バウルを探して の商品レビュー
とにかく、すごい。 この人のバウルについて気になるまでや、バウルと接するに当たって感じたことなど、論文形式では、そういう感情的に大事なところがわからないから、この紀行的な文体で読むのがとてもいいのです。 私は、この人のその細部に感じたことを表現しているところがとても好きです。 ...
とにかく、すごい。 この人のバウルについて気になるまでや、バウルと接するに当たって感じたことなど、論文形式では、そういう感情的に大事なところがわからないから、この紀行的な文体で読むのがとてもいいのです。 私は、この人のその細部に感じたことを表現しているところがとても好きです。 そういうところは、パリでメシを食う、にも生きているのですが… 地球上で、全く素性の異なった人たちが、ふとしたことで、繋がって、実は私たちの知らないところで、何かと何かが既に繋がっているのかもしれない。
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「また面白い本を見つけてしまった!」 と第1章の時点ですっかり興奮してしまい、あっという間に読み終わってしまった。 本人も高野秀行さんの本を愛読しているというし、 高野さん自身も「高野軍団」の準構成員と認めている通り、 本の体裁はいかにも“高野さんっぽい”。 謎が謎を呼び、導かれるままに事件に巻き込まれ、それを楽しむ様子は、 最近読んだ「謎の独立国家ソマリランド」にそっくりであり、高野さんの常套手段だ。 もちろん、高野さんの手法は真似するだけでも相当な技量が必要だ。 謎に対する着眼点の良さはもちろん、辺境のバングラデシュを旅する度胸や行動力、 そこでの観察力が強く要求される。 そして、何よりそれを面白く伝える文章力が必要不可欠だ。 題材の違いもあるだろうが、川内さんの文章は高野さんのそれに比べて、 もう少し文学的で、情景の描写に女性ならではの細やかさがある。 旅の途中で見たであろう、バングラデシュの美しい景色や、人のぬくもり、 風のざわめきといったディテールまで、きっちりと伝わってくる。 余談だが、この本を読んで僕は何だか悔しくなってしまった。 年に何度か旅をする自分も、高野さんのような文章を、とまではいかないまでも、 面白い旅行記を書きたいなと思っているのだが、 「(自分は高野さんとちがって)長旅ができないから」という理由で、 それができないのを良しとしてきたところがある。 でも、川内さんはたった12日間の旅でやってのけてしまったのだ! 「時間がないから」という理由はもう通用しない…。 テーマをもって、それを掘り下げていく。 そろそろそういう旅をしてみたいものである。 なんだか、感想だか愚痴なのか分からない文章になってしまった。
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秋山ゆかりさんが薦めていたので読んでみました。 ものすごい12日間の旅行記、バウル探索の旅です。 それと同時に哲学書でもあるし、音楽の本でもあり、 生のバングラディッシュが垣間見られ、ベンガル語文化圏の一端に触れられる… ちょっと一言では言い表せない本です。 読んだ後、内省的に必...
秋山ゆかりさんが薦めていたので読んでみました。 ものすごい12日間の旅行記、バウル探索の旅です。 それと同時に哲学書でもあるし、音楽の本でもあり、 生のバングラディッシュが垣間見られ、ベンガル語文化圏の一端に触れられる… ちょっと一言では言い表せない本です。 読んだ後、内省的に必ずなるかな。すばらしい本でした。
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文化との出会い方、そしてその記述の仕方について、とても考えさせられる本でした。 本の内容そのものは、タイトル『バウルを探して』にもあるとおり、バングラデシュとインドの西ベンガルの農村部に暮らす神秘的な吟遊詩人、バウルを探して、著者である川内さんがバングラデシュのあちらこちらを旅しつづける・・・その旅の記録であり、物語です。文化として保護される対象であるとともに、その人たちそのものは蔑みの対象であり、迫害されていたりもするミステリアスな存在、バウル。旅の物語は、バウルをめぐるそんなミステリーを解き明かす物語であるとともに、国連職員を辞めたばかりの川内さんが捉えきれない自分の心を追うかのように旅をつづける・・・そんな物語でもあったりします。 本の内容そのものも、まるでミステリー小説を読むかのように楽しめるのですが、わたしはそれよりも、文化に出会ったときのその書き方にとても心を惹かれるものがありました。 バウルをめぐるさまざまな出来事に、川内さんは出会うわけですが、その出会いの距離感がそのままに書かれている。「初対面」と一口でいっても、そこでつくりだされる雰囲気や距離感は、(当たり前ですが)人によって違います。そのとき自分がどういう状態で、そこでその人とどういう雰囲気に包まれたのか。そのことがそのまま伝わってくるようで、それがとても不思議でした。 そのため、この本を読んだあとには、バウルと出会ったことの「奇跡」とか「衝撃」とか「神秘」とかそういうものはまったく残りません。ただあるのは、川内さんというひとりの女性が旅をして、そこで人と出会ったということ。そこに流れる人と人との出会いの物語です。 そして、だからこそ、この物語には意味があるのだ、と思います。
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バングラデシュにて、謎の吟遊詩人を追うアクティブな旅。 変に神秘的になり過ぎず、ビールを恋しがり、カレーに辟易し、行った先々でチャを飲む、等身大の著者とバングラデュの人&風景が好印象の書籍。 登場する人々は皆優しいが、祖国やバウルの歴史や文化に翻弄されている。現在は2人の娘を持ち、「バウルになりたい」と言いながらも社長(恐らく結構大きな企業の)として働く通訳ガイド・アラムさんもその一人だ。 そのそれぞれの人生とつながりが、バウルの真髄、そして国連を退職した自分自身の内面へと迫ってゆく著者の姿と共に、興味深かった。
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