ゼラニウムの庭 の商品レビュー
去年、衝撃の(*^_^*)「ピエタ」で新境地を開かれた大島真寿美さん。 今度は、日本の明治・大正・昭和・平成、その後・・という大きな時の流れの中の、ある一族の秘密を語るお話で、またまた新しいものがたりの世界を見せてもらいました。 とある旧家の双子の姉妹。その姉の孫娘が綴るのは家...
去年、衝撃の(*^_^*)「ピエタ」で新境地を開かれた大島真寿美さん。 今度は、日本の明治・大正・昭和・平成、その後・・という大きな時の流れの中の、ある一族の秘密を語るお話で、またまた新しいものがたりの世界を見せてもらいました。 とある旧家の双子の姉妹。その姉の孫娘が綴るのは家の暗部らしい。長年にわたって一族が秘してきたもの、こちら側の人、あちら側の人って何? と、山岸涼子のホラーコミックを思わせる期待感が満ち満ちていて、果たして、どんな怖ろしいことが隠されているの?と、ワクワクしながら読みました。 その秘密は案外早くに読者に明かされ、うんうん、それで?その後はどうなるの?と、より一層興味を惹かれたのですが、そこからがちょっと失速といえば失速・・・?? 大島さんにしてみれば、ホラーを書くつもりではなく、長い長い時間の中で共通の秘密を抱える人々が何を思い、どう動いてきたか、また、その時代の中での価値観の変遷など、また、時そのものの持つ残酷さ、無常感、などを描きたかったのかもしれないけど、私の好みから言わせてもらえば、もっと、お話が動いてほしかったなぁ。 秘密を持つ、当の本人の嘉栄さんが実際に出てくる場面が少なくて、後から実はこうだったのよ、と語られてもねぇ、なんても思ったり。 ただ、そんな一族だからこそ、なのか、不思議な能力を持つ女中さんが住み込んで、あれこれ、大事な展開を示してくれるのは面白かった。オカルト、とまではいかない、うんうん、そういう人っているのかもね、くらいの能力なのだけど、それが一族の助けになり、読者をも安心させてくれる、というのもいいものだったから。 一冊のうちで、ほとんどは作家である孫娘の手記として提示され、その後に、ほんのちょっと嘉栄さん本人の文章も入る。なんと言っても本人なのだから、謎があれこれすっぱりと明かされ、また、ホントに大きな「時」というものについて語られるのも面白かったけど、う~~ん、もうちょっと畏れとか、巻き込まれとか、すとんと怖~いオチとかがあった方が好きだったなぁ・・・。 だったら、山岸涼子さんに書いてもらえば、なんて言われそうだけど。
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祖母が逝き、祖母から聞いた一族の秘密を書き残す事にした作家。 ある女性と、それを取りまく一族の長い長い時の物語。 長く延びる二重螺旋を 上から眺めているような気分になる。 【図書館・初読・9/27読了】
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
明治時代、裕福な貿易商の家に生まれた双子の豊世と嘉栄の姉妹。 普通の人の4分の1の速度でしか年を取らない嘉栄はある頃から家族以外の目から隠され育てられるようになる。 豊世の孫・るみ子が小説の形で綴る三世代の女の物語。 るみ子が祖母から聞いた話を小説に起こす、という形態のため、全体として伝記的な印象。 相変わらず独特の世界観を構築している。 多くの登場人物が出てくるが、それぞれ存在感があり、生き方に筋が通っているのでごたごたした感覚はなく、スムーズに理解できた。 嘉栄という異物に周囲の人々が感じている困惑と恐怖が伝わってくる。 設定としてはファンタジーであるけれど、 明治から戦時中、昭和と時代背景をうまく取り入れていて、突拍子もない印象はなく、地に足がついている感じがする。 附記という形で、嘉栄がるみ子の語った物語のあとを引き継ぐ。 そこで初めて明かされる事実もあり、嘉栄の神秘性を保って欲しいという気持ちと、嘉栄目線の物語も知りたいという興味が相克するわけだけれど、結果として書かれた内容は少々物足りなかった。 読み終わっての感想として、嘉栄はもっとよくわからない存在でいてほしかった。 重厚な物語である。
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まずは装丁の美しさにまず心を奪われた。美しい。 一族に護られ守られひっそりと生き続けている、と思われているその人が実は一族をその手で動かしていた。 その両方から語られる長い長い1人の女の人生。その何と言おうか、二重らせんの神話、みたいな物語にほれぼれした。 作者がちりばめたこの...
まずは装丁の美しさにまず心を奪われた。美しい。 一族に護られ守られひっそりと生き続けている、と思われているその人が実は一族をその手で動かしていた。 その両方から語られる長い長い1人の女の人生。その何と言おうか、二重らせんの神話、みたいな物語にほれぼれした。 作者がちりばめたこのたくさんの企みを拾い集めるごとにこの物語は広く深くその世界へと誘っていく。 読むたびに、この物語は新たなる神話を紡ぎだす
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