太宰治賞(2013) の商品レビュー
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KSイワキ 英語が話せないという理由で、主人公が通っていた英語学校での学友は人種的差別や、言語的な差別をうけ悩んでいました。 それがどんなにひどい事で理不尽なことなのか、実際に住んでみないと分からないですね。 日本では読み書きが出来て当たり前の事なのですが、母国の字を習っていないという事は辞書も引けないという事なのです。 そんな中でも、仕事に英語学校にと頑張った主人公や英語学校の学友が、自分達の力で人生を徐々に切り開いて行く様は感動を覚えました。 「難民・・・自国に住めずに他国に避難してきた人々」の苦労や苦しみが痛いほど分かる小説で、お勧めです。
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「さようなら、オレンジ」の単行本が見当たらずこちらを購入。 新聞の書評に、言語に興味のある人にオススメとあったのだが、言語に関しての難しいことが書いてあるわけでなく、英語(第二言語)を習得する女性たちの葛藤や成長の話だった。 第二言語の習得の過程で、母語が壁となり心の内を言葉で表...
「さようなら、オレンジ」の単行本が見当たらずこちらを購入。 新聞の書評に、言語に興味のある人にオススメとあったのだが、言語に関しての難しいことが書いてあるわけでなく、英語(第二言語)を習得する女性たちの葛藤や成長の話だった。 第二言語の習得の過程で、母語が壁となり心の内を言葉で表す者と、難民で母語すらあやうい者の、アイデンティティの再構築というところか。予想に反して、異国でたくましく生きてゆく女性たちの姿に感動し泣けた。読後清々しく前向きになれる作品だった。 とてもよかったので、芥川賞取れなくて残念でした。
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とりあえず「さようなら、オレンジ」だけ読みました。 以下ネタバレあり。 サリマに感情移入して読んでいたせいか、最後はちょっとえーそういうことだったの?というさみしさを感じた。 サリマの「言い訳しない」稀な性格というのがすごくたくましく、読んでいて哀しみ、怒り、妬み、などの感情の起伏に無理なく寄り添うことができた。たしかにこういう女性が身近にいたら、ずっと創作にかかわっている人間だったら書かずにはいられない気持ちにさせられるのだろう。 創作側のラストは幸福だけど物足りなさを感じたかな。 しかし最初の一文からところどころ気にかかっていたたどたどしさが著者の計算であったのかどうかはわからないけれども、そうだとしたらすごい技術だなと素直に感心。 単に紛争が起こった故郷から言葉もわからない未知なる国に逃げてきて重労働に従事して子供を育てていく、というストーリーだったら、「サリマ」のことを考えたらそれがいいのだろうけど、あまり揺さぶられることはなかったかもしれない。 大きなテーマとして言葉とは何かという問いがあり、変質する母語への感覚や、今までの異国で奮起する小説に書かれてきたような言葉が通じないみじめさなどが丁寧に描かれているというところが、サリマの物語の見通しをよくさせて尚且つSの悲しみがより大きなものとして伝わってきたのかなと感じた。
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「さようなら、オレンジ」がよかった。 母語ではない言語を使って外国で生きるということを、様々な問題を交えながら深く描いている。 「言葉とは何か」について、改めて考えさせられた。 これは、母国語(と付随する精神性)を離れたことがある人にしか書けないな、と思った。 感動した。
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今年度の太宰治賞と最終候補作。その選考過程も含む。 4人の選考委員が一致して受賞作「さよなら、オレンジ」を推したとのこと。あと一歩だったというのが「背中に乗りな」だという。 私の好みは「背中に乗りな」でした。きっと、本屋大賞だったら、こっちになったのではと思う。「さよなら、オレ...
今年度の太宰治賞と最終候補作。その選考過程も含む。 4人の選考委員が一致して受賞作「さよなら、オレンジ」を推したとのこと。あと一歩だったというのが「背中に乗りな」だという。 私の好みは「背中に乗りな」でした。きっと、本屋大賞だったら、こっちになったのではと思う。「さよなら、オレンジ」のほうがプロ好み(?)みたいな…?
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