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ヘンな日本美術史 の商品レビュー

3.9

94件のお客様レビュー

  1. 5つ

    17

  2. 4つ

    34

  3. 3つ

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2021/02/10

「ヘンな」と言って謙遜しているが、山口流日本美術作品論。実作家として目指すところがあるから、その観点でダメと思うものには容赦が無い。 テーマはずばり「現代の日本で絵を描くことの意味」。西洋の写実、透視遠近法を知ってしまった後の日本でどのような絵画空間を作るのかという話。河辺暁斎は...

「ヘンな」と言って謙遜しているが、山口流日本美術作品論。実作家として目指すところがあるから、その観点でダメと思うものには容赦が無い。 テーマはずばり「現代の日本で絵を描くことの意味」。西洋の写実、透視遠近法を知ってしまった後の日本でどのような絵画空間を作るのかという話。河辺暁斎は「パースを取れないことができた人」。

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2020/11/09

自戒を込めながら思うままに綴られていて、大変好感が持てます。 本書を貫くテーマ、あるいは著者の信条は、「絵の向こう側」にあると感じました。 中でもその核となる記述を引用します。 〉「真景」 〉「目に見える実物よりも一層、真実に近いものという意味で解釈している」 〉「そのままを描...

自戒を込めながら思うままに綴られていて、大変好感が持てます。 本書を貫くテーマ、あるいは著者の信条は、「絵の向こう側」にあると感じました。 中でもその核となる記述を引用します。 〉「真景」 〉「目に見える実物よりも一層、真実に近いものという意味で解釈している」 〉「そのままを描いたのでは、その物を言い尽くすことはできない」 これらの製作者側でのメッセージを受けて、絵はただ観るのではなく、どのように在ってどのような真実を見出すかを楽しむアプローチもあるんだなと思い至りました。 各作品の紹介もどこかしつこくおもしろく、個人的には「白描画」の魅力にシビれました。(←山口さん流表現) “無い(空)”のカタチを捉える意味で、白描画は最高峰なのだと思います。特に『尹大納言絵巻』が素晴らしい。ゆらめきあそばせって感じでとてもよい。白描画、観に行きます。 「色んな絵が在って面白いぞ」が本書の入り口であるように、骨太なテーマを垣間見させながら日本美術の面白さに気軽に触れられます。 受け取りたいように受け取って、世界がちょっと広がる。 そのバランスがちょうどよく、好きです。

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2020/08/15

ここで書かれているのは、鳥獣戯画に始まり明治画壇まで。しかも、日本美術を通してと言うよりも、著者が一言言いたいことがあるところをピックアップしてるかんじですね。 でも、やはりご自身が絵描きなだけあって、他の批評よりも中に入った物言いになってるところが面白い。油絵をされていたそうで...

ここで書かれているのは、鳥獣戯画に始まり明治画壇まで。しかも、日本美術を通してと言うよりも、著者が一言言いたいことがあるところをピックアップしてるかんじですね。 でも、やはりご自身が絵描きなだけあって、他の批評よりも中に入った物言いになってるところが面白い。油絵をされていたそうで、西洋との比較などもわかりやすく示されている。独特な言い回しや例え方に著者の個性が見える気がする。 考えさせられることも多々あるが、最初から最後までホント笑わせてくれる。 ホントに変な日本美術史ですw

Posted byブクログ

2020/03/21

個性的な画家が語る、日本美術の歴史と画家たちについての講義。 第一章 日本の古い絵ー絵と絵師の幸せな関係 第二章 こけつまるびつの画聖誕生ー雪舟の冒険 第三章 絵の空間に入り込むー「洛中洛外図」 第四章 日本のヘンな絵ーデッサンなんかクソくらえ 第五章 やがてかなしき明治画壇ー美...

個性的な画家が語る、日本美術の歴史と画家たちについての講義。 第一章 日本の古い絵ー絵と絵師の幸せな関係 第二章 こけつまるびつの画聖誕生ー雪舟の冒険 第三章 絵の空間に入り込むー「洛中洛外図」 第四章 日本のヘンな絵ーデッサンなんかクソくらえ 第五章 やがてかなしき明治画壇ー美術史なんかクソくらえ 適宜関連の絵の画像有り。 画家の視点で、楽しそうに痛快に絵の見方を教えてくれます。 なんたって山口氏だもの、その斬新なこと! 初っ端から「鳥獣戯画」嫌いで始まったくらいだもの。 印刷よりも実物を。紙本と絹本での描写の違い。修復の問題。 その絵が飾られていた環境。日本文化の「オリジナリティ」 雪舟の新しさへの挑戦。洛中洛外図の描写様々。 ヘンだけど下手だけど残った作品。応挙の言い分。 イリュージョンとアウトサイダーなアート。美術学校。 明治以降の“日本美術”の登場。何でも描いてやろうな暁斎。 いろいろな技法を取り入れても浮世絵師な芳年。 西洋絵画を解体して日本絵画の一部に再構築した川村清雄。 次に作品を鑑賞するときに、大いに参考になることだらけです。 また、日本の作品だけでなく、海外の作品や作家についても、 ちょこちょこっと述べているのも、興味深いです。特に、 ヘンリー・ダーガーが紹介されていたのにはビックリでした。

