妻の超然 の商品レビュー
「妻の超然」「下戸の超然」「作家の超然」から成る。前ふたつは、共感できたりと面白かったが、作家の超然は難しかった。何度か読めば理解できるのかなぁ。
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「超然」たる姿勢が、3つの立場の物語で語られる。 『作家の超然』は哲学のよう。 絲山さんは五感が鋭く、それを字に起こせるのだろう。分かりやすくなくてよい、分かってくれなくてもよい、その間を翻弄させられる。でも書く作家も、読む私も移動の過程にあるのだから、それでいい。
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絲山さんの本は前にまとめ買いしたのでちょこちょこ読んでいるのだが、この手の「らしさ」というか毒が前面に出ている作品があんまり合わなくてつらい。なにかにつけ現れる不満、攻撃性が常に読書のテンションを下げてくる。 巨人戦は負けた時の悔しさが尋常じゃないから見に行きたくないとかものすご...
絲山さんの本は前にまとめ買いしたのでちょこちょこ読んでいるのだが、この手の「らしさ」というか毒が前面に出ている作品があんまり合わなくてつらい。なにかにつけ現れる不満、攻撃性が常に読書のテンションを下げてくる。 巨人戦は負けた時の悔しさが尋常じゃないから見に行きたくないとかものすごくわかるし、「他人へのむきだしの善意と、社会へのむきだしの悪意」への不安、「その全てを見ていたいと思う」とか面白いと思うところはどの短編にもあった。妻の超然が敗北するところなどはやっぱり見事だなと思うけど、物語に回っている毒に疲れてしまうのが印象として強い。
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芥川賞作家の作品だと思いました。超然というのは手をこまねいて、すべてを見過ごすこと。栄えるものも、滅びるものも。「妻の超然」「下戸の超然」「作家の超然」の3話が収録されています。私は「作家の超然」が気に入りました。絲山秋子「妻の超然」、2013.3発行(文庫)、2010.9刊行。
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「妻の超然」「下戸の超然」「作家の超然」の三篇からなる中編集。 恥ずかしながら私、「超然」という言葉を知らなくて。 読む前に意味を調べました。 で、「超然」とは、『物事にこだわらず、平然としているさま。世俗に関与しないさま』という意味とのこと。 夫の浮気に超然といようとする妻。 超然とした態度を恋人に罵倒される男。 そして病気に対して人生に対して超然としている作家。 それぞれがそれぞれの問題に対して、どこか悟りを開いたような、一種諦めのような、そんな状況が描かれています。 でも、なんだろうなー。 それって、自分の本当の感情を抑えようとしてるだけなんじゃないかなー。なんてことを、読みながら思ったりしました。 私は、夫が浮気したら怒り狂うだろうし、恋人から理不尽な要求をされたら喧嘩になるだろうし、病気になれば毎日ほろほろと泣いて過ごすだろうし。 それが、一般的な人間の素直な感情だと思います。 でも、ふと思ったのは、感情を露わにして生きて行くのは楽なんだよなー。ということ。 「下戸の超然」の彼女のように、そして怒り狂い喧嘩をしほろほろ泣く私のように。 超然でいること。つまり何事にも無関心でいることって、多分、きっと、すごくエネルギーが必要なことなんですよね。 無関心でいつつ、でもどこかで期待もしつつ、だけどその期待を裏切られた時、大きな傷を負わないように、心のバランスを保っている。それが「超然」なのかなー。 というのが、絲山作品三作目の私の解釈でした。 それにしても「作家の超然」はすごく難しかったー。 勉強して出直してきます
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妻、下戸、作家の三者の「超然」のうち、二人称で書かれた「作家の超然」が壮絶だった。難解な言葉も文脈もないのに、視点はどんどん遠ざかって、やがて文学の滅亡に至る。言葉の意味や情報が失われた後に幻視する光景にただ圧倒される。ひたすらすごい本だった……。 久しぶりの絲山作品。疎遠になっ...
