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国際秩序 の商品レビュー

4.6

33件のお客様レビュー

  1. 5つ

    16

  2. 4つ

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2024/06/07

20240521-0607 本書の初版が2012年で私の本が7刷目(2022年)だから、当然直近のロシアによるウクライナ侵攻やガザ爆撃に至る国際情勢は網羅されていない(Brexitも)。 近代ヨーロッパが始まる16世紀後半からの国際情勢史 が本書のメインテーマ。歴史的な叙述はとて...

20240521-0607 本書の初版が2012年で私の本が7刷目(2022年)だから、当然直近のロシアによるウクライナ侵攻やガザ爆撃に至る国際情勢は網羅されていない(Brexitも)。 近代ヨーロッパが始まる16世紀後半からの国際情勢史 が本書のメインテーマ。歴史的な叙述はとても読みやすく、キーパーソンとなる人物紹介は簡潔で分かりやすい。「均衡」「協調」「共同体」=この三つの基本原理を現代ヨーロッパは達成できているのであろうか。2024年6月、ちょうど欧州議会選挙が始まっているが、フォンデアライエン議長は再選されるのだろうか、目が離せない。 本書の最後がオバマ政権で終わっているので「幸福な時代」=民主主義の勝利に酔っていられた時代だったのだなあと思った。 今なら著者はどう評価するのだろうか。きっと論文とか書いていそうですが。

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2024/03/07

国際秩序という視座で、17世紀欧州から21世紀の太平洋地域までの国家の動きが解説されています。 世界史の授業で無味乾燥的に覚えた出来事や人物が、日本を揺さぶる現代の国際情勢へと、一つの軸で見事に連鎖していく感覚でした。 歴史って面白く、今の生活に関係してるんだ、と学習の意義を理解...

国際秩序という視座で、17世紀欧州から21世紀の太平洋地域までの国家の動きが解説されています。 世界史の授業で無味乾燥的に覚えた出来事や人物が、日本を揺さぶる現代の国際情勢へと、一つの軸で見事に連鎖していく感覚でした。 歴史って面白く、今の生活に関係してるんだ、と学習の意義を理解できる内容でした。世界史を高校時代に学んだ大学生や若い世代におすすめ。

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2024/02/25

これまでの世界秩序が構築されてきたかが、分かり易く著述されており、大変勉強になった。フランシス•フクヤマやサミュエル•ハンチントンの考えなどは、より複雑化と国境以外のボーダレス化が進む現代においてはより多くの人が理解することが求められるのだろうと強く感じた。

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2023/12/30

決して奇を衒うことのないオーソドクスな国際政治学である。著者は坂本義和と高坂正堯という戦後を代表する二人の国際政治学者の対比から筆を起こしているが、一読して著者が高坂から決定的な影響を受けているのは明らかだ。(著者は高坂の没後20年記念論集『 高坂正堯と戦後日本 』にも一文を寄せ...

決して奇を衒うことのないオーソドクスな国際政治学である。著者は坂本義和と高坂正堯という戦後を代表する二人の国際政治学者の対比から筆を起こしているが、一読して著者が高坂から決定的な影響を受けているのは明らかだ。(著者は高坂の没後20年記念論集『 高坂正堯と戦後日本 』にも一文を寄せている。) 理想主義的で典型的な「進歩的文化人」の坂本に対し、高坂は現実主義の保守反動とされることも多いが、国際政治を「力の体系(=勢力均衡)」「利益の体系(=相互依存)」「価値の体系(=理念の共有)」という三層構造で理解する高坂は、単純なリアリストでもリベラリストでもない。その国際政治観は本書でも度々引用されるヘドリー・ブルら英国学派に通ずるものがあり、理論より歴史を重視し、現実と規範双方にバランスよく目配りする。 既に指摘されていることだが、著者の言う「均衡の体系」「協調の体系」「共同体の体系」という国際秩序を規定する三つの原理は、50年前に高坂が提示した上述の三層構造にほぼ対応する。近代のヨーロッパ外交は「均衡と協調」(大国間会議による利害調整)に支えられたウィーン体制を経て、ビスマルク時代の「協調なき均衡」(剥きだしのリアルポリティーク)が破綻して第一次大戦に突入するが、その反省にたったウィルソンの「均衡なき共同体」(国際連盟の理想主義)も第二次大戦によって挫折する。結局、三つの原理のどれか一つを欠いても国際秩序の安定は保たれない、という平凡ではあるが極めて深い歴史的洞察が本書の結論だ。 ウィーン体制を起点とするヨーロッパ外交史の流れを、国際秩序の変遷という観点から手際よく整理してくれているのは有難い。名著であるが著述の構成が入り組んでおり、読むのに少々骨の折れる高坂の『 古典外交の成熟と崩壊 』のサブテキストとしてもお薦めしたい。

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2023/10/10

■細目次 https://gyazo.com/469b1d818bdef5ef5ce172d5cb3f3f31 https://gyazo.com/fe47351a40bed6da4b1b5fab61df9b0a https://gyazo.com/caa8f484086e687...

