若き将軍の朝鮮戦争 の商品レビュー
朝鮮戦争の将軍の回顧録。最初の章は、歴史と自分の幼少期の記憶を照らし合わせつつ述べている。概して、韓国で知られている歴史をなぞっている。本編の部分は、ゲリラや戦争などの記述がメインであり、その方面の人には垂涎ものかもしれない。私の興味外ではあるが、朝鮮戦争を生きた人による、李承晩...
朝鮮戦争の将軍の回顧録。最初の章は、歴史と自分の幼少期の記憶を照らし合わせつつ述べている。概して、韓国で知られている歴史をなぞっている。本編の部分は、ゲリラや戦争などの記述がメインであり、その方面の人には垂涎ものかもしれない。私の興味外ではあるが、朝鮮戦争を生きた人による、李承晩、朴正熙や、対日本感、対北朝鮮感情の記述は興味深い。金正日との知己もあるようだが、経歴詐称に関する情報については深くは述べていない。大日本帝国時代の朝鮮の人々は、普通に日本語を話せた人も多いのだろうと思わせる。
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つい先日99歳で亡くなった韓国の元軍人で、朝鮮戦争の英雄である。緒戦で釜山周囲まで押し込まれた韓国軍にあって、そこを押し返した功績は高く評価されている。確かに、そこで負けたら今の韓国もしかしたら日本もなかったであろう。 凄いのは、そのとき30歳の師団長であったことだ。新生国家では若い人が抜擢され高位職に就きやすいとは思うが、それにしても貧弱の兵器で戦車を相手にしないといけないとか、国連軍・米軍との協調・協力とか難しい中での活躍は、まさに英雄だ。韓国軍初の大将になり、40前に退役するのは早く昇進したため止むを得ないとも言えよう。 その後は外国での大使や実業家など多彩な活躍をし、人生はまさに韓国史でもあると言えそうだ。自伝だけあって一方的な見方になるかもしれないが、一代の英雄であることは間違いない。 解説において、朝鮮戦争は日ソ戦の再来との記述もあり、なおいっそう朝鮮戦争に興味をそそられた。今なお休戦中なのだから、当事者による戦闘の詳細を知れる本書は大きな意味をもつと思う。
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著者は朝鮮戦争における韓国軍の英雄です。 しかし戦後程なく陰謀で軍を追われました。 本書には回顧録にありがちな自慢話もなければ自己美化もありません。どこまでも淡々と筆を進めていきます。日本統治時代の生活についても記述ですら例外ではありません。 前述したように、著者は軍内部の下...
著者は朝鮮戦争における韓国軍の英雄です。 しかし戦後程なく陰謀で軍を追われました。 本書には回顧録にありがちな自慢話もなければ自己美化もありません。どこまでも淡々と筆を進めていきます。日本統治時代の生活についても記述ですら例外ではありません。 前述したように、著者は軍内部の下克上によって軍を追われました。また老いてからは「親日派」のレッテルを貼られて名誉までも奪われそうになりましたが、それでも文中には恨み言めいた記述はありません。 ただ本書の原書は2000年に日本語で書かれたこと、そして韓国軍の英雄があえて日本語で回顧録を書いたという事実は色々と考えさせられものがあります。
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ブクログの本棚のレビューでの「とても面白い」との高い評価を見て本書を手にとってみた。 確かに、「大日本帝国の破綻」の体験から、「朝鮮戦争の指揮官」としての実体験は迫力に満ちたものであり、戦場の体験の凄まじさがよくわかるものであるが、日本と韓国の歴史の変転を読むとなんとなく違和...
ブクログの本棚のレビューでの「とても面白い」との高い評価を見て本書を手にとってみた。 確かに、「大日本帝国の破綻」の体験から、「朝鮮戦争の指揮官」としての実体験は迫力に満ちたものであり、戦場の体験の凄まじさがよくわかるものであるが、日本と韓国の歴史の変転を読むとなんとなく違和感が付きまとう。 著者は、日韓併合下で、「日本人・軍人」として成長している。その後、日本の敗戦による「帝国の破綻」による情勢の混乱の中から韓国軍人として頭角を現すのだが、本人の中では「日本」はどのように整理されていたのだろうか。 現在の韓国では、日韓併合時の幹部は「対日協力者」としてまるで「売国奴」のように過去に遡って追求されているというが、著者のような経歴のものはどう思われているのだろうか。 以前読んだ本には「日本軍人でもあった朝鮮人は、生き残れば韓国軍建軍の英雄、戦死すれば売国奴」とも書かれていた。 本書では「日清・日露戦争と亡国」「日本統治下の韓半島」などの記載もあるが、軍の視点からの歴史を冷静に記載しているだけとなっている。 著者にとっては、日本の存在は好きも嫌いは別にして既に確固としてあるものだったのだろうか。 また本書はその三分の二が朝鮮戦争のドキュメンタリーのような詳細な記載である。そちらのほうに興味がある読者はそれのみが印象に残ると思う。 確かに著者は数奇な人生を歩んだ優秀な人であると思うが、朝鮮戦争で活躍した軍人としての記録と同時に、日韓の狭間での葛藤も、もっと知りたいとの感想を持った。
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