非正規公務員 の商品レビュー
非正規公務員の課題解決のために、3つの規制、「出口規制」、「入口規制」、「内容規制」を提案している。「出口規制」では反復継続し任用してきた非正規公務員の実態にあわせた法整備を、「内容規制」では同一価値労働同一賃金・手当支給根拠の条例化・報酬の昇給的運用を、「入口規制」では非正規公...
非正規公務員の課題解決のために、3つの規制、「出口規制」、「入口規制」、「内容規制」を提案している。「出口規制」では反復継続し任用してきた非正規公務員の実態にあわせた法整備を、「内容規制」では同一価値労働同一賃金・手当支給根拠の条例化・報酬の昇給的運用を、「入口規制」では非正規公務員の定数化・専門職型の任期の定めのない新たな正規職員の設置を提案している。 公共サービスを守り、充実させるためには、非正規公務員の雇用や処遇を安定化させ、官製ワーキングプアの解消することが最善の方策と考える。
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民間の非正規雇用者が「正社員並み」の責任と労働をおわされているように、公務員においても非正規公務員が正規の公務員並みの責任を負わされているようになっている。本書では非正規公務員に対する法律や判例の適用が豊富な事例をもって説明されているが、印象としては民間と公務員の「悪いとこ取り」...
民間の非正規雇用者が「正社員並み」の責任と労働をおわされているように、公務員においても非正規公務員が正規の公務員並みの責任を負わされているようになっている。本書では非正規公務員に対する法律や判例の適用が豊富な事例をもって説明されているが、印象としては民間と公務員の「悪いとこ取り」的に思えた。資料として重宝する一冊。
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非正規公務員の現状と判例を分かりやすくまとめ、問題解決の為の例規の整備について整理している。問題構造を把握するのに大変良い本です。 ただ、この本で取り上げられている「常勤的非常勤職員」の現場は図書館・病院・消費者センター・保育所であり、これらに共通するのは「サービス行政」だとい...
非正規公務員の現状と判例を分かりやすくまとめ、問題解決の為の例規の整備について整理している。問題構造を把握するのに大変良い本です。 ただ、この本で取り上げられている「常勤的非常勤職員」の現場は図書館・病院・消費者センター・保育所であり、これらに共通するのは「サービス行政」だということ。この分野で常勤的非常勤の常勤への格上げ規制を行なうと、市場原理が働いてしまう可能性が非常に高い。つまり最低賃金法と同じく、需要サイドのインセンティブが減じられてしまう為に、常勤に格上げされた人は良いけど、ポストを失う人も多く生じることになる。 現実として、常勤職員と変わらない職務内容をこなしているのに昇給せず、諸手当もなく、雇止めの危険にさらされている常勤的非常勤職員の立場は確かに不当である。 しかし本質的に大事なのは、予算配分はあくまで政策であるということであり、図書館の常勤的非常勤職員を常勤職員にするだけの意義を自治体の長が見出せば他から予算を取ってくるだろう。一方で予算を取られた所の常勤的非常勤職員は、規制によって職を失う。それよりは市場原理から一層遠ざからないという点に於いては現状の方がまだマシに思う(無論現状維持すべしとは思わないが)。 そういう点では、終章の最後3ページにある作者の提案は理に適っているように思える。専門職・常勤・条例による定数設定というポストの創出であり、尤も、この提案は言わば「図書館II種」といったような採用枠を作るということに見える。これは妥当な線だと思うけど、それこそ「I種のアイツと同じ仕事をしているのに何でこんなに待遇が違うんだ!」といったルサンチマンを生じさせそうな感じがする。とはいえ、歪みを放置させてきた自治体は、何かしらの対応を迫られている訳であり、皆が幸せになれる道は無さそうである。 個人的には、保育所こそは法律で昇給も手当てもあててあげられない公立の非常勤を生み出すよりは、公立を廃止して私立に補助金を出した方が安く済んで保育士も昇給と手当てが貰えるんではないかと思う。あと10年後には、消費者センターだって民間の業務になってもおかしくはない。
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非正規の公務員にも、民間と同じように偽装や雇い止めなどの問題があるけれど、公務員の労使紛争は、労働契約ではなく、公法問題である、という裁判所の認識もあるとのことで、紛争になってもなかなか暗い問題のようです。さまざまな「偽装」的労働条件のもと、生活保護世帯を下回る収入の非正規公務員...
非正規の公務員にも、民間と同じように偽装や雇い止めなどの問題があるけれど、公務員の労使紛争は、労働契約ではなく、公法問題である、という裁判所の認識もあるとのことで、紛争になってもなかなか暗い問題のようです。さまざまな「偽装」的労働条件のもと、生活保護世帯を下回る収入の非正規公務員、俗にいう官製ワーキングプアの話も。 こうした偽装が日常的になっているのは、正規公務員からは、非正規公務員が持つ問題が見えない、あるいは見たくない、見ようとしない、ということが、この問題の一番の根っこにあるのでしょう。 公務員は無期が原則だといいます。僕もそう思います。「官」は、対応ではなくて、問題を見る、ということにもっと神経を使うべきだなあと改めて思う本。
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