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世界の経営学者はいま何を考えているのか の商品レビュー

3.9

210件のお客様レビュー

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2017/06/05

初めてオーディオブックで読了。聴了? 「経営学という分野がいまどこに向かっているのか?」という疑問に答えることを目的とした本。それに答えるには「そもそも経営学ってどんな学問なのか」ということにも答える必要もあるのですが、そこら辺配慮しようという著者の思惑が感じられる丁寧な語り口...

初めてオーディオブックで読了。聴了? 「経営学という分野がいまどこに向かっているのか?」という疑問に答えることを目的とした本。それに答えるには「そもそも経営学ってどんな学問なのか」ということにも答える必要もあるのですが、そこら辺配慮しようという著者の思惑が感じられる丁寧な語り口でした。(オーディオだったので、まさに「語り口」) そもそも歴史が浅いことや経済学、心理学、社会学といった様々なルーツや背景を持つ研究が織り交ざった分野であるなどからまだまだ発展途上の学問であるという経営学がまさにいまどのようなトピックを扱っているのか、具体的な研究者名やリサーチクエスチョン、研究の切り口などを紹介してくれます。 それぞれ深入りするものではないけれど、なんとなく掴みどころがないなと感じていた経営学の全容をなんとなく見渡すことができます。 何より掴むべきは見渡すことが出来るほど全容がしっかりあるわけではない、というところなんでしょうけど。 興味を持っていた色々な研究の関係性が分かったことと、もう少し勉強したい分野にあたりをつけられたことは良かった。 まだまだ今後多様化していく分野だと思います。特に今は手法の違いはあれそもそものスタートが「企業経営」であり、売上や利益の追求がその目的になっているけれど、これからさらに不確実性を増してくる社会の中で、課題解決が目的の組織体の研究ということももっと出てくることが期待されるし、おそらくそうなっていくでしょう。しっかりトピックについていきたい分野です。

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2017/05/07

欧米の経営学の現状や研究動向を広く解説いただいております。 工学を学んでから経営学をかじった者として、常々思っていた疑問にこの書は的確に答えてくれました。 経営学のカテゴリーである社会科学においても、科学という名がつく以上は、定量的に実証することが必要であることにも納得。 そのた...

欧米の経営学の現状や研究動向を広く解説いただいております。 工学を学んでから経営学をかじった者として、常々思っていた疑問にこの書は的確に答えてくれました。 経営学のカテゴリーである社会科学においても、科学という名がつく以上は、定量的に実証することが必要であることにも納得。 そのために必要なツールである統計学について、古典的な平均・標準偏差によるガウシアン統計だけでなく、ベイズ統計や書籍"ブラックスワン"で名を馳せたべき乗則を要する複雑系の活用による俗にいう"外れ値"の考慮にも多いに納得です。

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2017/04/30

「経営学」関係では久しぶりに面白い本で、かなり知的好奇心を刺激された。 今、世界(アメリカ?)の経営学が、実証科学として、発展しているさま、そして、それは理論的、実証的なソフィスティケーションとともに、刻々と変るビジネス・企業の実態を対象として、研究テーマが変化していることが、...

「経営学」関係では久しぶりに面白い本で、かなり知的好奇心を刺激された。 今、世界(アメリカ?)の経営学が、実証科学として、発展しているさま、そして、それは理論的、実証的なソフィスティケーションとともに、刻々と変るビジネス・企業の実態を対象として、研究テーマが変化していることが、実感できた。 バックグラウンドになっているディシプリンも、従来的な経済学の方法論をつかった方法論だけでなく、認知心理学やネットワーク理論、社会学などの方法論が進んでいるということも面白かった。 と同時に、実践に役立つというところでは、「経営学」は、まだまだ、さまざまな課題がありそうだな、ということもよく分かった。 本書の冒頭部分で、「アメリカの経営学者はドラッカーは読まない」という挑戦的なフレーズがあります。つまり、実証科学という観点からは、ドラッカーは、実証的でない、反証可能な主張ではない。要するに、科学ではなくて、哲学みたいなもの、ということかな? で、思うのは、いわゆるセンゲなどの「学習する組織」は、経営学のトレンドからすると、かなり異端だな、ということ。実証性みたいなのを完全に手放しているからね。「だって、未来は出現するんだから、過去の統計データみたって、意味ないじゃん」みたいな。 "The Fifth discipline"には事例はあっても、実証はない。 第1版のときは、「これからのやっていくことなので、ケースとか、実証データはない」ということかと思っていたのだが、15年後の第2版にも、実証研究的なものは全くない。あるのは、実践者のインタビューを通じて得られた「振り返り」のみ。 ある意味、「学習する組織」は科学ではなく、実践なのだと再認識。 なのでピーター・センゲとか、オットー・シャーマーは、MITの上級講師で、教授ではないんだ。。。みたいな。

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2017/02/09

平易な言葉で 経営学のフロンティアがわかる。 「経営学者はドラッカーを読まない」など 経営学についての三つの勘違いから入る。 居酒屋トークを検証するという導入から 組織の記憶力 両利きの経営 三つのソーシャル 日本人は集団主義か? アントレプレナーシップの国際化について リアル...

