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銀の匙 の商品レビュー

3.6

13件のお客様レビュー

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2013/01/21

平成25年、初めて読んだ小説です。始めは少しつらかったけど、文体がきれいなので、慣れたら、最後まて読めました。

Posted byブクログ

2012/12/23

・中勘助 「銀の匙」(小学館文庫)には「橋本武 案内」とある。普通ならば橋本武註とでもあるべきところであらうが、本書ではそれが案内である。なぜか。「今回この『銀の匙』に添えられた私の解説の進め方は、編集者のご意向によって、私の教室での授業の語り口を彷彿たるものがあって、読者の方々...

・中勘助 「銀の匙」(小学館文庫)には「橋本武 案内」とある。普通ならば橋本武註とでもあるべきところであらうが、本書ではそれが案内である。なぜか。「今回この『銀の匙』に添えられた私の解説の進め方は、編集者のご意向によって、私の教室での授業の語り口を彷彿たるものがあって、読者の方々がまるで 『銀の匙』の子どもとなり、教室で授業を受けておられるような感じを味わっていただける」(「はじめに」6~7頁)といふ理由からであらう。 ・その解説は脚注の位置にある。各章毎に付されてゐるが、その基本は語釈にあると言へよう。最初の「一」では「耳慣れない言葉が いくつかあります。」(11頁)として、子安貝、風鎮、印籠、根付の語釈を記す。特別なことは書いてない。基本的に辞書的意味である。現在の私たちにとつて、この小説世界がかなり古風で分かりにくいところがあるのは当然として、これを初めて授業で採りあげた終戦後の生徒にとつても既に古風な世界であつたに違ひない。解説で難解語ばかりが採り上げられてゐるわけではない。ごく基本的 と思はれる語も出てくる。生徒が中学生であるといふことによるのであらう。いかに超有名難関高校に直接続く中学校の生徒であらうとも、中学生は中学生なのである。基本的な語でもきちんと押さへて示してやることが必要なのであらう。ただし、さういふ語釈ばかりではなく、そこから発展的に出てくる内容も時には示される。「二」では漢方についての蘊蓄が語られ、最後は大阪の少彦名神社、 通称神農さんのおまつりについてまで触れてゐる。「四」では主人公につけられた章魚坊主といふあだ名をめぐつて、「見た目や性格からつく渾名には、ほかにどんなものがあるでしょうか。」と尋ねるところから、薩摩守や坂東太郎等にまで触れる。「五」ではアラ ビアンナイトからその物語案内をし、「六」では丑紅といふ語から、十干十二支の詳細から二十四節気にまで話は及ぶ。しかし、ここまで広がるのはむしろ例外、その大半は語釈、語注の範囲に収まる。従つて内容に関はる説明、つまり主人公の精神状態や置かれた状 況とかの解釈はほとんどない。本書に書かれてゐないからといつて授業で採りあげられなかつたとは言へないが、正直なところ、これ はいささか意外であつた。ゆつくり、じつくり小説を読むのならば解釈と鑑賞もあるに違ひない、それがいかなるものであつたか…… 私はこれを楽しみにしてゐたのである。かういふ作品をどう料理するのだらうと期待したのだが、それは裏切られた。解釈、鑑賞など といふ野暮なことはしないといふ考へもあらう。あくまで語釈、言葉をきちんと押さへ、そこから知識を発展させていく……この人は それを目指したのであらうか。だから、ごく稀に発展的な内容を示す。他は、生徒に与へた「銀の匙研究ノート」で生徒自らがそれを 行へといふことであらうか。そのために解釈鑑賞は無用であるといふのならば、これは潔い考へである。ところが最後に「前篇・五十 三でのお蕙ちゃんとの別れと描写を比べてみましょう。」(246頁)とある。ここは前篇の最後である。後篇の最後も友人の姉との 別れである。かうした作者の意を汲み取れといふことであらう。他は見逃しても良い。しかしこれだけは外せないといふは橋本先生の 強い思ひがあるのであらう。ただ、他の語釈ばかりの解説からすると違和感がある、いづれにせよこれは私の読んだ感想である。実際の授業がいかに行はれたかは知る由もない。あるいは「あとがき」で触れる「奇跡の教室」を読めといふことであらうか。それでもこ れだけ詳しい語釈はさうない。その意味では有り難い書であつた。

Posted byブクログ

2012/11/12

同名の、農業高校を舞台としたコミックとは違います。 明治初期、作者が、高等尋常小学校に通っていた頃の、遊びや、友達や、兄との関係、また淡い恋心などが、ほんわかとした筆致で描かれている。病弱だった筆者を誰よりも愛しんで育ててくれた叔母、その叔母との再会の場面は感動的だった。 読んで...

同名の、農業高校を舞台としたコミックとは違います。 明治初期、作者が、高等尋常小学校に通っていた頃の、遊びや、友達や、兄との関係、また淡い恋心などが、ほんわかとした筆致で描かれている。病弱だった筆者を誰よりも愛しんで育ててくれた叔母、その叔母との再会の場面は感動的だった。 読んでいて不思議だったのは、9歳から12歳頃までのことをなぜここまで如実に記すことができたのか、ということ。私は、終盤の、叔母さんとの再会のときの話に答えがあってと思うのだが、今は亡き中先生にこれを確かめることはできない。解説の橋本先生は気づいておられるのだろうか。もしお聞きできるならお聞きしたい。 さて、この本を読んで、何故か、実家に預けてある夏目漱石全集を読み返したくなった。そういえば、漱石が、この本をぜっさんした、という逸話があったような記憶がある(文体もなんとなく似ている)。

Posted byブクログ