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日本林業を立て直す の商品レビュー

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9件のお客様レビュー

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2021/01/15

ありがちなドイツ林業出羽守ではなく、多角的に各国における人間と森との関わり方を比較されており非常に参考になる。 旧大陸の長伐期林業と、新大陸の短伐期林業。ストックとしての森の価値を高めるという意味では前者に学ぶところが大きいし、外部経済の内部化さえ上手く噛み合えば後者の手法がむ...

ありがちなドイツ林業出羽守ではなく、多角的に各国における人間と森との関わり方を比較されており非常に参考になる。 旧大陸の長伐期林業と、新大陸の短伐期林業。ストックとしての森の価値を高めるという意味では前者に学ぶところが大きいし、外部経済の内部化さえ上手く噛み合えば後者の手法がむしろ森を守る最強の見えざる手になるかもしれない。

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2017/12/04

世界で森林の伐採が進んでいる。 林業をデータで見たり、生産性を上げようと効率化しようと試みている。 林業の平均年収は20万円台、昔は他の産業と同様だった。 成長の早いユーカリなどを植えれば儲かるが、土がだめになる。 森林の中には枯れる木もあり、それをあえてそのままにしておくことで...

世界で森林の伐採が進んでいる。 林業をデータで見たり、生産性を上げようと効率化しようと試みている。 林業の平均年収は20万円台、昔は他の産業と同様だった。 成長の早いユーカリなどを植えれば儲かるが、土がだめになる。 森林の中には枯れる木もあり、それをあえてそのままにしておくことで昆虫や動物の暮らす場となり、自然の形が実現できる。 林業は100年、200年先を見据えての事業だというスケールの大きさが非常に面白いと思った。そして、それを考えて国も考えないといけないのだと思う。

Posted byブクログ

2017/05/06

・政府は、2009年ごろから具体的な動きを始めている。  2010年に打ち出した公共建物の木造化事業。    2009年12月に政府(民主党)が発表した「森林・林業再生プラン」では  現在約25%の木材自給率を、10年間で50%に引き上げるという目標を掲げた。 ・「森林・...

・政府は、2009年ごろから具体的な動きを始めている。  2010年に打ち出した公共建物の木造化事業。    2009年12月に政府(民主党)が発表した「森林・林業再生プラン」では  現在約25%の木材自給率を、10年間で50%に引き上げるという目標を掲げた。 ・「森林・林業再生プラン」の方策の中心は、「路網の整備」「所有林の集約化」  「人材育成」である。  (参考:林野庁のHP http://www.rinya.maff.go.jp/j/kikaku/saisei/ ) ・ビルの内装などに当たり前のように木材を使ってもらえるような雰囲気を   醸成していく必要がある。 ・日本で林業家が管理できるのは、光だけである。  下草刈りや枝打ち、間伐や除伐などの作業の目的は、すべて光の管理。 ・生えている立木は、われわれの世代で利用することも可能だ。しかし、  土壌は世代を超えて引き継いでいく必要がある。 ・ヨーロッパの森林は、多くの人たちが楽しめる森になっている。  誰でも入れる山、歩いていて気持ちのいい山にすることが大事。 ・「山に入る、山から帰る」とは言っても「森に入る、森から帰る」とは言わない。 ・木にこだわる消費者に向けたルートを増やしていく。  木の質にこだわる消費者の市場というニッチな市場を確実に育てていく努力。 ・速水林業は、日本で最初に、FSC認証を取得した。  (参考:FSC認証 http://www.wwf.or.jp/activities/nature/cat1219/fsc/ ) ・林業が元気になることは、地域の元気にもつながる。  日本の木材を上手に国内で使い、伐ったら植えるという仕組みを  もう一回取り戻したい。

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2017/01/22
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

2012年刊行。林業を家業とする著者の、自叙伝的な林業解説本。森林は生態系保全、保水機能、あるいは水産資源の富裕化に不可欠の存在。もちろん、木造建築にも。その苦闘と一定の将来像が開陳される。林業経営の要諦は、職人の暗黙知を、科学的な分析を踏まえ、形式知へ昇華。また、欧米林業などからのインスパイアと応用、コスト削減における工夫、その当たり前のプロセスを愚直に継続的に、というもの。森林の保水機能の解説は丁寧、かつわかりやすい。針葉樹・広葉樹といった樹種よりも、下草の存在と適切な管理の重要性に言及。 さらに、樹木や立木は別にしても、富裕な土壌は未来、子孫へ継承される資産という視点は大きく首肯。というように、多面的内容と森林愛(土壌愛)には感服。

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2016/09/03

下草があれば土砂は流れない 下草と有機質の腐植土層が濾過槽のよな働きをして谷につくまでにきれいにしてしまう 50年生、100年生の森には、その環境にあった虫、鳥、動物など生きものが生息している 本当のサステイナビリティは豊かな土壌を残すこと

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2016/03/26

先進的な林業経営者である著者が、林業のあり方、その可能性について語っている。著者の林業経営の考え方、やり方に敬意を持つとともに、林業経営には長期的な視点が重要であるということ、これからの林業には自然との共生が必要になってくることなど、林業についての考えが深まった。

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2013/01/21

湯河原幕岩からの帰りに読了。 林業に関する本は富士通総研の梶山さんの本も読んだが、こちらの速水さんの本のほうが少し踏み込んだ内容。速水さんは執筆は専門ではないと思うが、主張に偏りを感じさせず、平易で読みやすかった。基本的には梶山さんの本と同じく森作りに持続可能性と長伐化を重視し...

