妻の超然 の商品レビュー
再読 夫の浮気に気づいても超然としていられるはずだった「妻の超然」 下戸の僕はNPO活動を酒好きの彼女に強要される「下戸の超然」 腫瘍手術を控えた女性作家の胸をよぎる自らの来歴「作家の超然」 傑作中編集
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3編ある。 三人称、一人称、二人称と視点を変えて、 それぞれ物語の登場人物たちが 修復、別離、自己批判を超然と受け止める。 順を追って文学性が高くなって読者にも 幅をもった解釈が必要になってくる。 果たして最後に絲山女史は何を伝えたかったのだろうか。 例え文学の行き着く先が...
3編ある。 三人称、一人称、二人称と視点を変えて、 それぞれ物語の登場人物たちが 修復、別離、自己批判を超然と受け止める。 順を追って文学性が高くなって読者にも 幅をもった解釈が必要になってくる。 果たして最後に絲山女史は何を伝えたかったのだろうか。 例え文学の行き着く先が いかがわしい廃棄物や 音さえもない滅びであったとしても、 絲山女史は凡庸な読者など差し置いて どんどんと文学の高みへ駆け上がってゆく。
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妻の超然、下戸の超然、作家の超然、の三編。 妻の超然が一番好きかな。一度壊れたものはあんな風にうまく戻らないと思うが。 そういう意味では下戸の超然が現実的な展開だったかな。
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方々より面白いという噂を聞きつけ,読んでみました. 妻の超然,下戸の超然,作家の超然の全3編. この作品,面白いのは間違いないのだが,なんとも不思議な面白さなのだ.一番のおススメは断トツで妻の超然だろう.結婚10年の冷めた夫婦の物語.妻の強かさと,夫の滑稽さが際立っている.どこの...
方々より面白いという噂を聞きつけ,読んでみました. 妻の超然,下戸の超然,作家の超然の全3編. この作品,面白いのは間違いないのだが,なんとも不思議な面白さなのだ.一番のおススメは断トツで妻の超然だろう.結婚10年の冷めた夫婦の物語.妻の強かさと,夫の滑稽さが際立っている.どこの家庭も一緒なのかな.一家の大黒柱だと胸を張る夫・・・を手のひらで転がす妻.会社の信頼が厚いと嘯く夫・・・を手のひらで転がす妻.異性にモテると鼻息を荒くする夫・・・を手のひらで転がす妻.つくづく男はバカなのだ.一生,妻の手のひらから逃げ出すことは不可能だろう.まるで孫悟空だ.
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本日読了。 この人の描く孤独は ルサンチマンや絶望とは無縁だ。 憎しみは自己にも社会にも向かわない (いや、そもそも期待をしていない)。 透徹した秋の空のような まさに「超然」たる孤独。 絶対的に悲しく、ただただ美しい。
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『作家の超然』 梶井基次郎の『櫻の樹の下には』を思い出しました。美しい櫻の樹の輪廻、樹の中の腐っためぐり、その中に自分や自分の作品もあることを、この絲山さんという作家は強く思っているんだな、と感じました。 容赦ない書き方をする人だな、自分に厳しいんだろうな、と思います。
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「超然」を描いているが、読後感はまったく超然とはならない。 むしろ、なんとも言えない焦燥感というか、もやもやが残る。それこそがこの小説の影響力なのだろうと思う。すっきりしない、胸にひっかかったものの正体は何なのか。 (2013.4)
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無駄のないシェイプアップされた文体。体脂肪率8%くらい。 鋭くて、面白くて、やはり絲山秋子はすごいと思う。
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絲山秋子、はじめて読んだ。 とてもよかった。 『妻の超然』 『下戸の超然』 『作家の超然』 だんだん刺激が強くなるので、著者に何か試されている気もする。 『作家の超然』なんて、二人称でしかも「おまえ」ときた。 ミラン・クンデラ曰く、 「文化は生産過剰、活字の洪水、量の多さの...
絲山秋子、はじめて読んだ。 とてもよかった。 『妻の超然』 『下戸の超然』 『作家の超然』 だんだん刺激が強くなるので、著者に何か試されている気もする。 『作家の超然』なんて、二人称でしかも「おまえ」ときた。 ミラン・クンデラ曰く、 「文化は生産過剰、活字の洪水、量の多さの中で消えていく」。 情報過多の時代、でも誰にもそれを止めることができないのなら、その先を超然として待つほかない。
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