ザ・ナイン の商品レビュー
読了。アメリカの法の番人である連邦最高裁の判事は9人からなっており、彼らの投票によってアメリカの法と国のあり方が示されている。その9人のそれぞれの背景や信条と、そこから導かれる判決までの人くさく展開されるドラマを解説した良本(長いけどw) 多くの案件についてリベラル派と保守派...
読了。アメリカの法の番人である連邦最高裁の判事は9人からなっており、彼らの投票によってアメリカの法と国のあり方が示されている。その9人のそれぞれの背景や信条と、そこから導かれる判決までの人くさく展開されるドラマを解説した良本(長いけどw) 多くの案件についてリベラル派と保守派が対立して紛糾し4対4となり、最後の一票を決めるキーマンがどの政権時代も存在していた、と。特に本書はその中でも1994年~2005年までの固定面子に焦点を当てるんだけど、この判事達がとにかく良いキャラしてるw 特に主役となるオコナー判事については、中道を意識しつつも政権と環境の変化によって特にブッシュ政権でのポジションに苦労していく描写がすごく面白かった。果たして日本の最高裁でこれ程濃いキャラが登場する物語が描けるか、と考えるとやや暗澹とした気持ちになるけど、そこはまぁご愛嬌。 読んでる途中ずっと話の展開の仕方に既視感があったけど、さっき分かった。この最高裁での判事の在り方は、有名ラノベの十二国記での王と国と麒麟の在り方と物凄く似ている。麒麟が王を選び、王は自分の信条に基づいて政を行い、その結果で国や麒麟が物理的に栄えたり衰退したり長生きしたり死んだりする、あのシステムに。 当たり前だけど現実のそういった三権とか法とかを小野不由美女史が元ネタにしたのかなぁ。王とか判事の判断によって国の在り方が大きく変わるという壮大なシステムだけど根底にあるのは個人としての考えなので、全てがどこか人の織り成すドラマ的な雰囲気を持つっていう雰囲気は、個人的にかなり好き。 超長かったけど、それに見合うアツさ(と、厚さw)を伴った良いノンフィクションだった。満足。
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・アメリカ最高裁の最上階には体育館があって、「全米一高いコート」と呼ばれている。 ・今の最高裁長官ロバーツは、ブッシュ対ゴアの法廷闘争のときにブッシュ側弁護士団に助言している。 ・ブッシュ対ゴアの最高裁内部のごたごたを見て、スーター判事は涙を流しなら去就を考える日々が続いた。
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