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ヒッグス粒子を追え の商品レビュー

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7件のお客様レビュー

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2018/10/20

素粒子物理学の世界の科学者たちの人間ドラマ。電子と光を相対的な量子論として統合した量子電磁力学(QED: Quantum ElectroDynamics)の発展を追いかける。多くの天才的な理論物理学者が登場する。そしてそれはノーベル賞受賞の競争ともなる。比喩で説明された素粒子物理...

素粒子物理学の世界の科学者たちの人間ドラマ。電子と光を相対的な量子論として統合した量子電磁力学(QED: Quantum ElectroDynamics)の発展を追いかける。多くの天才的な理論物理学者が登場する。そしてそれはノーベル賞受賞の競争ともなる。比喩で説明された素粒子物理学が難解だが、科学者の素粒子研究に関わる人間ドラマには引き込まれた。

Posted byブクログ

2015/12/14

Higgs氏が2013年にNobel物理学賞を受賞したのは記憶に新しい。 新聞やマスコミには神の粒子を発見とか、質量の謎を解いたとかいろいろな形容詞がついて報道されていたような気がした。 本書は、Higgsの物理学的な性質についての解説が25%で、その他は素粒子物理学特に1900...

Higgs氏が2013年にNobel物理学賞を受賞したのは記憶に新しい。 新聞やマスコミには神の粒子を発見とか、質量の謎を解いたとかいろいろな形容詞がついて報道されていたような気がした。 本書は、Higgsの物理学的な性質についての解説が25%で、その他は素粒子物理学特に1900年代前半からの重力を除く電磁気力、強い力、弱い力の発展とその力の統合の歴史を詳細に紹介している。 重力や電磁気力という言葉は聞いたことあるかもしれないが、強い力や弱い力という言葉は大学で物理、とくに核工学や素粒子理論でも学んでいなければ初耳だと思う。 言葉の通り、強い力と弱い力はその結合の力を言っているのだがある素粒子同士にのみ現れる力である。 翻って、そもそも力とは何か? (今のところ)力は上記の4つが確認されている。この4つとは別種の力を発見すれば、近代科学史上最も優れた発見の一つとして歴史に名を刻むことができる。(と同時に、現代の物理理論に修正を加えないといけなくなる可能性が高いが・・・) 重力はおなじみのNewtonの法則で習ったように、質量をもつもの同士に働く力である。もっとも普遍的な力と言ってもよいが、その結合力は4つの中で最も弱い。 電磁気力は、電荷をもつ粒子同士に働く力で、電気的に中性な粒子には感じない。重力の約10^36倍強い。なので、電磁気的な現象を考察するときは重力は通常無視しうる。 強い力は、原子核内の各核子同士を結合している力であり、もっとも結合力は強い。が、反面及ぼす力の範囲はごく狭い。 中学校や高校で原子は電子と原子核に分かれており、原子核は陽子と中性子で構成されていると習った。 一方で、陽子(電気的にプラスの電荷)を一か所に集めておくと反発してバラバラになっちゃうじゃん!と思ったのであれば筋がイイ笑 強い力とはまさにこれを引き留めておく力である。このように書くとイメージしやすいが、数学的なモデルを構築するとなると天才たちの数十年分の仕事が必要となるのだ。 弱い力もまたなじみがなく、もっともイメージしにくい。 これは、原子の崩壊をつかさどる力である。 福島原子力発電所の事故で、事故数年たっているのにもかかわらずいまだに周辺地域は立ち入り禁止である。 それは放射性物質から放射線が出ており、人体に影響があるためである。 なんで原子核から放射線が出るのか? (放射線といっても色々種類があり、アルファ線、ベータ線そしてガンマ線がある。ガンマ線は励起状態から基底状態への変位の際に出されるエネルギーであるため、厳密には弱い力は関係ない。) それこそが弱い力である、この力は原子の崩壊をつかさどり、これも素粒子同士のみの範囲で働く。弱い力といっているが、重力よりは強く、電磁気力よりも弱い。 ちなみにだが、弱い力と強い力の発展で日本人は多大な貢献をしており、昔のNobel物理学賞の受賞はほとんど、このテーマから受賞されたといってもよいくらいである。 最近の小林ー益川理論や、南部理論、朝永の繰り込み理論等がそれであり、本書でも彼らがキーパーソンとして描かれている。 同時の天才たちによる発展の歴史、どのような問題にチャレンジして、どのような問題が立ちはだかっていたのか。この一冊で素粒子理論の発展を俯瞰的に理解することができる。物語としても面白い。 さて、最後に「標準理論」というのがある。これは過去のどのような理論よりも首尾一貫しており、現実の観測値を驚くべき精度で予測することができる。よくいわれる(電子の)g因子は小数点13桁まで一致する!まぁ、理論もすごいが、観測する方もすごい・・・ この理論は、重力以外の力をある一つの方程式に還元することができる。 これこそ本書の結論であり、現代物理の到達点である。 しかし、物語はまだまだ終わらなさそうである。 標準理論は確かに魅力的な理論であり、ほぼすべての現象を予測することができるが、上記のように重力だけ仲間外れにされていることや、ニュートリノの質量は0でなければいけない(小柴氏のNobel賞受賞理由は、このニュートリノに質量があることを観測で証明した事である)等、一部解決しないといけない問題があり、それは標準モデルよりも高度なモデルが存在することを示唆している。 我々は知らねばならない、そして我々は知るであろう。 D.Hilbert

Posted byブクログ

2013/11/30

話題のヒッグス粒子って何かな~。素粒子っていうのもイマイチわからんのだよね~。これを機にいっちょ理解させてもらおうかい! という気分で読み始めたのだが。。。 ちょっとねぇ、素粒子学者の方は頭がどうかしちゃってるんじゃないかい?なんでこんなことが理解できるの? 途中から、何かお経で...

