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ヘンな日本美術史 の商品レビュー

3.9

94件のお客様レビュー

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2018/11/05

著者自身が画家なので、評論家による美術論ともまたちょっと違う角度で論じている。具体的な技術への言及が多いし、実作者としての心構えみたいなことに話が及ぶのも面白い。なかなか達者かつ軽妙洒脱な文章で、引き込まれてスイスイ読んでしまう。しかし最後の明治のあたりまで来ると、現代の日本美術...

著者自身が画家なので、評論家による美術論ともまたちょっと違う角度で論じている。具体的な技術への言及が多いし、実作者としての心構えみたいなことに話が及ぶのも面白い。なかなか達者かつ軽妙洒脱な文章で、引き込まれてスイスイ読んでしまう。しかし最後の明治のあたりまで来ると、現代の日本美術に対する著者の問題意識がこの本の背骨となっていたことが明らかになってくる。 ・色の奥行きだとか透明感は印刷では伝わらない ・「鳥獣戯画」は観衆の前で描いた気がする ・白描画と印象派はイリュージョンという共通点がある ・調度品的な絵巻物の「毒にも薬にもならない」良さ ・描かれた当時のような暗い室内照明で見てわかる良さ。 ・「画聖」雪舟の完成されきっていないパイオニアぶり。晩年まで実験的 ・本物の表面をまねることによる「古屋の漏り」「ジュリアナ」効果。かえって面白いものが出来たり ・ぜんぜん違うタッチが同居する「慧可断ぴ図」。横顔のなのに正面向きの目。写実的でないことに意外と気づかないものだ ・いろんな人が描いた「洛中洛外図」。垂直線、水平線や角度のつけ方で構図を見る。もちろん実際に見える風景ではない。妙な迫力の高津本 ・3段階ギアくらいの主観的な遠近法 ・デッサンみたいな写実ではないが、気韻を写す。若冲はとにかく鶏を観察したが、見ながらは描かなかった。 ・コラージュの妙「六道絵」 ・明治の画家たちの苦労。西洋を真似ても馬鹿にされるし、真似られなくても馬鹿にされる。しかも、一度自転車の乗り方を覚えると、乗れないことを思い出せない。 ・洋行の際の服装「英語が不自由なくできるなら和装で」by岡倉天心

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2018/05/08

ヘンと言えばヘンな絵が紹介されている。絵がヘンというより、ラインナップがヘンな印象。絵の見方や考え方が平易な言葉で書かれていて面白い。 2018/5/8

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2018/01/18

面白いだけでなく、元気になった。美術のことはあまり分からないし、説明を読んでも実際の絵にそんな意味がなんで読み取れるのか、驚くばかりだった。しかし、美術に関して、批評の中で理想が語られていることは確かであり、それが門外漢の私が聞いても励みになるのだから、そこには美術にとどまらない...

面白いだけでなく、元気になった。美術のことはあまり分からないし、説明を読んでも実際の絵にそんな意味がなんで読み取れるのか、驚くばかりだった。しかし、美術に関して、批評の中で理想が語られていることは確かであり、それが門外漢の私が聞いても励みになるのだから、そこには美術にとどまらない、もっと広大な射程をもった理想が含まれていたのだと思う。従って、テクニカルな話を超えて、我々一般人に訴求する何かがこの評論に含まれているはずだが、それは新しい時代が求めているものだとしてしまうと、全くの知ったかぶりだし、しかし、この喜悦というものは確かに意味がありそうだ。私が到達して見えたものはこの程度で、力不足は否めない。

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2017/12/19

自分が描いたということにこだわらなかった「鳥獣戯画」の作者たち。人も文字もデザイン化された白描画の快楽。「伝源頼朝像」を見た時のがっかり感の理由。終生「こけつまろびつ」の破綻ぶりで疾走した雪舟のすごさ。グーグルマップに負けない「洛中洛外図」の空間性。「彦根屏風」など、デッサンなん...