妻、下戸、作家の三者の「超然」のうち、二人称で書かれた「作家の超然」が壮絶だった。難解な言葉も文脈もないのに、視点はどんどん遠ざかって、やがて文学の滅亡に至る。言葉の意味や情報が失われた後に幻視する光景にただ圧倒される。ひたすらすごい本だった……。 久しぶりの絲山作品。疎遠になっていた原因でもある「生々しさを突き抜けたグロテスクさ」にやっぱり当てられたけど、どうしてかめちゃくちゃ清潔だとも感じる。不思議。 (初読やと思ってたけど単行本の登録がある……感想もつけてる……)(自分が信じられない)
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世評は高い作品ですが、どうも楽しめませんでした。 とても文学的。でも、私にはチョット過ぎるようです。 裏表紙に『「超然」とは何かを問う傑作中編集。』と書かれている通り、「超然」がテーマなのでしょうが、その「超然」と私の相性が悪いのでしょうね。 まあ、そういう事も有るさ、と読了。
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楽しみ読み進めました。 読みやすいのですが、「超然」というテーマに沿って書かれた短編という挑戦をしているのに、楽しみながら読み進めることができるもので、作家としてのチャレンジ精神にも感服します。 文体がとてもリズミカルで読みやすいように感じるんですよね。毒もあるので読んでていてス...
楽しみ読み進めました。 読みやすいのですが、「超然」というテーマに沿って書かれた短編という挑戦をしているのに、楽しみながら読み進めることができるもので、作家としてのチャレンジ精神にも感服します。 文体がとてもリズミカルで読みやすいように感じるんですよね。毒もあるので読んでていてスッキリするんです! しばらく絲山秋子さんの本を読み漁ろうと思っています。
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馬込の豆腐屋の娘である妻とニアミスしているような気に 絲山さんの話がやっぱり好きだ。 「一人グーグル」とか、第一球「一体、どういうことなの?」とか。しっくりくるなぁ。わたしに。 そして、TOTOの営業として全国を駆けずり回った経験から来る、土地土地の描写。 今回たまたま住...
馬込の豆腐屋の娘である妻とニアミスしているような気に 絲山さんの話がやっぱり好きだ。 「一人グーグル」とか、第一球「一体、どういうことなの?」とか。しっくりくるなぁ。わたしに。 そして、TOTOの営業として全国を駆けずり回った経験から来る、土地土地の描写。 今回たまたま住んでいた街が出てくるものだから、そのイメージが瑞々しく脳裏に広がりました。 路地、坂道。西馬込はあかるく、馬込はどこか、ツートーンくらい、暗い。 日当たり以外にも、その土地、場所の明るさ、暗さがあると思っていて、ネットでは確認できないその道々の照度こそを、私は内見で確認しているような気がする。 そのことに気付かされてくれたのが、馬込と西馬込というふたつの街なのであった。 そんな私が、馬込の豆腐屋の娘である妻とニアミスしているような気にながら、読み進めていきました。 三作入っているけど、言葉遣いとかがやっぱり、女性主人公ものが好きだわと、後2作の男性主人公作品を読んで思いました。 はぁ、またイッツ・オンリー・トーク読もっと。
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妻、下戸、作家と3つの超然が含まれた作品集。 絲山作品に触れるのは3作目(登録はしておりませんが、「エスケイプ/アブセント」を読んでおります)ですが、あれ?こんなに軽い文章を書く方だったっけ?と驚いた。 しかし読み進めていくうちに、行間からにじみ出る主人公の冷ややかさがあり愕然と...
妻、下戸、作家と3つの超然が含まれた作品集。 絲山作品に触れるのは3作目(登録はしておりませんが、「エスケイプ/アブセント」を読んでおります)ですが、あれ?こんなに軽い文章を書く方だったっけ?と驚いた。 しかし読み進めていくうちに、行間からにじみ出る主人公の冷ややかさがあり愕然とした。 あー、これが絲山節なんだな、とすとんと腑に落ちました。 プロの方に申すのも大変おこがましいですが、やはりある意味すごい作家さんです。
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