レ・ミゼラブル(下) の商品レビュー
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ぃやー、意外だったよね。 レ・ミゼラブル、実はミュージカルも観たことないんだ。 どないにしてロングセラーなのかと思ったら、意外と面白かった。 なぜか? *まず、思った以上にドラマ性がある。なんというか、盛り上がる場面が随所に出てくるね。 *そして、精神的であると同時に社会的。 主人公その他の内面を描くと同時に、(と言っても、「罪と罰」なみの深いというかダダ漏れのものではなく)社会に対する疑問も呈していて。善とは?法とは?宗教とは?みたいな問いかけもなくもない。 *実はフランス革命期の話だったのか!っていう時代背景すら知らなかったわけだが、そんな歴史性もあったりして。 なかなか興味深かったっす。 ちょっと、これをミュージカルの長さに短縮したらどうなるのか、観てみたくなったかも。
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前作からの登場人物にまつわる様々な出来事を乗り越え、良くまとまっている感じで、壮大な物語だった。ヴァルジャンがコゼットに対しての言動は徒刑囚とは思えないほど、人格者へ変わっているのが印象強かった。六月暴動へつながる、革命の時代を生き抜く人物たちの姿は、波乱万丈に満ちた時代の変化の...
前作からの登場人物にまつわる様々な出来事を乗り越え、良くまとまっている感じで、壮大な物語だった。ヴァルジャンがコゼットに対しての言動は徒刑囚とは思えないほど、人格者へ変わっているのが印象強かった。六月暴動へつながる、革命の時代を生き抜く人物たちの姿は、波乱万丈に満ちた時代の変化の中で、人と人の繋がりから情熱や互いに愛し合う姿が焼き付けられる。ヴァルジャンは徒刑囚になってから、目まぐるしく変化する時代背景とともに幾多の困難、波乱万丈を超え、己を信じ、聖人へと変化し、親子関係も取り戻すのは良かった。
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この角川文庫がだしている『レ・ミゼラブル』は、ハーバード大学の教授がユゴー作の原作にある過剰なほどの背景説明を省き、編集しなおしたものを和訳し出版したものである。なので原作ではまず間違いなく途中で挫折していただろうが、まったく苦に感じることなく楽しめて読めた。 個人からの視点で社会の無情さを痛感させられ、それがフランス革命の大きな時代の波へと展開していくさまはとにかく壮大で、スポットの当たることの少ない社会の溝や矛盾での無情さを浮き彫りにさせてくれている。200年も前の作品なのに現代のわたしたちでも考えさせられる内容だった。 また、終わり方が自分好みで、読み終わった後はしばらく何もせずに余韻に浸ってしまった。さすがは200年たった今でも名作といわれる作品。これは誰かにお勧めしたい本。 他のレビュアーも指摘していたが、かの有名な銀の燭台の話の原作がこれだったとは驚きだった。
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「わたしは生きるために、パンを一斤盗んだ。いまは、生きるために名前を盗んでいる」 ジャン・ヴァルジャンはコゼッタと幸せな生活を送っていた。そこに現れたマリウス。コゼッタはいつまでも子供なわけではない。ジャンはいずれコゼッタと別れなければならない。 革命こそ進歩だと考えるマリウス。退廃した正義を取り戻すため命を捨てる若き反乱者たち。激動の時代に生きた若者と、別人になり影に生きる老人。感情はすべての理論を凌駕する。
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エポニーヌよ、最期まで良い子だった。 彼女の最期は悲劇的に見えるけど、彼に愛されないとわかった以上、彼の腕の中で死ねるのは最上の選択ではないか? マリウスを想うエポニーヌや、コゼットを渡したくない感情がありながら瀕死のマリウスを助けるジャン・ヴァルジャンは、客観的描写のみで本人視点が描かれていない。一見矛盾のように見える行動を突き動かしているのは、複雑なようでいて実はすごく単純なものなのかもしれない。すなわち、良心だ。もしかすると「愛」という言葉の方が文学的かもしれないが、私はあえて「良心」と言いたい。 クライマックス、無事コゼットとマリウスが結ばれて、むしろこれ以上ないくらいのハッピーエンドになってもおかしくないのに、一人苦痛に歪みながら黙して去るジャン・ヴァルジャン、涙無くしては読めなかった。 