午前零時の自動車評論(5) の商品レビュー
著者あとがきにあるように、本巻は始めから終わりまでポルシェ911がずっと低音部を奏でている。 RRレイアウトから来るリアヘビーと荷重依存性を克服したかに見えた991系911の陥穽の物語から始まり、911に直接触れていないチャプターにおいても、現代のテクノロジーで武装した自動車が...
著者あとがきにあるように、本巻は始めから終わりまでポルシェ911がずっと低音部を奏でている。 RRレイアウトから来るリアヘビーと荷重依存性を克服したかに見えた991系911の陥穽の物語から始まり、911に直接触れていないチャプターにおいても、現代のテクノロジーで武装した自動車が陥る落とし穴のこと、ブランドとして価値観が定着したクルマが危機に陥ったときに、帰る場所があるメーカーとないメーカーの話、本来ブランドに触れることの出来なかったユーザーのためのモデルの役割、エンジンというコンポーネントひとつをとっても歴史の積み重ねに成り立っているという事実、と主旋律が次々と転調するものの、変わらない低音部。そして最後に再び911が主旋律を奏で、今後のポルシェは果たして帰るべき家に向かっているのか?と言う問いで終わっている。 本巻は今年50周年を迎えた911に対する組曲のように思える。それがレクイエムになるのか、復活の英雄譚になるのかは911を送り出し続けたポルシェの50「執念」次第だ。
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