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ヘンな日本美術史 の商品レビュー

3.9

94件のお客様レビュー

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2012/12/23
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

≪目次≫ 第1章  日本の古い絵ー絵と絵師の幸せな関係   鳥獣戯画・白描画・一遍聖絵・伊勢物語絵巻・伝源頼朝像 第2章  こけつまろびつの画聖誕生ー雪舟の冒険   破墨山水図・秋冬山水図・慧可断臂図・益田兼堯像・天橋立図 第3章  絵の空間に入り込むー洛中洛外図   舟木本・上杉本・高津本 第4章  日本のヘンな絵ーデッサンなんてクソくらえ   松姫物語絵巻・彦根屏風・岩佐又兵衛・円山応挙と伊藤若冲・光明本  尊と六道絵 第5章  やがてかなしき明治画壇ー美術史なんてクソくらえ   河鍋暁斎・月岡芳年・川村清雄 ≪内容≫ う~んとね…。代表作が思い浮かばないけど、洛中洛外図や絵巻物的な技法で、現代の風俗や現代と昔をクロスオーバーさせたものなどを描く画家(やっぱ、説明になっていない…)による、日本美術を紹介したもの。 画家なので、その説明が専門的で分からない部分も多々ありましたが、やはり視点は面白く、日本人は江戸時代まで横向きの顔を書いても、眼は前向きの描写のままだった、外人から指摘されるまで気づかなかった、という指摘は発見でした。浮世絵や絵巻物で妙な違和感を抱いていたのは、そこだった!ということですね…。 後は円山応挙のいい加減さ(何かの本で、弟子の絵にも応挙の落款を押させたというので、「いい加減」とは思ってましたが…)なども裏付けられて(画論で前に言ったことをすぐひっくり返すあたり)、面白かったです。

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2012/12/03

素人向けに美術の世界への敷居をうんと低くした評論(?)としては過去にあの赤瀬川原平・山下裕二共著の「日本美術応援団」があった。今、ネットで調べて見たら出版は2000年となっているので既に12年も前の話。ここの所すっかり枯れてしまった感の有る赤瀬川さんだが、流石に年を取るはずだよな...

素人向けに美術の世界への敷居をうんと低くした評論(?)としては過去にあの赤瀬川原平・山下裕二共著の「日本美術応援団」があった。今、ネットで調べて見たら出版は2000年となっているので既に12年も前の話。ここの所すっかり枯れてしまった感の有る赤瀬川さんだが、流石に年を取るはずだよなぁ、と変な所で感心してしまう。同書は確か京都の寺に光琳、雪舟などの名作を訪ね歩きああでもない、こうでもないと素人風異見を言いつつ山下裕二さんが美術評論家としてその見所を紹介するという本であった。 そして今回の「ヘンな日本美術史」であるが何度か山下裕二さんの名前が出てくるので恐らく上記「日本美術応援団」を意識しているのであろう。本書もそうした名作とされる美術史上も有名な絵画を画家である山口晃さんが個人的に面白い、興味を引かれるところを紹介している。何も先入観なく気楽に読める内容である一方で、紹介される絵画は教科書でも紹介されている有名どころだから何となく親近感が沸いてくる。 例えば「鳥獣人物戯画」だが、教科書には動物の兎などが出てくる絵が紹介されているが、実は本画は全部で4幅の屏風であり鳥獣が出てこないものもあるというのだから驚きである。 そして有名な「洛中洛外図」も実は多くの画人が同じ趣向でものにしているという一種の流行絵だったことや、家々の立ち並ぶ間にある雲が実は絵に描かない部分、即ち省略すべき地区を隠す役割を果たすことで一種の遠近感というかデフォルメの技法だったというのがわかる。 またこれは知らなかった絵であるが国宝「彦根屏風(びょうぶ)」では、そこに描かれた男性の腰が異様な角度で曲がっていることを指摘している一方で、それがまたそうであっても違和感を感じさせない技量があると云う。 日本美術もこうしてみると決して取っ付き難いものではないし、教科書で作品名と作者を線で結ぶように丸暗記を強いるだけではイケナイし、こうした見方が学校で教わっていたならもう少し名画も身近に感じていただろうとも思う。

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2012/12/03

現代日本美術の二大天才(と勝手に思っている)のうちの一人、山口晃画伯による日本美術史論。ぜんぜん「ヘン」じゃありません。 日本画の見方だけでなく、西洋絵画との出会い以降、ダメになった部分がよくわかる。実に面白くてためになる本です。 本書に書かれていることって、ちゃんと学校で教えて...

現代日本美術の二大天才(と勝手に思っている)のうちの一人、山口晃画伯による日本美術史論。ぜんぜん「ヘン」じゃありません。 日本画の見方だけでなく、西洋絵画との出会い以降、ダメになった部分がよくわかる。実に面白くてためになる本です。 本書に書かれていることって、ちゃんと学校で教えて欲しかったなぁ…。

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2012/11/11

日本の美術展を見に行っても、何がうまい、何がうまくないって基準がわからなくて理解できない。 西洋美術なら、まずとにかく本物に似てるって基準があるのに。 あのぐちゃぐちゃって書かれた荒い線の雪舟とかいうひとの絵は、ほんとに上手いのか?なんであれが画聖なの? という思いを長年持って...

日本の美術展を見に行っても、何がうまい、何がうまくないって基準がわからなくて理解できない。 西洋美術なら、まずとにかく本物に似てるって基準があるのに。 あのぐちゃぐちゃって書かれた荒い線の雪舟とかいうひとの絵は、ほんとに上手いのか?なんであれが画聖なの? という思いを長年持っておりまして、それでもとりあえず日本の美術展とかを見続けるうちにその思いを忘れておりまして、応挙なんかは好きだなあ、なんて考えつつ、最近応挙のこと書いてある本があんまりないなあ、と思いつつこの本を読みました。 結果、日本美術のうまい下手について、俺よりちゃんと考えてる人がいた!と嬉しくなるような本でした。 日本美術(と、その影で著者本人が置かれている立場である現代美術)を見に行く機会があるかた、その立ち振舞いに疑問が少しでもある方は、読んでおいて損はない本ですよ。

Posted byブクログ