自衛隊の敵 の商品レビュー
元航空幕僚長・田母神俊雄さんの著書。 戦後に警察予備隊として始まった自衛隊の歴史と、彼らの手足を縛り自主防衛の道を阻んできた国内外勢力について述べた本。 今でこそ、日本国憲法がGHQ占領下に一方的に押し付けられたものとの説明は各所に多く出ている。だが、マッカーサー三原則や自衛隊...
元航空幕僚長・田母神俊雄さんの著書。 戦後に警察予備隊として始まった自衛隊の歴史と、彼らの手足を縛り自主防衛の道を阻んできた国内外勢力について述べた本。 今でこそ、日本国憲法がGHQ占領下に一方的に押し付けられたものとの説明は各所に多く出ている。だが、マッカーサー三原則や自衛隊法の交戦規定、教育基本法、自虐史観、隣国に媚びる政治家といったあらゆる勢力が日本の真の独立を妨げてきたことを書いた本は、おそらく当時初めてだったのではないか(2013年5月発行)。 1960年に岸信介総理が日米安保条約を改定した結果、米国相手に有事の防衛義務を取り付けた。この英断により、今日まで続く安全保障環境の土台は整備された。けれども、その後の佐藤栄作は非核三原則と武器輸出三原則で必要な防衛力確保の道を閉ざし、田中角栄は隣国に気を遣い何もせず、三木武夫は防衛費1%原則で制限をかけ、中曽根康弘はF2戦闘機の日米共同開発で星条旗におもねった。そして2008年2月、千葉県沖でイージス護衛艦と漁船との衝突事故が発生した際、当時の防衛相(次期首相)は漁船側の回避義務を考慮しないで一方的に謝罪、海上自衛隊に全責任を押し付けた。戦後レジームは、今も変わらず続いている。 自衛隊は、極めて危険な戦争地域におけるPKO活動に文字通り命懸けで取り組み、国内では頻発する激甚災害で人命救助や物資運搬、インフラ復旧等に日々尽力している。厳しい環境下でも愚痴1つ言わず、黙々と住民の命を守ろうとする姿に心打たれる人は多い。それなのに、戦闘の危険となった場合には、彼らには平時の際の個別的自衛権すらないばかりか、敵に捕えられてもジュネーブ条約で確約されるはずの捕虜に対する人道的な扱いが保証されない。なぜならば自衛隊法が、そして日本国憲法そのものが公布時のまま、ほぼ原文で存続しているから(ちなみに諸外国では憲法改正は何ら珍しいものでなく、米国やフランス、ドイツでも数十回なされている)。 11月には米大統領選挙がある。おそらくトランプ大統領が再選されたらこう言うかもしれない。「尖閣?無人島だろう?金がもったいないから、日本が自分で守れば良いじゃないか」。いろんな意見があるだろうが、今から10年前に安倍総理が、戦闘機仕入先の分散(米国依存度の低減、欧州からの調達を推進)や核共有構想を出したのは、米国の変心を見据えた現実的な解と言えるだろう。自らの命を差し出して必死に国に奉仕する自衛隊のため、彼は外交や防衛の諸施策で諸外国に言うべきことを言い呼応してきた。だが、そんな彼でさえ、憲法改正までは生前成し遂げられなかった。はたして、石破新総理は難題の解決を実現できるだろうか。 僕が田母神さんを知ったのは昨年の都知事選だった。神奈川県民の僕には投票権すらなく、彼には論文の内容がもとで解任されたというくらいの印象しかなかった。だが、今回本書を読み、なぜ彼が都知事選に出なければならなかったか、そして彼が選挙を通して都民に何を訴えたかったか、その強い想いが少しだけ分かったように思う。 なぜ今、自分が日々平和に暮らせているか。当たり前の生活が誰によって支えられているか。21世紀に生きる日本人として、この問いを大切にしていきたいと思います。
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面白いですよ。相変わらず好戦的でかつ「私は悪くない」言説が、鼻につく。人柄がわかる本。選挙前にこんなの出して大丈夫なんだろうか。
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アメリカが悪い中国が悪いソ連が悪い、日本は悪くない素晴らしい、感謝孝行奉仕、情緒的な話と妄言、著者が自衛隊の敵だったりしてな。
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