しろいろの街の、その骨の体温の の商品レビュー
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主人公と自分が重なった。 ずっと囚われていた考えから解き放たれて、美しいと素直に思えるようになったところは最高だった。 スクールカーストやほぼいじめのいじり、自分の中学生の頃を思い出してかなり辛かった。 信子ちゃんすごい。幸せさんの伊吹に会いたい。カースト上位のやつらはどんな大人になるんだろう。 自分がこの年齢の頃の価値観をまだまだ引きずっていることに気づいた。 追記 主人公の目を通して物語を読んでいたので今まではっきり意識してこなかったが、これは女の子による男の子への性的加害で男の子が傷を負う話でもあった。 伊吹はずっと嫌がっていたのに。
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街が膨れていく音がする ニュータウンに伸びる白い道は骨のよう 身体の中で骨が伸びて軋む音がする 五感が研ぎ澄まされていくようだ。 小学女子のあるあるや、中学校でのクラスカーストの描写がとてもリアル。自分より"下"がいることに安心するが、"上&qu...
街が膨れていく音がする ニュータウンに伸びる白い道は骨のよう 身体の中で骨が伸びて軋む音がする 五感が研ぎ澄まされていくようだ。 小学女子のあるあるや、中学校でのクラスカーストの描写がとてもリアル。自分より"下"がいることに安心するが、"上"の女子から標的にされたら終わりだ。仲の良かった3人に値札がつけられ、 グループ分けされて、次第に距離を置く場面は読んでいて息苦しくなるほどだった。 言葉の選び方がどうしてこれほど上手いのだろう?「女の子の未成熟な身体の中で、エピソードは宗教になり、初恋は化け物になる」「好きな人をもう一目見る放課後」・・etc 結佳は教室から弾かれて初めて気づいた。皆の価値観をバカにしながら、その価値観で裁かれることに怯えていた自分の薄気味悪さに。自分の価値観を持ち言葉にして誰かと触れ合いたい! 中断していたニュータウンの工事が始まり、塞がれていたトンネルが抜けた。見知らぬ真っ白な道をペダルを漕ぎながら進んでいく結佳の姿が一瞬見えた気がした。彼女のこの先の物語も読んでみたい。
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傷ついても自分の価値観に責任を持つっていう話。 設計された通り発展していく清潔だけど不自然な新興住宅地が、その後設計図通りではなく自然発生的に街が出来ていく様と、 他人の価値観でぬくぬくと安全に生きている子供が、傷つき笑われながら自分の審美眼を持って大人になる様の対比がわかりやすくて読んでいて気持ち良かった。 ただ、大人になってから読むより中学生くらいの時に読んでいたらもっと感動できただろうな、とは思った。 p. 189 あんたくらいの子は、自分のことを世界で一番醜いと思ってるか、可愛いと思ってるか、どっちかなんだから。白雪姫の魔法の鏡が、故障しているようなもんなのよ。
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淡々と…かつどろっとしたものが漂いながら進むストーリーに目が離せなかった。 小学生の頃から曖昧なカースト制度はすでにあるように思う。 ただそれは完成形じゃないから、小学生の頃上位にいた子が中学で目立たなくなったりもある。 自分で言うと恥ずかしいのだけど、私は小中とカーストでいう所の一番上に居て、それは自分が望んでなったものとは少し違っていて…なんだかいつの間にかそんな存在になっていた気がする。 他人に興味を抱かないせいか、自分から話しかけることをしない為、周りにはどことなく気を使わせてしまっていたかもしれない。 けど、私自身は分け隔てなく仲良くしたい気持ちはあった。 大人しい子達から見た私って、こんな風に教室で緊張させる存在だったのかな…って嫌な気持ちになった。 イジメは嫌いだし、もちろん悪口なんて言わなかったけど、存在だけでピリつかせる事はあったのかもしれないなーと悲しくなった。 けど…この本に出てくる男子のように、特定の女子を見て吐くふりしたり容姿を揶揄うような発言なんてする子居たかなー?そんな幼かったかな? と必死で思い出すも… そんな事を言って笑う男子生徒の記憶は無い。 けれど、きっと私と違う世界で過ごしていた子達の思い出には、そんな男子が実際に居たのかもしれないんだよね。 立ち位置が変わると、見えてくる世界もきっと180°変わるんだろうから。 もしもあの頃のやり直しができるとしたら 教室の中の一人一人と話がしてみたいかな。 何年間も毎日会っていたのに、私は誰の事も何もしらないままだったなー。 本気で感情をぶつけたり、本気で誰かと向き合ったり、そんな事一度もしたことなかったな。 もしそれができていたら、きっと私の見えた景色も色も変わったのかもね。
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前半は淡々と。でも著者の描く世界は絶対何かが起こるはず、と読み進めると…。後半、とんでもない展開に。その昔、誰しも感じたであろう閉塞感や苛立ちや諦めをリアルに表現しすぎていて気持ち悪いくらいだった。後味が悪い訳ではないが、誰にでもお勧めしたいコンビニ人間とは違う、モヤモヤした気分...
前半は淡々と。でも著者の描く世界は絶対何かが起こるはず、と読み進めると…。後半、とんでもない展開に。その昔、誰しも感じたであろう閉塞感や苛立ちや諦めをリアルに表現しすぎていて気持ち悪いくらいだった。後味が悪い訳ではないが、誰にでもお勧めしたいコンビニ人間とは違う、モヤモヤした気分になる話だった
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「コンビニ人間」以来、著者の本を読んでみた。 小学校高学年~中学校の、まさに思春期真っ只中の男女を描いている。 思春期特有の身体的な変化、気持ちの描写を非常にリアルに、繊細に描いていて、私も読んでいていて昔の自分を思い出した。 小学校、中学校でのクラスの描写も非常に生々しい。私は...