■細目次 https://gyazo.com/469b1d818bdef5ef5ce172d5cb3f3f31 https://gyazo.com/fe47351a40bed6da4b1b5fab61df9b0a https://gyazo.com/caa8f484086e6879224fd597f41e4fb6

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2022/10/20
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 日本の国際政治学会は東大の坂本義和と京大の高坂正堯による大論争があった。坂本は現実主義の「力による平和」の過度の依存に警鐘を鳴らし、勢力均衡の論理ではなく、世界市民の共和的発想からの平和を基盤に置くことを考えた。一方の高坂は、勢力均衡の観点から坂本を批判した。このような議論が生まれた背景には16~17世紀の宗教戦争にまで遡る。そして、それぞれウェストファリア体制・ウィーン体制・ビスマルク体制・ヴェルサイユ体制・冷戦を経てそれぞれの時代に適した平和を国際社会では模索した。そこにおいては、均衡・強調・共同体の三つの考えを組み合わせて国際政治が動いていった。つまり、既存の国際秩序が新しい状況に応じて柔軟に変容し、進化して弁証法的な作用と反作用を繰り返した新しい国際秩序が作られた。本書ではこの三つの考えを中心に近世から現代までの国際秩序の展開を概観する。   この本で興味深かったのは、p 126の記述で、キッシンジャーが述べていた「逆説的であるが、全ての当事国が少なからず不満を持っていることが安定の条件であり、譲歩が降伏ではなく、相手と同様に自国も犠牲が生じているように思わせることが大事である。」という記述がある。この記述は第一次世界大戦後のヴェルサイユ体制の過度なドイツの締め付けによる失敗を彷彿とさせる。やはり、一方的な正義感の押し付けによる善悪二元的な見方は単純であるが、敗戦国側に非を押し付けすぎるのではなく、その国の意向をある程度汲み取ることも大事かもしれない。いずれ、ウクライナ侵攻をしているロシアが国際社会で裁きの場に立たされる可能性は高いが、その際にも一定の恩を売り抑えつけることも大事だろう。  また、善悪に関しての関連する興味深い記述として、p 256の「善からは善のみが、悪からは悪のみが生まれるのは、決して真実ではなく、その逆も暫し起こる。」という記述がある。このような善意なる行為が、結果として悪意を持つ人よりも不利益を与える行動をしばし見る。  例えば、日常レベルではプレゼントの状況があげられる。人にプレゼントを何かをあげるときに、それはその人にとって好みであるか、好みだとしてもそれを欲しがるだろうか、色は?大きさは?などを考えないとその人に迷惑になることもある。そのように考え出すとプレゼントをするのは非常に難しいし、かといって行為レベルの話を変えても、その人の好みによっては迷惑である。   それを国家間レベルでも当てはまるかどうかの断言は難しい。しかし、他国の善なる介入(例えばPKO)や一方的な正義をかざす軍事行動の結果として状況を悪化させてしまう可能性はありうる。とりわけ、日本は関連法案で自衛隊の一時的な海外派遣が可能になるものの、やはり憲法9条の制約以外にも、その国が本当に「悪」であるのか?介入するタイミング、方法、人員、滞在期間などは適切であるのか?を慎重に検討する必要はあるだろう。仮に介入すべきか否かの議論が発生する場合に、盲目的な他国の追従ではなく、その地域に詳しい官民が合同して情報収集をし、他国の世論も考慮しつつ、その情報をもとに慎重に決断する必要があるだろう。

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2021/06/19

私は歴史が弱いのでついていけないところもあったけど 難しいであろう国際秩序について丁寧に紹介されている本と思いました。

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2018/11/04
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「均衡(バランスオブパワー)の体系」、「協調(コンサート)の体系」、「共同体(コミュニティ)の体系」という三つの国際秩序の原理をウィーン体制以降の欧州史を中心に解説されているのだが、勢力均衡がまず最初に必要なんだなと再認識するとともに、効果的な外交が必ずしも国民から支持されない/国益を害する外交姿勢が国民から支持される事は日本に限らず前例が多々あるのだなあと。そして、現在の日本は日米同盟を基軸に勢力均衡を取り戻しつつ、中国を交えた参加国において協調の体系を・・・まあいつの日にか確立できるのだろうか?一定の共通基盤があった欧州においてさえ、ナポレオン戦争から欧州に取り込んだ形でのドイツ再統一まで200年掛かっているわけだが・・・

