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エコー・メイカー の商品レビュー

3.6

13件のお客様レビュー

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2013/01/04

金属製の鉤爪がついたロープを、 頭上でクルクルと回して投げてみるが相手に届かず、 または届いたとしてもうまく引っかからないのだが、 何度かやっているうちに、 今度はしっかりと相手に鉤爪が食い込み、 その瞬間、一気に相手を手繰り寄せる、 いや相手に手繰り寄せられる感覚。 2006...

金属製の鉤爪がついたロープを、 頭上でクルクルと回して投げてみるが相手に届かず、 または届いたとしてもうまく引っかからないのだが、 何度かやっているうちに、 今度はしっかりと相手に鉤爪が食い込み、 その瞬間、一気に相手を手繰り寄せる、 いや相手に手繰り寄せられる感覚。 2006 年 第 55 回全米図書賞小説部門受賞作品。

Posted byブクログ

2012/11/30
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

 彼の翻訳小説は全て挫折せずに読んできた。エンタメ小説とは違う深みがある。カフェモカを飲みながら2ヶ月かけて読んだパワーズの本作は、またしても面白い。今回のテーマは『脳』。交通事故によるカプグラ症候群により、親しい人が偽物のなりすましだという妄想を抱いてしまった男と、その姉、脳科学者などを巡る物語。鶴も出るよ。ちょうど同時期に『Mother』というTVドラマを観ていて、渡り鳥の場面が印象的で、鶴の群れとシンクロするのだった。  自我って、いい加減で、臨機応変で、ゆらぎまくってるものらしい。だからこんな勘違いをやらかす。「自分自身にはなじみを覚えているが、世界が見慣れぬものに変わってしまった。そのギャップを埋めるために妄想が必要なのだ。自我の至上目的は自分自身の継続だから。」(p.417) ここまで深刻な症状でなくても、みんないろんな脳の勘違いを抱えながらも、ふつうに生きている。先入観、脚色など色々。。。 つまり脳ってヤヴァイ。そんな脳の話を読む自分の脳って一体何??? 脳科学者による症例紹介がやたらと面白い。それを小説に組み込んでくるから夢中になって読める。単なる脳科学本で読むのと、小説として読むのとでは、感じ方が違ってくるのかもしれない。「ノンストップのスローのデスマッチ」という言葉に象徴される、なんとか折り合って生きている下降局面の人物たちを丹念に掬っていく物語。でも温もりや救いもある。Life goes on.  パワーズの小説は未訳がまだまだあるので、次の刊行を楽しみに待とう。

Posted byブクログ

2012/10/13

発売と同時に買って読む本なんてリチャード・パワーズくらいしかいない。「われらが歌う時」もそうだったけど、この「エコーメイカー」も一気に読んだ(とはいいつつ、途中「生物の進化大図鑑」という分厚いのを買ってしまったせいで読書ペースはがた落ちだったけど)。 「囚人のジレンマ」や「われ...

発売と同時に買って読む本なんてリチャード・パワーズくらいしかいない。「われらが歌う時」もそうだったけど、この「エコーメイカー」も一気に読んだ(とはいいつつ、途中「生物の進化大図鑑」という分厚いのを買ってしまったせいで読書ペースはがた落ちだったけど)。 「囚人のジレンマ」や「われらが歌う時」と同じく、この本も家族が濃密に描かれる。親や姉や弟など人と人の距離が近いという感じ。それをさらっとさまざまな知識をおりまぜつつ(ほんと博識だなあと思う)、読み手自身の日々日常のイライラを彷彿とさせながらいろんな複線を絡ませ(このあたりはいつも村上春樹と重ね合わせてしまう部分と感じる)、とても読みやすくしあげてしまうのはあいかわらずだな(これも村上春樹っぽい)と思う。 「ガラティア2.2」自体が人工知能、そしてこの「エコーメイカー」は脳それ自体を模して作られている感があるのが面白い。今回はミステリーっぽく読めるところもいい。 読んでる最中に寄り道して「脳のなかの幽霊」を読みたくなって仕方なかった。例の章だけでもちょっと読んでみてもよかったかも。 さて「2666」をいつ読むか。

Posted byブクログ