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物語 哲学の歴史 の商品レビュー

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14件のお客様レビュー

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2013/05/02

物語として哲学史を語るというのは面白い試みだと思う。哲学史の本はえてして無味乾燥になりがちで苦手なのですが面白く読めました。ただ,自分が詳しくない部分は消化不良ではあります。やっぱり僕はジェイムス,ベルクソン,メルロ=ポンティあたりが好きなんだなぁと改めて。ホワイトヘッドがラッセ...

物語として哲学史を語るというのは面白い試みだと思う。哲学史の本はえてして無味乾燥になりがちで苦手なのですが面白く読めました。ただ,自分が詳しくない部分は消化不良ではあります。やっぱり僕はジェイムス,ベルクソン,メルロ=ポンティあたりが好きなんだなぁと改めて。ホワイトヘッドがラッセルの師としてしか触れられてないのは残念。

Posted byブクログ

2013/02/09

 哲学は非常にとっつきにくい分野である。複雑な用語、難解な文脈、思想家同士のさまざまな影響関係など非常に分かりにくい。高等な言葉遊びのような感覚すらある。  また、哲学を知ってどうなるという思いもある。英語を学べばコミュニケーションができるし、工学を学べばテクノロジーの何かが分か...

 哲学は非常にとっつきにくい分野である。複雑な用語、難解な文脈、思想家同士のさまざまな影響関係など非常に分かりにくい。高等な言葉遊びのような感覚すらある。  また、哲学を知ってどうなるという思いもある。英語を学べばコミュニケーションができるし、工学を学べばテクノロジーの何かが分かる。料理法を学べばおいしく体にいい料理ができるようになるし、スポーツの技術を学べば試合に勝てるし、場合によってはそれが金にもなる。哲学はどうだ。いくら学んでも何一つ身につかない。体も健康にならない。コミュニケーション能力が上がるわけでもない。むしろ、哲学を学ぶあまり心身ともに不調をきたすという例もあるではないか。何のために哲学はあるのかと。  私にとって哲学とは上記のようなものだった。大学時代、哲学専攻の同級生を知識オタクの象徴とみなしていたことを白状したい。  しかし、最近少し考えが変わってきた。ものごとの基本的な考え方を知ることは、日常のすべての見直しにつながるということを実感するようになったのだ。同じものを前にしても、基本的な考え方、考えの出発点に立ち戻るとすべてが違って見えてくる。その意味において絶対に避けることができないものなのだと。  それにしても、哲学の専門書の敷居は限りなく高い。最近、新書や文庫化された哲学の啓蒙書を少しずつ読んでいるが、それでもやはり難しいものは難しい。でも、少しずつ分かってくると、次を知りたくなる。どうも哲学という分野はそういう意味で底なしのようだ。  本書は著者自身が述べるように、哲学の流れを物語として語るものである。ここでいう物語とは、一連のものと捉えるということであり、虚構性や創作性を意味するものではない。だから、一般的に言う通史のようなものだ。といっても単に時系列上に配置してもこの手の話はつながらない。関係のある思想群を並べて、相互の関係をつなげようとしている試みだといえる。本書では、大きな流れを、哲学の関心事という側面で、「魂」から「意識」「言語」「生命」へとのつながりと捉える。  各論に関しては先に述べたような難解さがどうしても付きまとう。それはひとえに私の知識と読解力の不足が原因であるが、その難を抱える私にも、全体の思想の流れを察することができるような構成にはなっているのはありがたい。  本書のサブタイトルは哲学が今後も生き続け、私たちの生活の中で何らかの意味を持ち続けることを願ってつけられている。様々な困難が待ち構える未来を考える上で、哲学は変わり続け、議論が続けられるのだろう。真理の探究は想像以上に厄介なものらしい。

Posted byブクログ

2012/11/27

 哲学の歴史を、「魂」、「意識」、「言語」、「生命」へと展開する物語として描かれていることで哲学がどういった経緯をたどったのかがよく分かった。同時に、なぜ現代哲学が分かりにくいのかという事も理解できた。つまり過去の哲学に対する批判、反省を土台としているため、その土台が理解できてい...

 哲学の歴史を、「魂」、「意識」、「言語」、「生命」へと展開する物語として描かれていることで哲学がどういった経緯をたどったのかがよく分かった。同時に、なぜ現代哲学が分かりにくいのかという事も理解できた。つまり過去の哲学に対する批判、反省を土台としているため、その土台が理解できていないから現代哲学が理解できないということである。哲学の歴史を俯瞰することを目的としているため細かい部分はバッサリ落としている。そのため哲学者それぞれの主張を読み解くためにはやはりその哲学者の著書を当たらなければならない。しかしながらその主張が何を土台としているのかを本書で扱っているため、理解の手助けになると思う。ただ、近代哲学、特に分析哲学は過去を土台としているものの、大きな断絶が存在しているようでやはり理解するのが難しい。さすがにその断絶を埋めることはできなかったが、断絶そのものの存在を認識できたのは良かったかもしれない。

Posted byブクログ

2018/10/14

3000年にわたる哲学の歴史を、主たるテーマの流れがどのようになっているか、なぜそのような流れに至ったのかという説明を重視して記述する。あたかも、ある川の流れを淵源から下流に向かって一体感を持った解説を行うような趣がある。 人類の知の営みのエッセンスともいうべき内容を、わずか1...

3000年にわたる哲学の歴史を、主たるテーマの流れがどのようになっているか、なぜそのような流れに至ったのかという説明を重視して記述する。あたかも、ある川の流れを淵源から下流に向かって一体感を持った解説を行うような趣がある。 人類の知の営みのエッセンスともいうべき内容を、わずか1000円未満の本一冊に入れ込んでいる。ともすると倫理の教科書のような「スケルトン未満」の内容となったり、逆に一つ一つのパーツが虫眼鏡が必要なほどごちゃごちゃしてしまいそうなものだが、この本は大きな絵柄を見ることに心がけているので、読みやすく、かつ適度な知的刺激が得られると思う。著者と編集のGood-Jobだ。 例えてみれば、巨大なタペストリの見本織の端切れのようなものだろうか。陽と陰、抽象と具象、魂と元素、イデアと生物、科学と哲学、認識と神、心と体、差異と反復など、二元で対照される概念や方法論が、縦糸横糸として織り込まれて絵柄を作っていく様子が現わされていく。あるいはDNAの二本鎖のように綴りあわされ、動と反動、合一・止揚の動きが歴史の流れのなかでダイナミックに動いていくさまが描写される。

Posted byブクログ