涙と眼の文化史 の商品レビュー
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中世ヨーロッパのドゥイーズ(のちのエンブレム)や服飾に使われていた涙、目、ハートのモチーフの由来や移り変わりについての本。 涙が悲愛を示すものから恋の思慕そのものを示すものへと変化していったとか、雲、じょうろ、ハートなど付属するモチーフの変化の話が面白いし、登場する諸侯の関係も親切に解説してあって読みやすい。心が熱く燃やされることで生まれる涙=雫、という連想から蒸留器が愛のエンブレムとなるというのがすごくいいなと思った。涙が甘美な酒になるというのも併せてロマンティックな発想だ。引用されるポエムも甘々で切々と恋を歌い上げていて、男性でも涙で自らの想いを訴える。涙は弱さではなく、むしろ敬虔さや愛の強さを表現するものなのだ! 絵画などを見てもあまり気にしたことがなかったけど、当時の貴族や騎士たちが趣向を凝らした服や武具を用意していて、模様や色一つ一つにも意味がこもっていたのだなあと感慨深くなった。
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