パンとスープとネコ日和 の商品レビュー
ゆったりとした、日常の話 たくさん悩んで、気持ちを行ったり来たりさせながら、少しずつ少しずつ歩んでいく 嬉しいことも悲しいことも、日常の中に溶け込んでいく、そんな小説だった
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しまちゃんのキャラがいい。 客に真摯に向き合い、丁寧な接客をしている姿がありありと思い描ける。 彼女を描写した一文 P35〜 「生活出来ればいい。できなくなったら都心から離れればいい」 面接に来てそう語る彼女。 上昇志向がなく、一緒にいても心にちくちくと刺さる言葉や態度もない...
しまちゃんのキャラがいい。 客に真摯に向き合い、丁寧な接客をしている姿がありありと思い描ける。 彼女を描写した一文 P35〜 「生活出来ればいい。できなくなったら都心から離れればいい」 面接に来てそう語る彼女。 上昇志向がなく、一緒にいても心にちくちくと刺さる言葉や態度もない。 これって実社会でも共通していることやな。 変にやる気がありまくりで何事にも全力120パーセントバリバリ完全燃焼!! のような方だと隣のこちらが疲れてしまうし、かといってやる気のないのも論外。 淡々と自分の身の丈を理解して生きている、そんなしまちゃんがいいなと思った。
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この本を読むとネコが飼えなくなると不吉な言葉を添えて貸してもらった本です。でも私は「やっぱりネコは可愛いよな〜」という方に読み取りました。
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愛人の子であるアキコは、母を反面教師にし、きちんと勉強し、大学を出て、好きな仕事をし、キャリアを重ねているうち母が亡くなり、結婚には恵まれなかったが、脱サラしてパンとスープのお店を立ち上げて、軌道に乗っていた矢先ネコを亡くし、自分が独りであることに嘆く話。 結構山あり谷ありの人生なのに、基本淡々としているのがいい。日常を感じられて、読んでいて安心できた。(たろがしんじゃったところは泣いた) いつも必死で肩が上がっているように見えないように、お店では落ち着くように心がける、というのを読んで、確かに思い浮かぶ人がいた。必死な人の周りには緊張や不安や焦りを与えてしまう。私も仕事や家庭で心がけたい。 結婚もせず、母にもネコにも先立たれ、実は兄弟かもしれない人たちにも何も言い出せず、天涯孤独になってしまった。 でもアキコは後悔はしていないように思う。 結婚は縁に恵まれなかったからだし、もしあそこで妥協して結婚していたらそれこそ後悔していただろうなと思う。1人が不安で妥協して結婚する人も多いから、アキコは強いし賢いなと思う。 仕事も、会社員として働いていたからこそお店の仕事につながっていて、その時したいことを実現させているから、不安はあれど満足できていると思う。 一見寂しいようでいて、その時その時で自分にとって正しい選択が出来ている。 物語終盤、寂しいという気持ちが強いけど何かを得るには何かを捨てる必要があるということなんだなと思った。 あと、母の店の常連客のおじさんたちや噂好きな母の元同僚のタナカさんや向かいの喫茶店のママや無農薬かを気にするママを始めお店のお客さんなど、本当に色々なことを言ってくる人がいたけど、アキコは来るもの拒まず去るもの追わずで、何を言われても一旦は聞き、それから学び、色々なことを感じているところがすごいと思った。 私なら反発したり、拒絶したりするだろう。 見習いたい。 たろがしんじゃったのは本当に辛かった。それまでのたろの描写が本当に素敵で、たろの可愛さが充分伝わってきていただけに、たろの死後落ち込むアキコの様子を読むのが辛かった。 ネコも飼ってないし子供もいないけど、いたらこんなふうに悲しいんだな…と知れた。 異母兄弟のことが解決しないまま終わってしまったから、少しもやもやしたけど、学びの多い良い小説だった。
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前半は主人公の心の動き方や、働き方を変え、お店を始めるために動き始める描写が面白く、飼い猫の可愛さがつぶさに表現されていてとても良かった。 自分もこれまでに猫を飼ってきているので、想像がしやすく笑みがこぼれる感じ。 しかし、物語後半では、飼い猫が予兆なく突然亡くなってしまい… ペットロスの心情がしっかり描かれ、それがリアルで自分の体験も思い出し辛かった… 物語の最後には飼い猫とよく似た猫がいたことを店の従業員から聞かされ、会いに行きたい、と。 辛さが先立って、どうも納得がいかず。 このお話の中での、飼い猫の死の意味はなんだったのか、死ぬ必要なんてなかったのではないか…と考えてしまう。 まったりと進んできた物語の中で、 まるで子供のように思ってきた、可愛く愛した存在が突如失われた、というのがショッキングすぎてモヤモヤが残ってしまった。
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定期的にやってくる群さんの本が読みたい病。そんなわけで、積読になってた本作品を手を取りました。 やっぱり読みやすい。そして女性の視点がすごく伝わるんよなぁ。慎み深く、周囲を意識して内省する姿。美しい。 声の大きい人が強い世界(現実)から少し離れて、群さんの書く世界観に浸っていたい。 ネタバレになるのですが、後半ネコちゃんの死の話で辛くて読み進められなくなりそうやったんですが、最後まで読んでよかったと思えるラストでした。
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自分にとっての幸せを見つめ直せる本です 仕事の仕方、家族のありかた、猫と好きな食べ物と過ごす毎日。浮き沈みがありながらも日々奮闘する主人公を描いています。シリーズなので続編も読みたいです。
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ー自分のしあわせを見つめて。 〈あらすじ〉 編集者として働いていたアキコは、会社を辞め、亡き母がやっていた食堂を改装し、体にやさしいサンドイッチとスープのお店をはじめることとした。彼女のところには、ネコのたろがやってきて、小さなことを毎日大切にしたくなる日々が始まった。 〈感...
ー自分のしあわせを見つめて。 〈あらすじ〉 編集者として働いていたアキコは、会社を辞め、亡き母がやっていた食堂を改装し、体にやさしいサンドイッチとスープのお店をはじめることとした。彼女のところには、ネコのたろがやってきて、小さなことを毎日大切にしたくなる日々が始まった。 〈感想〉 ネコのたろちゃんがすごく愛おしくて、かわいいです。アキコさんが大切にしているものたちは、たくさんではないけれど、どれもアキコさんにとってかけがえのないものだということが伝わってきます。じんわり、じっくり、毎日感じる小さな幸せを大切にしていくってなんだかいいなあ。 そう思える本です。
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みんな、それぞれの幸せは違って、別にぶつかり合って理解しなくてもよくて、一人一人で幸せになればいいんだな。
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群ようこさんのヒロインは、しっかりした根のようなものを備えている人が多いのですが、アキコもその例に漏れず、堅実に生きているところと、飼い猫のたろとしっぽり愛し合っているところのギャップが実にいいですねえ。 相棒のしまちゃんも、存在自体がオーガニックな人ですね。
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