双頭の船 の商品レビュー
震災をテーマにした小説の中でも秀逸な作品と想う。 亡くなった方々を忘れない追悼の誓いは、被災者共通の思いだろう。しかし未来に私たちは進まなければならない。いくつかの選択肢はあるだろうが、比ゆ的に言えば「双頭」なのか・・。 当初から「ひょっこりひょうたん島」の歌が頭のまわりをめぐっ...
震災をテーマにした小説の中でも秀逸な作品と想う。 亡くなった方々を忘れない追悼の誓いは、被災者共通の思いだろう。しかし未来に私たちは進まなければならない。いくつかの選択肢はあるだろうが、比ゆ的に言えば「双頭」なのか・・。 当初から「ひょっこりひょうたん島」の歌が頭のまわりをめぐっていたけれど、それもそのはずだよね。私たちの島はどこを目指しているのだろう。
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しがらみと切れて新しい世界を作るか。過去の影をなびかあ人は揺れ動いている。死ぬまで。与えられた役割をその場その場で100%味わえたら幸せだ。苦しみもがくことも幸せだ。自然はやさしくも厳しくもない。自然であるだけ。人間がそれに意味を持たせたがるだけ。人間だけ特別だと錯覚してしまうだ...
しがらみと切れて新しい世界を作るか。過去の影をなびかあ人は揺れ動いている。死ぬまで。与えられた役割をその場その場で100%味わえたら幸せだ。苦しみもがくことも幸せだ。自然はやさしくも厳しくもない。自然であるだけ。人間がそれに意味を持たせたがるだけ。人間だけ特別だと錯覚してしまうだけ。
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わかりやすいようで、でも、不思議な話です。フォルクローレの章は感動しました。ストーリーを通して、ベアマンが象徴的な存在となっています。3.11はこれからも心のどこかにあり続けるのでしょう。
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2013.5.8〜5.24いつもと違う文体というか、軽いタッチの書き方で、少し戸惑ったが、多分震災というものはとても大きなものだけれど、日常というものは普通に続いていて、いくらでも重く書けるものを、そう書かずにしたのだと思う。あのあとだけれど、あの現実を引きずることは当たり前だけ...
2013.5.8〜5.24いつもと違う文体というか、軽いタッチの書き方で、少し戸惑ったが、多分震災というものはとても大きなものだけれど、日常というものは普通に続いていて、いくらでも重く書けるものを、そう書かずにしたのだと思う。あのあとだけれど、あの現実を引きずることは当たり前だけど、その中で希望と夢も持てる話しだった。ただのお話しなのかもしれない、ファンタジーといっても良いような、そんな話しでもあった。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
震災から2年。池澤さんが、震災後をテーマに書いた連作。最初の1編は震災への言及がなくてわからなかったけど。 亡くなった家族たちが、音楽とともに海へ旅立つシーンは涙が出た(T_T)。そして、人は大地に生きるものだというメッセージ。静かな供養と再生。いい物語でした。
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東日本大震災による津波被害、そして同時に引き起こされた福島原発事故による深刻な影響、その双方の被災地への深いシンパシーが投影された8編の鎮魂歌。 これまでの池澤作品に表れる、さまざまな生活哲学(エコや自然尊重、死者への弔い)が随所に色濃く顔を出し、名も無き人々の魂の救済に力を貸...
東日本大震災による津波被害、そして同時に引き起こされた福島原発事故による深刻な影響、その双方の被災地への深いシンパシーが投影された8編の鎮魂歌。 これまでの池澤作品に表れる、さまざまな生活哲学(エコや自然尊重、死者への弔い)が随所に色濃く顔を出し、名も無き人々の魂の救済に力を貸していく。 重いテーマをよい意味で読み物にしてくれたなあという印象。
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うかつだった。こんな本が出ていたとは。本屋さんに行くと池澤夏樹を探すのだが,大きい本屋さんじゃないと置いてないこともあって。 よしよし,楽しみが増えたぞ。 その後(GW中),読み終わりました。やっぱり不思議なお話でしたね。
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支援物資と、自転車の修理キットと、修理の得意な主人公を乗せて船は北を目指す。 撤去されて引き取りもされなかった大量の自転車を直して被災地に届け、そのまま係留してボランティアの活動拠点になったり、浴槽とプレハブを甲板に設置して仮設のお風呂屋さんを始めたりする。 震災直後、被災地...
支援物資と、自転車の修理キットと、修理の得意な主人公を乗せて船は北を目指す。 撤去されて引き取りもされなかった大量の自転車を直して被災地に届け、そのまま係留してボランティアの活動拠点になったり、浴槽とプレハブを甲板に設置して仮設のお風呂屋さんを始めたりする。 震災直後、被災地入りした著者が直接見聞きした事実も織り交ぜられているのだろう。 ただ、途中からファンタジーの要素も入ってくる。 それが面白い。 自給自足に近いコミュニティが作れないか、そういう夢は見たい。 災害で失われた命との、ゆるやかな別れがやさしい。 全体的に、やさしい。 オオカミを生態系に戻す話も出てくる。 これは実際にアメリカ(国立公園かなにか)で行われているらしい。 これは日本でも実現したらいいなと思う。
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東日本大震災のあと、ボランティアの人々を載せて沿岸をめぐるフェリー、を主人公にした、神話。ファンタジー、幻想、マジックレアリスム……と頭の中で言葉を探して、どれも違う気がして、神話というのが一番しっくりくるなと思った。現代に紛れこんだ神話。動物たちと交感する。生き延びた人々の間...
東日本大震災のあと、ボランティアの人々を載せて沿岸をめぐるフェリー、を主人公にした、神話。ファンタジー、幻想、マジックレアリスム……と頭の中で言葉を探して、どれも違う気がして、神話というのが一番しっくりくるなと思った。現代に紛れこんだ神話。動物たちと交感する。生き延びた人々の間にまじって死者が暮らす。船が自分で成長して勝手に大きくなっていく。 不思議な話だった。震災の克明な記録というには幻想に寄りすぎ、神秘として読むには、まだ現実のほうが生々しく近い。どんな気持ちで読むべきだったのか、自分のなかでどう消化していいか、うまく言葉を掴み切れないでいる。いつか文庫化したら、そのときにまた振り返ってみようかとも思う。
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“日常”がフリーズしたら船に乗れ。3・11以後を異化する想像力の飛翔! この連載を読みたくて、「新潮」を買い続けた。 毎月待ち遠しくて、待ち遠しくて。 「文学を育てる土壌にはいつだって希望という栄養素が含まれていなければならない」 という池澤夏樹さん、 希望を論理的に封じた『楽...
“日常”がフリーズしたら船に乗れ。3・11以後を異化する想像力の飛翔! この連載を読みたくて、「新潮」を買い続けた。 毎月待ち遠しくて、待ち遠しくて。 「文学を育てる土壌にはいつだって希望という栄養素が含まれていなければならない」 という池澤夏樹さん、 希望を論理的に封じた『楽しい終末』のあと、 「うかつに偽の希望で小説を書けなくなった」という池澤夏樹さんが、 「あの日」のあとの小説でどのような"希望"を書くのか、書けるのか。 空虚なことばでおめかししたありもしない偽の希望の大安売りが堂々と行われているこの国に残された希望とは? 単行本化されるのが早くてうれしい限り♪ またまた待ち遠しい日々を過ごせることに感謝。 もちろん単行本も買います♪
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