SOSの猿 の商品レビュー
「ちょっとへんてこりん」という言葉の似合う作品。 『あるキング』では 「今までの伊坂と違う!」とか 「変な作品」だとか評判や感想があがっていたけれど、 本作は、初期(仮)の伊坂作品と文体の似た部分が『あるキング』よりも多い気がして、 だからますます、妙な風味に仕上がっていると感...
「ちょっとへんてこりん」という言葉の似合う作品。 『あるキング』では 「今までの伊坂と違う!」とか 「変な作品」だとか評判や感想があがっていたけれど、 本作は、初期(仮)の伊坂作品と文体の似た部分が『あるキング』よりも多い気がして、 だからますます、妙な風味に仕上がっていると感じた。 いい意味で。 とても、とは言わないけれど、 けっこうおかしい。 「ちょっとへんてこりん」な具合の作品だ。 ダブル主人公の二人、 特に「今」の五十嵐氏が好ましい人物で 読後感は爽やかだった。 また、装丁は今までの伊坂作品で一番好きかもしれない。 大切に、また少ししたら読み直してみたいと思う。
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想像力と因果関係を巡る話。 実に伊坂幸太郎チックなのですが今ひとつな感じが拭えません。 話が強引すぎる。。
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あとがきに書いてある内容からすると、ファンからは評価の低いストーリーらしい。けど、個人的には結構好き。 孫悟空は実在するのか? 読者の解釈によってどうとでも考えられる内容なので、ミステリーらしくもありファンタジーでもあるような。
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うーん。鴨とアヒルのような、なんだかよくわからなかった。 ラストは良かったけど。 不思議ワールド全開で読み進めるのがちょっとしんどかった。 慣れたころには、物語は終息してるし。
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「私の現実的な感覚からすると,「悪魔が憑いていることが恐ろしい」としか思えないのだが,神父はその逆で,「こんな恐ろしい言動をする彼女に悪魔が憑いていなかったら」そのことの方が恐ろしいと感じていたのだ」 「「自分はそんなことはしない。そんなことをするやつがいるとは信じがたい」と宣言...
「私の現実的な感覚からすると,「悪魔が憑いていることが恐ろしい」としか思えないのだが,神父はその逆で,「こんな恐ろしい言動をする彼女に悪魔が憑いていなかったら」そのことの方が恐ろしいと感じていたのだ」 「「自分はそんなことはしない。そんなことをするやつがいるとは信じがたい」と宣言する人間は,真の原因にたどり着けないからだ。以前,テレビのワイドショー番組で,幼児虐待のニュースの際,訳知り顔の司会者が,「愛するわが子にこんなことをする母親がいるなんて,信じられません。人間の屑ですよ」と憤懣やるかたない表情を浮かべていたのをみて,「そうだろうか」と五十嵐真は首をかしげたくなったことがある。その母親の置かれていた状態を十分に知らないうちから「人間の屑」と断定できることのほうが不思議でならなかった」 「家族以外の誰かが「良くなりますように」と祈ることは,誰かを助けたいを思うことは,ひどいことではないはずだからだ。悪いことではない。そう,良い効果はなくても,悪い効果があるわけでもない」 「不信感は,その人が失敗するから生まれるわけではありません。失敗を認めないことから生まれるんです」 「物語は,時々,人を救うんだから」 「私」と「猿」の話がリンクしてからの伏線回収は止まらず一気に読んだ。 すごく不思議なこの設定でそれなりに面白く読ませるのはさすが。文章の感じが好きだというのは大きいけど。 が、伊坂作品の中ではやっぱりイマイチな方。 ここモダンタイムス、あるキング、これとイマイチが続いてて残念だけど、マリアビートルの文庫化を楽しみにしたい。
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『救急車って、どこに行くの』 『どこかでね、誰かが、痛い痛い、って泣いているんだよ。だから、助けに行くんだよ』 『お客様か。大歓迎だね。好きなだけ買っていってくれ。何を買いに来た? 避妊具か? 避妊具か? それとも、ほら、あれだ、避妊具か?』 『自己顕示欲、名誉欲、嫉妬、孤独...