平易な言葉で 経営学のフロンティアがわかる。 「経営学者はドラッカーを読まない」など 経営学についての三つの勘違いから入る。 居酒屋トークを検証するという導入から 組織の記憶力 両利きの経営 三つのソーシャル 日本人は集団主義か? アントレプレナーシップの国際化について リアルオプションについて 最後に経営学は本当に役に立つか? などが、わかりやすい言葉で書かれている。 経営学は科学を志向するため 哲学は含まれない。 科学とはベースに統計的手法が存在する。 そこから逸脱しているように見える 個性的なトップ企業は分析しにくい。 その分析へ経営学の新たな努力は進んでいる。 こうしたラストあたりの私見が 経営学のこれからを 示唆しているように思えた。

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2017/01/17

様々な経営に関する研究内容を分かりやすく伝えてくれている。特に共感したキーワードは「知の進化&探索」「トランザクティブ・メモリー」

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2016/12/23

経営モデルではなく学問としての経営「学」の話。 論理的にまとめられているだけでなく、エッセンスをかみ砕いて記載しているので、読みやすい。

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2016/09/22

競争優位を持続できる企業はもはや全体の二~五%しかないのです。 トランザクティブ・メモリーとは、組織の記憶力に重要なことは、組織全体が何を覚えているかではなく、組織の各メンバーが他メンバーの「誰が何を知っているか」を知っておくことである、というものなのです。 恋人同士と他人...

競争優位を持続できる企業はもはや全体の二~五%しかないのです。 トランザクティブ・メモリーとは、組織の記憶力に重要なことは、組織全体が何を覚えているかではなく、組織の各メンバーが他メンバーの「誰が何を知っているか」を知っておくことである、というものなのです。 恋人同士と他人同士で、記憶力が高いのはどちらか トランザクティブ・メモリーを活用することが組織の記憶力を高める上で重要である可能性が経営学では主張されている。  知は、知と知から生まれる 当面の事業が成功すればするほど、知の探索をおこたりがちになり、結果として中長期的なイノベーションが停滞する」というリスクが、企業組織には本質的に内在しているのです。これが「コンピテンシー・トラップ(Competency Trap)」 従業員の意識を高めることで、一人ひとりがつねに両利きの経営を意識するような企業文化を作り上げることもできるかもしれません。   たとえば、「ヤミ研」などはそれにあたるのではないでしょうか。 実は弱い結びつきのネットワークのほうが、強い結びつきのネットワークよりも情報伝達が効率的である」 知の探索のために有効なのは、強い結びつきではなく弱い結びつきです。 仮定のチェックリスト」を作ることを二人は提案します。  事業計画では、不確実性のあるものにはとりあえず仮定をおくことになりますが、それを事前にリストとして書き出しておくべきである、ということです。 ポーターの競争戦略とは「競争しない戦略」のことである、と言って差し支えないのです(まるで禅問答みたいですが)。なるべく競争の少ない産業を選び、ライバルよりもユニークなポジションをとれば、他社とガチンコで競争しないですむから、結果として安定した収益を得られる、すなわち持続的な競争優位が得られる、

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2016/05/28

面白かった。面白すぎて催してトイレに行ったくらい面白かった。文章がとても丁寧で読みやすい。同い年の人がこうやって活躍するのを見るのは嬉しいね。読みたい本や論文がたくさん出てきたけど、手に入るのかな?ちなみに僕は、コグート・シン指数によると日本から69カ国中64番目に「国民性の距離...

面白かった。面白すぎて催してトイレに行ったくらい面白かった。文章がとても丁寧で読みやすい。同い年の人がこうやって活躍するのを見るのは嬉しいね。読みたい本や論文がたくさん出てきたけど、手に入るのかな?ちなみに僕は、コグート・シン指数によると日本から69カ国中64番目に「国民性の距離」がある国で仕事してます!

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2016/05/25

★社会科学は僕には少し座りが悪い★幾多のビジネス本とは異なり、経営学とは社会科学を目指す学問だと丁寧に説明する。統計分析が主流なのはよく理解できるが、たとえ米国内の1000社を分析しても自然科学とは異なる一種のケーススタディーに思えてしまう。とはいえ、経営学という学問の姿を理解す...

★社会科学は僕には少し座りが悪い★幾多のビジネス本とは異なり、経営学とは社会科学を目指す学問だと丁寧に説明する。統計分析が主流なのはよく理解できるが、たとえ米国内の1000社を分析しても自然科学とは異なる一種のケーススタディーに思えてしまう。とはいえ、経営学という学問の姿を理解するには役立ちそう。  興味深かったのは、経営戦略論でコンテンツ派(どのような戦略を取るべきか)とプランニング派(どういうやり方で戦略を立てるか)をつなぐリアル・オプションの考え方。不確実性が高いことはチャンスと明示して、段階的な投資という手法を示す。この際、当初の仮定を常に見直し(既成事実と混同しない)ながら判断を繰り返すことが大切と主張する。  もうひとつは平均を分析する社会科学では、平均から離れた飛び抜けた成功例をとらえきれない可能性について。実際のビジネスで必要なのは確かにここだろう。これも統計分析の手法を精緻にして乗り越えようとしているとのことで、詳しい内容は分からなかったが経営学の関心の方向が理解できていい。

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2016/02/27

大変参考になった。最近の経営の潮流とその理論的なアプローチは実際のビジネスのトレンドを体系的に把握するという意味で、戦略立案の実務に役に立つと思う。一方で経営学というのが経営に関する真理を追究するというところは、物理を学んできたものにとっては違和感というか、それは意味があるのか?...

大変参考になった。最近の経営の潮流とその理論的なアプローチは実際のビジネスのトレンドを体系的に把握するという意味で、戦略立案の実務に役に立つと思う。一方で経営学というのが経営に関する真理を追究するというところは、物理を学んできたものにとっては違和感というか、それは意味があるのか?という気がしてならない。物理などの科学が自然摂理であることに比べて経営や経済などは人の営みによる事象であるからには真理を求めること自体がナンセンスなのでは?と思う。

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