「コンビニ人間」以来、著者の本を読んでみた。 小学校高学年~中学校の、まさに思春期真っ只中の男女を描いている。 思春期特有の身体的な変化、気持ちの描写を非常にリアルに、繊細に描いていて、私も読んでいていて昔の自分を思い出した。 小学校、中学校でのクラスの描写も非常に生々しい。私はあまり学生時代対人関係で悩んだことはなかったが、この本で描かれているようなクラスでの序列や暗黙のルール、いやーな雰囲気みたいなものってあったなと。 子供の悩みなんて大人の悩みに比べれば大したことないだろ…と思うこともあったがとんでもない。子供は子供でその世界の中で必死に悩みもがき苦しみ日々葛藤している。 前に読んだ「嫌われる勇気」という本でもあったが、大人も子供関係なく、悩みの全ては「対人関係」であり、そこに大人子供で優劣はない。 その悩みから抜け出すにはいかに自分らしく生きるか、自分を受け入れることが大事である。そのことを改めて教えてくれたような本であった。 もし自分の子供が成長して同じような人間関係で悩むことがあったら、そんな時に見せてあげたい本である。
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結佳は新興住宅街で暮らし、周囲とのつながりと友達関係を差しさわりないように取り繕いながら過ごしている…小学4年の時に同級生の伊吹と会話を交わすようになり、2人の関係が変化していく。中学2年生になったとき、また小学生の時とは違う環境に身を置くことになる…結佳は変わらず自身を取り繕い...
結佳は新興住宅街で暮らし、周囲とのつながりと友達関係を差しさわりないように取り繕いながら過ごしている…小学4年の時に同級生の伊吹と会話を交わすようになり、2人の関係が変化していく。中学2年生になったとき、また小学生の時とは違う環境に身を置くことになる…結佳は変わらず自身を取り繕いながら過ごしていたが、伊吹への想いが抑えきれなくなっていた…。 激しく共感できることもあれば、反感を覚えてしまうようなこともあったりと読んでいてほっとできる時間を持てなかった印象で残念かなって感じました。村田沙耶香さんの他の作品は何冊か読んでいて、この作品を絶賛する読書家さんも多いので手に取りましたが…私にはあわなかったのかもしれません。それでも、この作品のことは何年たっても忘れないと思います。
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私は小中高、女子校だったので、共学のスクールカーストの話を読むと、女子校って平和だったんだなって今なら思える。女子特有の面倒くさい人間関係はあったけど。 でも、私が共学に行ってたら、カーストの下の方にいただろうなと思って怖くなった。 女子校は好きな人を一目見て女子で盛り上がるんじ...
私は小中高、女子校だったので、共学のスクールカーストの話を読むと、女子校って平和だったんだなって今なら思える。女子特有の面倒くさい人間関係はあったけど。 でも、私が共学に行ってたら、カーストの下の方にいただろうなと思って怖くなった。 女子校は好きな人を一目見て女子で盛り上がるんじゃなくて、好きな芸能人やアニメのキャラで盛り上がってたし、中2とか毎日くだらないことして笑ってた時期だったから、女子校で良かったと思った。共学無理…。
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読むきっかけは、フォロワーさんの本棚。 白く無機質なタイトルと表紙に吸い寄せられてしまった。 最初はイメージ通り。 でもすぐに、繊細で鋭くて生々しい、小学4年生の世界に引きずり込まれてしまった。 女子のグループ内外での会話•駆け引き。 中学に入ってからの、クラスの中での序列•イジメ。 主人公結佳の、友だちへの軽蔑心、劣等感、プライド。自分でも理解•制御できない自分の行動。 人に見せたくない恥部すべてを晒されているようで、読みながら同化している自分に、後ろめたさまで蘇ってきてしまう。 いろいろなマイナス感情でない混ぜにされて、この本は何が伝えたかったのか、と思っていると、 信子ちゃんの「爆発」で気づかされる、1人の少女の成長物語でした。 読み終えてみると「圧巻」。 でも、精神エネルギーをかなり消耗したなぁ。 フォロワーさん、厳しくも良質な作品、ありがとうございました。
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今まで「コンビニ人間」「授乳」「地球星人」「変半身」を読んできたが、この作品は断トツで気に入った作品になった。 中学生といった思春期真っただ中で人目が一番気になるころは、クラス内のカーストや男子の目などがとても嫌だった。だけど、穏やかな学校生活を送るには、それに従順するしかならない。体の変化に伴う見た目の変化は、普段の生活に大きな影響をもたらす。 主人公が、クラスの男子を客観視して馬鹿にしているところが少し自分と重なって読んでいて苦い記憶がよみがえってきて苦しくなった。 主人公の伊吹をはじめとしたクラスカーストに気づいていない人を「幸せさん」と呼ぶのはいいなと思った。幸せさんでいることが一番幸せなのかもしれない。 結末が全く予想できなかった。 伊吹が本当に主人公のことが好きなのかはわからなかったけど、最後はあの終わり方でよかったと思う。これで主人公も自分のことを好きになってくれればいいなと思った。村田さんの作品は、読み終わった後もう一度タイトルを見ると「おお…」となる。とても好きな本になった。
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