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2018/07/18

「国際政治論」の参考文献。 以下、本書より。 ニクソンはかつて、「世界史の中で長期にわたる平和が存在したのは、バランス・オブ・パワーが存在した時代だけである」と語った。本書のなかで国際秩序の歴史を概観するかぎり、そのような認識が基本的に間違いではないことがわかる。確かに勢力均衡...

「国際政治論」の参考文献。 以下、本書より。 ニクソンはかつて、「世界史の中で長期にわたる平和が存在したのは、バランス・オブ・パワーが存在した時代だけである」と語った。本書のなかで国際秩序の歴史を概観するかぎり、そのような認識が基本的に間違いではないことがわかる。確かに勢力均衡のみでは平和を永続させることはできない。しかしながら、平和を永続させるための「協調の体系」や「共同体の体系」を確立するためには、「均衡の体系」を否定するのではなくむしろそれを基礎に置くことが重要となる。 だとすれば、日本外交の未来を考える上で、日本にとってアメリカと中国のどちらが必要かという選択が、意味を持たないことがわかるだろう。また、アメリカと中国の両国とも日本にとって重要であるというのも、今後の日本の戦略を考える上で十分な回答とはならない。 重要なのは、日本が十分な国力を備えて、日米同盟を安定的に強化して、アメリカが東アジアへの関与を継続できる環境を整えて、その上でこの地域において価値や利益を共有することである。価値を共有することで安定的な「均衡の体系」を構築し、その基礎の上に日中での協力関係を発展させ、この地域の平和を確立することが必要となる。 われわれは自国の利益や、この地域の平和を考える時に、あくまでも国際秩序全体を視野に入れる必要がある。それを可能とするためには、しっかりとした歴史観を持ち、そして長期的な視野を持つことが必要だ。平和を願い、友好関係を期待するだけでは、われわれはそれを得ることができない。それを実現するための強靭な論理を持たねばならない。国際秩序とは何かを理解すること。それが、そのための最初の一歩なのかもしれない。

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2015/11/16

日本国憲法のせいだろうか。多くの日本人が外交というと平和外交か恫喝外交しかカードが無いと思うほどの外交音痴ぶりだが、本書は歴史をひもときながら、外交とは何かを教えてくれる。 均衡の体系、協調の体系、共同体の体系の織りなす国際社会の視座が得られ、今後の日本の行く末を考える土台を与...

日本国憲法のせいだろうか。多くの日本人が外交というと平和外交か恫喝外交しかカードが無いと思うほどの外交音痴ぶりだが、本書は歴史をひもときながら、外交とは何かを教えてくれる。 均衡の体系、協調の体系、共同体の体系の織りなす国際社会の視座が得られ、今後の日本の行く末を考える土台を与えてくれる。 ・キッシンジャー:国際的な講話というものは、たとえそれが強制されたもので無く、受諾されたものであっても、常に、いずれの当事国にとっても、何かしら不条理なものと映るのである。逆説ではあるが、当事国がみな少なからず不満をもっているということが、安定の条件なのである。安定秩序の基礎は、関係当事国の相対的な安全--従って相対的な危険を意味する--にあるのである。 ・新聞・雑誌がこの時代(19世紀)に急速に普及したことで、他国へのステレオタイプや神話も醸成され、それにあわせて敵意が芽生えることもあった。 ・ヨーロッパ協調が機能するための2条件。1.主要な大国の間でパワーが均等に分布。2.それらの国が自制した行動を取ること。 ・均衡が力の体系ならば、共同体は価値の体系。 ・パスカル:力と正義を一緒におかなければならない。 ・キッシンジャー:現代の危機が力を行使するだけでは解決され得ないことは自明の理である。しかしながら、これをもって、現在の国際関係において、力がなんらの役割も果たさないとは考えてはならない。 ・抑止、均衡は自動的なものではない。 ・伝統的な国際社会は自助原理に頼っていた。つまり、集団安全保障体制やPKOは適切に機能しない。 ・ニクソン:世界史の中で長期にわたる平和が存在したのは、バランスオブパワーが存在した時代だけである。

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