ヴァルジャンが訪ねてこなかったことに一日気がつかなかったコゼット、無垢ゆえの残酷! マリウスも力尽くで会わせまいとしてるわけではないのだから(ちょっと陰険だけど)会おうと思えば会える距離に住みながら、徐々に、コゼットの住む町まで行けなくなる、精神的隔たりが大きくなっていく様が胸を打つ。 ああ、孤独に苦しんで!彼は常に孤独だった。側にコゼットがいるときでさえも、真実は胸に秘め、いつも、一人で苦しんで決断していた。 真実を共有できるのはただ一人、宿敵ジャヴェール。でも、彼ももういない。 ジャン・ヴァルジャンとジャヴェールの二人は、ヴィドックという一人の実在の人物をモデルにしていたはず。…ずっとうちで積読になってる彼の伝記を読むべき時がきたか…。
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ようやく読み終わった…というのが正直なところ。しかしながら、これでも原著を半分以下に削ったものの翻訳であるとのこと。 ラストまでずっと悲しい物語ではあったけども、ジャン・ヴァルジャンにほんの少しの救いが訪れて良かった。
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以前見たこの物語を原作とした映画が面白かったので読んでみました。最後の解説でようやく気付いたのですが、どうやらこれは縮訳版だったようですね。違和感なく読むことができ、充分満足してしまったので、完訳版は記憶が薄れてからまた読もうかと思っています。 こういった道徳劇、私は好きです。き...
以前見たこの物語を原作とした映画が面白かったので読んでみました。最後の解説でようやく気付いたのですが、どうやらこれは縮訳版だったようですね。違和感なく読むことができ、充分満足してしまったので、完訳版は記憶が薄れてからまた読もうかと思っています。 こういった道徳劇、私は好きです。きっと、物語の展開は都合が良すぎ、また作者の思想部分もなんだか甘ったるすぎる、と思われる方もいるだろうと思いますが、このような『善』への信仰や称賛、憧れというものは、たとえ現実の世界に実際には通用しないとしても、己の内から現れるあらゆる悪徳から心を守るための良き盾となると思うからです。 もしかしたらこう考える人は少数派なのかもしれませんが、少なくとも私は、心が弱いためについ行ってしまう自分の自己中心的な行動に気付くと、「あのときジャン・ヴァルジャンはあんなに苦しみながらも、自分から名乗り出て罰を受けるという高潔な決断をし、その結果、苦労して手に入れた財産も名誉も安楽な生活も失った。そして私はそれに驚き、正しいことだと思った。それなのに、正しさに感動したはずの同じ心で、私はこんなことをしていて、本当に良いのか? 恥ずかしくはないのか?」というような風に反省し、自分の心の中に傲慢や卑怯や妬み等を呼び込まないように気を付けるための味方としています。「こんなとき、ジャン・ヴァルジャンならどうするだろう? アリョーシャなら? ネフリュードフならどうだろう?」という考え方は、過大な自己評価を抑え、自分の至らなさを自覚する良いきっかけになります。偽善的だと思われるかもしれませんが、個人的に、このような意味で道徳劇は有用だと思うのです。 特にこの物語は、善を目指しながらもひどく迷い苦しみ、二転三転する主人公の心理描写が真に迫っており、とても面白く読むことができました。こういった有名な作品は、やはり読む価値があるものですね。
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タイクツ、長いなどと名の知れた作品にもかかわらず、読みづらいとの評価をされている。しかし、角川文庫版は読みやすかった。
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大作を読み終えた。新訳版なので読みやすく、挫折することなく読み終えることができた。 映画との違いも楽しみつつ、最後は本当に感動しました。
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コゼットとジャン・ヴァルジャンの逃避行にハラハラしっぱなしだった。フランス革命の頃の、不安定な社会の中で必死に生き抜いて行く彼らとマリウスの出会い。最後の全てが明らかになっていくシーンは読んでいて感動した。愛の大切さを感じた。
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