経済学の犯罪 の商品レビュー
これは最近読んだ経済の本の中で、最もヒットかもしれません。経済思想史を今更ながらもう一回やりたくなったのと、あとは多分学生時代には分からなかったんだろうけれども、いま社会人になって(当時よりは)賢くなった時点で読むと、流れが目から鱗のように分かりました。 先般のリーマンショック...
これは最近読んだ経済の本の中で、最もヒットかもしれません。経済思想史を今更ながらもう一回やりたくなったのと、あとは多分学生時代には分からなかったんだろうけれども、いま社会人になって(当時よりは)賢くなった時点で読むと、流れが目から鱗のように分かりました。 先般のリーマンショックは100年に一度、と言われてましたが、それよりも足元の経済政策、金融政策の転換は1980年から続いてきた流れからの変局と捉えられるかもしれないです。 こういう景気循環論、昔から個人的にも好きであるし、こういった長期波動を捉えたいと考えています。 それにしても、もっと自分も勉強しなければ。
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TPP加入への議論などを見ていると「新自由主義」「グローバリズム」を掲げる人たちがやたらと威勢がいい。しかし筆者は日本の「失われた20年間」とは「構造改革により金融や労働力の自由化を推進してきたにも関わらず、国民はどんどん貧しくなっていった」時代だと看破します。「グローバリズム」は世界をハッピーにするどころか、本来その恩恵を一番に受けるはずのアメリカ合衆国までもをも貿易赤字や貧困、失業といった苦しみに追いやっているのが事実。EUをはじめ他の国々はいうまでもなく、おしなべて失敗している。皮肉なことに経済的にいちおう成功している中国、ロシアなどは「新自由主義」とは正反対で、国家による統制の比重が大きい経済体制である事に着目すべきです。著者はこの状況になった理由を「経済学を誤って理解していること」であると推論します。私たちはアダム・スミスを読み違え、ケインズを誤解していたのではないか。そういった経済学の歴史の見直しから導かれる「今日の先進国の資本主義経済においてはもはや高度な成長は不可能である。にもかかわらず成長を続けなくては経済は破綻しかねない。」というディレンマを、私たちは解決する必要があるようです。資本主義経済はもう、次の段階に移行すべき時が来たのでしょう。とても理解しやすく、大切な事がわかる一冊です。
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佐伯先生の本を、初めて読み通した。なぜ景気が良くならないのか。将来の安心のための貯蓄が、結局は投機の資金につながるメカニズムは何か。市場に任せればよいという乱暴な発想が、何に帰結するのか.....。世の中の考え方を方向転換させるということが無理な人にとっても、自分家族の身をどう...
佐伯先生の本を、初めて読み通した。なぜ景気が良くならないのか。将来の安心のための貯蓄が、結局は投機の資金につながるメカニズムは何か。市場に任せればよいという乱暴な発想が、何に帰結するのか.....。世の中の考え方を方向転換させるということが無理な人にとっても、自分家族の身をどう守るのか、人類が生き残るとしたら、どんな経済システムが必要かということを考える良書だと思う。お手軽なハウツーものの新書と、たいして値段が違わないというのが、うれしいやら、情けないやら。 しんどいけど、一読お勧め。
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