湯河原幕岩からの帰りに読了。 林業に関する本は富士通総研の梶山さんの本も読んだが、こちらの速水さんの本のほうが少し踏み込んだ内容。速水さんは執筆は専門ではないと思うが、主張に偏りを感じさせず、平易で読みやすかった。基本的には梶山さんの本と同じく森作りに持続可能性と長伐化を重視し、経営の視点では需要側のニーズを山の側でよく知ることの大切さを説いている。おもしろかったのは適正な森作りという観点でFSC認証(国際的な認証で、生産された木材にラベルされブランド価値が向上)を取得していたり、違法伐採に関する法律の整備を訴えている点(違法伐採については結局生産可能量を無視し地球への外部不経済を前提にする事で木材全体の価格を下げてしまっている)。このあたり実はこの前に読んだパタゴニア創業者イヴォン・シュイナードによる「レスポンシブル・カンパニー」の内容を彷彿させた。 「レスポンシブル・カンパニー」は生きたビジネスの中で環境負荷を考え、会社単体あるいは業界全体でどのようにビジネスを継続していくのか取り組みについて書いた本だった。イヴォンの場合は、製品単位での環境負荷やトレーサビリティの見える化(QRコード的なもので消費者が商品を見ながら即時に分かるようにしようと構想)、数値化であったり、地球税的な考え方(1% for the planet:売り上げ1%か純利益10%のどちらか多いほうを環境団体に寄付)であったりする。速水さんも林業を経営する中での持論だけに、見える化と制度面での仕組み作りを重視するという点ではイヴォンと共通するように感じた。 いずれの場合も取り込みの成就には、業界全体のコンセンサス、法整備の発達、そして最後に消費者の意識の向上というのが不可欠だろう。速水さんの本の最後にエシカル消費という言葉があったが、はじめて意味を知ったが倫理的消費選択という事を意味するのだそう。まさに今そんなことをぼんやり考えながら生活していたので深く頷けた。ポスト消費社会というキーワードもあるが、それが贈与経済であれなんであれ、今より個々人の思想が重要になるのだと思う。

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2012/10/01

第一次産業と言えば農林水産業、衰退産業の象徴的なものでもあるがその中でも群を抜いて食えない産業、後継者の居ない産業の典型となっているのが林業だろう。そんな林業の現場にも未来があると夢を見させてくれるのが丁度文庫化されたばかりの三浦しおん「神去なあなあ」だ。でもそんな世界が林業にあ...

第一次産業と言えば農林水産業、衰退産業の象徴的なものでもあるがその中でも群を抜いて食えない産業、後継者の居ない産業の典型となっているのが林業だろう。そんな林業の現場にも未来があると夢を見させてくれるのが丁度文庫化されたばかりの三浦しおん「神去なあなあ」だ。でもそんな世界が林業にあるのだろうか?という疑問は当然だ。 90年台の初頭、林業従事者の平均年収は4-500万円だったというから他の産業と遜色ないレベルだったのが、輸入材木に押され、そして高級材木が必要なくなった建築業界のしわ寄せで今やそれが26万円!そんな産業構造の中で果たして食っていけるのか?しかしその逆境の中でも今でも地元の人間数十人を雇用し、その中には東大卒業者もいるという驚くべき会社があるという。ひょっとして「神去なあなあ」の取材現場はここだったのかも知れない。 場所は三重県の紀北町でその名も速水林業。山の面積は1000ヘクタール、日本の林業の中で規模的には中の下という。しかしその規模でありながらしっかりと経営を成り立たせ、さらに林業の百年後、数百年後を見据えるのが本書の著者でもある速水林業九代目社長だ。 大学を卒業してすぐに家業の林業を継いだのだが、現場作業の傍らで科学的視点を持とうとありとあらゆるものを数値化し、森林管理を行なってきたという。それも単なる机上の経営学ではなく現場で培った経験に裏打ちされた経営学だ。価格の低落に少しでも抗うべく生産性を上げるための植林方法を変える、世界の林業を見学し積極的に重機を導入する、樹齢を管理し出来るだけ樹齢を伸ばす、従業員の海外研修制度の導入などなど先見性には驚く。 本書には一般の読者には殆ど約に立たないであろう作業の細かい改善ポイントなどが紹介されていて、果たしてそこまで書く意味があるのだろうかという疑問も湧いてくるのだが、実は彼が読者として意識しているのはおそらく同じく林業を生業とする同業経営者なのではないかと思う。つまり林業の衰退を食い止めるために孤軍奮闘するのではなく、林業に携わる皆で立ち向かおうということなのだろう。

Posted byブクログ

2012/09/25

会社が林業展に来月出展するので読んでみました。おもしろかったです。よく分からないところもとことどころありましたが、林業についてや、林業をしている人がどういうことを考えて、どういうところを目指しているかが少しだけ分かったような気がします。

Posted byブクログ