Posted byブクログ

2020/02/28
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

 読み易かった。  (知らない絵は勿論のこと)知っている絵も、なんとなーくわかる絵も、画家視点で観ると目の付け所が違うと言うか。そんなこと言われたら生で観たい~~~!と思う絵が何点かできた。  で、スゴイ人(語彙力)は、専門家からしてもスゴイお方なんだと思うと、ひたすら偉人だな。  どれもこれも有名だし、魅力的な絵だと、ちゃらんぽらんからすれば、そう思うのだけれど、白描画(見たことはあるが、そう言う名称だと知らなかった)に惹かれました、ええ。よくよく考えてみたらわかることではあるが、紙の白と黒の二色のみで、女人の髪の毛のツヤサラ感を表現できてしまうって…凄腕すぎ。「尹大納言絵巻(女巻)」福岡市美術館 松永コレクション  枕草子絵は、もう柄?模様?見てるだけでしんどい。“白を後から塗れない不自由さ”…ん?“むしろ面白さに変えていく”ハァ?!まぁそれが出来る人だから、あんなん描けるワケだけど、もう次元が違いすぎ。

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2019/05/04

 最近、変な絵にはまっている。 最初、美術鑑賞始めたときは、「美しい・うまい・すごい」くらいしか感想なかったが、最近はこれは変な絵じゃないか?どうしてこんなもの描いたんだろうかと思うようになって美術館に行くのが本当に楽しくなった。 特に、日本美術は禅画に始まり、浮世絵なども大衆...

 最近、変な絵にはまっている。 最初、美術鑑賞始めたときは、「美しい・うまい・すごい」くらいしか感想なかったが、最近はこれは変な絵じゃないか?どうしてこんなもの描いたんだろうかと思うようになって美術館に行くのが本当に楽しくなった。 特に、日本美術は禅画に始まり、浮世絵なども大衆の文化として広まった面が特に強くて、ユーモラスな作品が多く楽しくなってきた。 本書は、そのことをうまく解説してくれている。 学校で習った美術の授業もこんなこと教えてくれればよかったのにと悔やまれる。

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2019/03/28

日本画の面白い見方を学びました。 読書中にたまたま訪れたインポッシブルアーキテクチャ埼玉県立近代美術館に展示されていた山口さんの生画を見れて嬉しかったです。山口さんの絵はカッコつけてないけどカッコいい!

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2019/01/14

筆者・山口晃の大ファンなので、表紙絵や、本文の軽妙な語り口だけでも堪らんです。なんなら1冊まるごと山口先生の画論というのが既にすごい。 一般的な美術の解説って、この人はこのような技法を確立させました、とか、こういう表現方法を生み出しました、とかいう風に、「完成形」について論じら...

筆者・山口晃の大ファンなので、表紙絵や、本文の軽妙な語り口だけでも堪らんです。なんなら1冊まるごと山口先生の画論というのが既にすごい。 一般的な美術の解説って、この人はこのような技法を確立させました、とか、こういう表現方法を生み出しました、とかいう風に、「完成形」について論じられることが多い気がする。けれどこの本では、描き手の目線から「描いている最中」の作者の意図等を推察していて、それが斬新だし面白い。 日本美術史のビッグネームについて「それぞれのジャンルで技術を確立させたすごい人」という漠然としたイメージしか無かったが、初めて各人の個性や挑戦といった人間くさい部分に触れて興味が湧いた。

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2019/01/12

2018/11/20 詳細は、こちらをご覧ください。 『あとりえ「パ・そ・ぼ」の本棚とノート』 → http://pasobo2010.blog.fc2.com/blog-entry-1051.html   最初は、ふんふんと思ってみていた絵が、著者の解説で目からうろこ。 という...

2018/11/20 詳細は、こちらをご覧ください。 『あとりえ「パ・そ・ぼ」の本棚とノート』 → http://pasobo2010.blog.fc2.com/blog-entry-1051.html   最初は、ふんふんと思ってみていた絵が、著者の解説で目からうろこ。 というか見るポイントがわかり、俄然興味がでてきます すごく面白い本です! ◆ 雪舟といえば、「涙で鼠を描く」エピソードを知っているくらいでしたが、 こんな力強く独創的な絵を描いたとは。 美術展では見ているのでしょうが、イマイチ注目していなかった。 次に見る機会があったら、この本を思い出して、鑑賞したいと思いました。 ◆ なにより観点が変わったのが、「洛中洛外図」 2013/12/11  予約 2014/07/01 借りる。 7/12 読み始める。7/24 読み終わる。

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2019/01/05

NHK教育TVの「日曜美術館」を見て買ったのだが、見事にツボにはまった。僕にとっては文句なしの★5つ。同時代人にこういう絵師がいることを今まで知らなかったのが、ひどく情けない。 絵を見ることの本質(観賞ではなく対話を求める態度)、「新しい」ことの意味(門松なども、毎年同じ形のも...

NHK教育TVの「日曜美術館」を見て買ったのだが、見事にツボにはまった。僕にとっては文句なしの★5つ。同時代人にこういう絵師がいることを今まで知らなかったのが、ひどく情けない。 絵を見ることの本質(観賞ではなく対話を求める態度)、「新しい」ことの意味(門松なども、毎年同じ形のものを出していても、毎年新しい)、絵の目的(写実が目的ではない)、文脈の大切さ、「融合」とは何か、など。 水戸芸術間の展覧会にも行きたいな。

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