たもの、自分を見つめなおした結果。新しい自分として歩いていく決意。 大事な人を失って、そこから再生していく過程やスピードって人それぞれ違うけれど、自分のことを思い返すと自分のことが愛おしくなる。 もがいて苦しんで、だけど自分はきちんと生きるんだって思いを強くしたりして。 そういうのって過ぎ去ったあとに輝いて見えるものなのかもしれない。そのときは苦しい気持ちのほうが圧倒的に強いから。 物語の中に、「もしも自分が恋人や伴侶よりも先に死んで、その相手が自分とは別の人と結婚して子どもをつくって…っていうのが空の上から全部見えてしまったら?」みたいな話が出てくるんだけど、自分だったらどう思うのか想像してみた。 たぶん嫉妬するし何で自分じゃないの?って悲しくなるしむかつくとも思うけど(笑)、ずっと鬱々と死んだ自分のことを思って泣かれるのはもっと辛いし、たまに思い出してもらえるくらいがいちばん綺麗なのかもしれない。 想像でしかないけど。 死んだあと何も見えないのなら、ただただ幸せになってねと思えるんだろうから、やはり人間はエゴイストなんだろうな。(私がそうなだけか?笑) 沖縄のユタ、青森のイタコ。 幽霊を信じるか?信じないか? それも人それぞれだろうし、証明する方法もないけれど、そういう世界の中で生きている人にとっては、真実なのだろうと思う。
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大切な人を失った悲しみを乗り越える様子をこんな風に書くことができるなんて。生きる輝き・美しさに満ちた本だった。
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いつものように、人の死から始まる物語だと思っていたけれど、何か違う気がすると感じながら読んでいた。 あとがきの震災を受けてと読んで、納得。温かいものに包まれているようなお話。
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彼女が生死の境をさまよう時に出会ったのは、ゆるく優しい風の吹く、ピンク色のグラデーションの空がきらめく世界。 その感じが全編を通して感じられる再生の物語。 胎内にいるようなやわらかな何かが、読んでる私のことも、包み込み、癒してくれました。
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早かった。 というかまだ私が読むべき本ではなかった。 私はまだこの本を本当の意味で読めないほど、 荷物も軽いし業も浅いのだな、と。思わされた。 それでも言葉が美しすぎて、 この詩のように凛とした眩しい文章に目を奪われ続けていた。 どのページにも信じられないほど貴く清い光にあふれ...
早かった。 というかまだ私が読むべき本ではなかった。 私はまだこの本を本当の意味で読めないほど、 荷物も軽いし業も浅いのだな、と。思わされた。 それでも言葉が美しすぎて、 この詩のように凛とした眩しい文章に目を奪われ続けていた。 どのページにも信じられないほど貴く清い光にあふれた言葉がある。 光ある方へ生きていこうと思わせてくれる。
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自分のお腹にぐさっと鉄の棒がささってるのを見たとき、ああ、こりゃどう考えてもだめだ、自分は死ぬんだと思った。
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心が洗われるお話。純粋で好きです。生きることについて考えさせられますが、さらりと読めてしまう。すっと心に沁み込む希望の光のような作品。
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