『救急車って、どこに行くの』 『どこかでね、誰かが、痛い痛い、って泣いているんだよ。だから、助けに行くんだよ』 『お客様か。大歓迎だね。好きなだけ買っていってくれ。何を買いに来た? 避妊具か? 避妊具か? それとも、ほら、あれだ、避妊具か?』 『自己顕示欲、名誉欲、嫉妬、孤独、そういったものは結局、突き詰めれば、一言で表せる』 『一言で』 『「僕を見て」と』 『先ほど、わたしは、人には、「僕を見てくれ」という欲求があると言ったが、それともつながるかもしれないね』 『どういうことですか』 『SOSを発信している人は、やはり、その信号を聞いてもらいたいんだ』 『どういうことですか』 『二郎は、SOSを発している人間を救えないと嘆いているが、そうではなく、キャッチしてるだけでも充分、救いになっている。そうは思わないか』 『では、親はどうすればいいんでしょう』 『「子供のことが分からないけど、分かりたい」そう思ってるくらいがちょうどいいんじゃないか』 『人っていうのはやっぱり、言葉にして伝えないと相手には気持ちを理解されないんです。だけど、言葉にするのを省いて、うまくコミュニケーションが取れないと、「どうして分かってくれないのか」と腹が立ったり、「きっと相手は自分をこう思ってるのだ」と勝手に先回りして、怒ったりして、結局、雪だるま式に関係は悪くなっていくんです』 『それ、悪魔祓いの基本書とかに載ってるの?』 『いえ、離婚調停の本に載ってました』 『音楽は最初の一滴。それが波紋をつくる。波紋が波紋を生んでいく。やがて、大きな波となる。波は大気を揺らし、星を覆い、そして、目に見えぬ、約束に届く』 『物語は、時々、人を救うんだから』 『鴈子さんは、眞人は感受性が強いのよ、と言い、「鶏の肉はおいしいね」とあまり感受性を感じさせない言葉を吐いて、唐揚げを食べた。』 『でもさ、いつか絵、描いたら見せてね』 『絵の何たるかも知らないくせに』 『わたし、二郎の絵、好きだから』 『子供ってのはいろいろ考え込むもんだからね、思春期は特に、哲学の季節だよ』 『そうですね、まずは隠れたほうが』 『こういう時はね ー 堂々としているほうがどうにかなるんだって』 『どこかで誰かが泣いているんです。僕たちは、誰かのSOSを耳にしたんです。』 『あのね、母親ってのは、夢の中で息子が困ってるなら、その夢の中にも飛び込んでいきたいものなのよ』 『エアコンは、誰かを救う。分かりやすくていいだろ。それを僕は売る』 『エアコンの機能が、誰かの生活の苦しみから解放する。いいことではないか。やれることをやるほかない。』
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2つの話が交差して、物語が思いもよらない方向に… 新聞小説が元になっていただけあってテンポよく展開が進んでいき、爽快感あり。 因果関係の話などがちりばめられていて、その一つ一つのエピソードも楽しめますー
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やはり伊坂作品は繋がる。何処にいってしまうのだろうと、不安と言ってもいいぐらいの、特に第二期といわれる作品群では、それが顕著で。だけど繋がっていたのだと、わかる、理解させられる。 僕にとっては、それがちゃんとした形ではないことに、むしろ安心感を覚えてしまう。 我ながら不思議で、ま...
やはり伊坂作品は繋がる。何処にいってしまうのだろうと、不安と言ってもいいぐらいの、特に第二期といわれる作品群では、それが顕著で。だけど繋がっていたのだと、わかる、理解させられる。 僕にとっては、それがちゃんとした形ではないことに、むしろ安心感を覚えてしまう。 我ながら不思議で、また伊坂作品を読みたくなる。
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