自分が描いたということにこだわらなかった「鳥獣戯画」の作者たち。人も文字もデザイン化された白描画の快楽。「伝源頼朝像」を見た時のがっかり感の理由。終生「こけつまろびつ」の破綻ぶりで疾走した雪舟のすごさ。グーグルマップに負けない「洛中洛外図」の空間性。「彦根屏風」など、デッサンなんかクソくらえと云わんばかりのヘンな絵の数々。そして月岡芳年や川村清雄ら、西洋的写実を知ってしまった時代の日本人絵師たちの苦悩と試行錯誤…。絵描きの視点だからこそ見えてきた、まったく新しい日本美術史。(袖)

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2017/09/29

わりとマイナーな絵について考察されてる気がするので通向け? スマホ片手にかんたんに画像検索できる昨今ではありますがそういう環境を持たざる人にとっては肝心の絵が載っていない項目において悶々とした気持ちになるでしょう。 筆者の口調がゆるふわ毒舌的で褒めてるのか貶めてるのか悩ましく、そ...

わりとマイナーな絵について考察されてる気がするので通向け? スマホ片手にかんたんに画像検索できる昨今ではありますがそういう環境を持たざる人にとっては肝心の絵が載っていない項目において悶々とした気持ちになるでしょう。 筆者の口調がゆるふわ毒舌的で褒めてるのか貶めてるのか悩ましく、その絵を見たい、とはならないけれど読み物としては面白かった。

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2017/07/10

読み易かった。 知らない絵は勿論のこと、知ってる絵も、なんとなーくわかる絵も、画家視点で観ると、目の付け所が違うと言うか。そんなん言われたら、生で見たい!と思うが何点かできた。 スゴイ人(小並感…)は、専門家から見てもやっぱりスゴイ人なんだと思うと、ひたすら偉人だな、、、。 ...

読み易かった。 知らない絵は勿論のこと、知ってる絵も、なんとなーくわかる絵も、画家視点で観ると、目の付け所が違うと言うか。そんなん言われたら、生で見たい!と思うが何点かできた。 スゴイ人(小並感…)は、専門家から見てもやっぱりスゴイ人なんだと思うと、ひたすら偉人だな、、、。 どれもこれも有名だし、魅力的な絵だと素人の私からすれば、そう思うのだけれど、白描画(見たことあるけど、名前は知らなかった)に惹かれた。よくよく考えてみたら分かることではあるが、紙の色:白と黒の二色だけで、女人の髪のツヤサラ感をこれだけ出してしまえるって、、、凄腕すぎ。 『尹大納言絵巻』福岡市美術館 松永コレクション で、枕草紙絵は、もう、柄?模様?見てるだけでしんどい。"白を後から塗れない不自由さ"って何事?不自由どころの話じゃないでしょうよ?!と思うし、"むしろ面白さに変えていく"ってまぁ、それが出来る人だったから、あんなん描けたワケなんだが、もう次元が違い過ぎてわけわからん。

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2017/05/02

教養として、おさえておきたい日本の画家などが多数。 高階秀爾の娘も芸術関連の著書があるのを知れて良かった。

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2017/03/29

思っていたより硬派な内容だった。 根が真面目で、そこはかとなく愉快な著者の性格が染み出ている感じ。 先日読んだ赤瀬川さんとはまた随分違っていて、そこがまた面白かった。 画家がどう絵との向き合っているのかを、知ることができて興味深かった。 白描画、洛中洛外図高津本、光明本尊、川村清...

思っていたより硬派な内容だった。 根が真面目で、そこはかとなく愉快な著者の性格が染み出ている感じ。 先日読んだ赤瀬川さんとはまた随分違っていて、そこがまた面白かった。 画家がどう絵との向き合っているのかを、知ることができて興味深かった。 白描画、洛中洛外図高津本、光明本尊、川村清雄といったラインナップは、この著者ならでは。

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2017/03/06

日本画を見る目がちょっと変わりそうなおもしろい話の数々。 こんなに読みやすくわかりやすいとは思わなかった。

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2017/01/25

美術「史」というほど整ってはいないけど、いちおう時代順に並んでいる。カルチャースクールで講義した内容をまとめてあるので、さらさらと読める文章。画家である著者の主観が濃く滲み出て、それが結構おもしろい。下手とは、上手とは、絵を描くとは。

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