話題のヒッグス粒子って何かな~。素粒子っていうのもイマイチわからんのだよね~。これを機にいっちょ理解させてもらおうかい! という気分で読み始めたのだが。。。 ちょっとねぇ、素粒子学者の方は頭がどうかしちゃってるんじゃないかい?なんでこんなことが理解できるの? 途中から、何かお経でも読んでいるような気分になってきましたよ。。。 結局、理解はできず。概要すら。

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2013/04/30

原題は、「無限大パズル」。ヒッグス粒子だけに焦点を当てた本ではない。出版時期からこういうタイトルになったのは無理もない。著者は、物理学者で、しかも物理学史の資料的な興味が大きいようで、かなりハードルは高い本になっている。前半は、QEDの繰り込みから、ヤン・ミルズ理論、ヒッグス機構...

原題は、「無限大パズル」。ヒッグス粒子だけに焦点を当てた本ではない。出版時期からこういうタイトルになったのは無理もない。著者は、物理学者で、しかも物理学史の資料的な興味が大きいようで、かなりハードルは高い本になっている。前半は、QEDの繰り込みから、ヤン・ミルズ理論、ヒッグス機構、ワインバーグ・サラム理論、そしてその繰り込み可能性の証明でクライマックス! 場の量子論をまじめに勉強するなら、事前にこの本で、経緯や位置づけを把握できていると、見通しが良くなると思う。そういう意味では、素晴らしい本だと思うが、同時に読者を選ぶ本でもある。 後半は、実験と結ぶビヨルケン・スケーリングの話、漸近自由性など。ノーベル賞を誰が取るのかという話も、ワインバーグ・サラム・グラショウなどの例を引いて書いてある。 物理的な内容については、一番濃い本。ここまで濃くなくて良いから、さっと、かつ正しくヒッグス粒子について知りたいなら、丸善の「ヒッグス粒子の見つけ方」が一番のお勧め。

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2013/03/27

近頃メディアを賑わしているヒッグス粒子。 本書は題名から分かる様にこの粒子が深く関わっている分野、素粒子物理の歴史について書かれた本です。 著者自身もこの分野の研究者であり、自身のキャリアを生かした解説が冴える内容となっていました。 では前置きはこの位にして以下で簡単に内容をご...

近頃メディアを賑わしているヒッグス粒子。 本書は題名から分かる様にこの粒子が深く関わっている分野、素粒子物理の歴史について書かれた本です。 著者自身もこの分野の研究者であり、自身のキャリアを生かした解説が冴える内容となっていました。 では前置きはこの位にして以下で簡単に内容をご紹介。 本書は2部構成全17章(+プロローグ、エピローグ)からなり、1部では冒頭、(著者の表現を借りれば)物理学2000年の歴史が変わる切っ掛けを作った天才大学院生(当時)の登場から始まり、その彼、ヘーラルト・トーホフトの業績をそれまでの物理学の歴史を通して解説しており、 2部では著者自身の研究キャリアも紹介しながら、その概念が導入され始めた当時には提唱者自身も数学的なトリックであり実在の物では無いとしていたクォークの研究と検出の歴史やイギリス水爆の父を自称していた放浪の天才ジョン・ウォードがノーベル賞を逃したいきさつ、CERNの大型ハドロン衝突型加速器(LHC:Large Hadron Collider)建設の政治面に関する解説等が記載されています。 内容は(少なくとも私の様な素粒子物理の基礎知識にも乏しい人間にとっては)かなり難しく、理解する為にはメモでも取ってきちんと確認しながら読み進める必要があるように思います。 しかし、その一方で詳細かつ丁寧な解説がなされており、じっくりと読み進めると素粒子物理について(少なくとも一般人としては)かなり理解を深められるのではないでしょうか。 また、(私の読書がそうだったのですが)仮に理解できない所は何となく目を通すだけと言う読書スタイルでも、研究者間の競争や些細な行き違いで絶対的な権威であるノーベル賞受賞を逃してしまった人々等、様々な人生を取り上げている本書は十分に充実した読書体験を提供してくれるのではないかと思います。 巻末の注釈も含めれば約460ページの大著。 じっくりと読まれる事をお勧め致します。

Posted byブクログ

2013/02/10

平易に書こうとしてくれる著者や訳者の努力は有難いのですが、部外者にはまだかなり難しすぎ 分からないなりにもファインマン氏を筆頭に高名な研究者達が少しづつこの分野を発展させていく描写は見事で、オックスフォードの物理学教授の著者の裏どり、解説は見事です

Posted byブクログ

2013/01/15

書いてること全然わからないけど、なぜか読み続けている感じ。 繰り返し繰り返し分かりやすく書いてるので、その敬意でこちらも文字を追いかけてるような。 勉強不足・・・。

Posted byブクログ