日本の難題をかたづけよう の商品レビュー
「日本の難題をかたづけよう」というタイトルそのままに、いずれも解決が容易でない社会問題に対して学術的な知見や当事者の感覚から鋭い指摘を行っていた。 特に、1~3章では明快な論理が展開されており、それぞれ異なった立場ながら学術的な知見の有用性と課題について丁寧に触れられていた。マ...
「日本の難題をかたづけよう」というタイトルそのままに、いずれも解決が容易でない社会問題に対して学術的な知見や当事者の感覚から鋭い指摘を行っていた。 特に、1~3章では明快な論理が展開されており、それぞれ異なった立場ながら学術的な知見の有用性と課題について丁寧に触れられていた。マスキン単調性をこれだけの紙面で説明しているのは驚嘆するばかりである。 一方で、4章では著者に都合の悪い情報(例えば、成功例として挙げていたドイツでFITの見直しが進んでいること等)がまったく触れられておらず、ポジショントークに終始していたのが残念だった。奇しくも、前の章でデータを参照することの重要性を指摘していただけに、4章がこの一冊の本の中に入ること自体が不適切であるように感じられた。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
大野更紗さんを応援しています。 大野さんの経歴からすると、今の古市寿憲氏の議論より先に進める部分があるのではないかなと思っております。 そしてなぜか大震災の日にちが間違ってますね…。
Posted by
各論者が自分の専門を踏まえて,社会を変える提案を「ポジ出し」。 内容は,マーケットデザイン,データによる政治の可視化,社会学の意義など。自然に任すのでなく,制度を積極的に設計して市場の失敗を防ぐ新しい経済学,「一票の格差」へのジニ係数の導入,社会学の具体例としてのひきこもり研...
各論者が自分の専門を踏まえて,社会を変える提案を「ポジ出し」。 内容は,マーケットデザイン,データによる政治の可視化,社会学の意義など。自然に任すのでなく,制度を積極的に設計して市場の失敗を防ぐ新しい経済学,「一票の格差」へのジニ係数の導入,社会学の具体例としてのひきこもり研究など興味深かった。
Posted by
経済学、政治学、教育、環境エネルギー、福祉、貧困といった、今の日本が抱える問題に取り組む気鋭の学者・研究者による提言と最新事例の紹介。 問題点の指摘よりは、解決法やすでに行われている取り組みについて多く書かれているのが特徴。
Posted by
自分が当事者として問題を解決に充てられない分野の問題に触れることができます。その分野における挑戦者の方々の問題への取り組みを垣間見ることができて勉強しなり、刺激になりました。様々な問題を解決していく立場に立ちうる塾生を輩出していきたいと思います。 妙にいつも荻上チキさんの分析力と...
自分が当事者として問題を解決に充てられない分野の問題に触れることができます。その分野における挑戦者の方々の問題への取り組みを垣間見ることができて勉強しなり、刺激になりました。様々な問題を解決していく立場に立ちうる塾生を輩出していきたいと思います。 妙にいつも荻上チキさんの分析力と発言力には納得させられてしまいます。また視点の鋭さは、見習いたいし、うらやましくも思います。 特に印象に残った3つ。一つは、「経路依存性」。なぜ、PCのキーボードの配列は、QWERTY型なのか。これは、ゲーム理論の経路依存性からくるという紹介。次に「メカニズムデザイン」をメッセージから結果への関数とキャッチーしている件は、惚れ惚れしました。3つめは、ひきこもりを社会学から評価していた点。そのほか、ナッシュ均衡やマスキン単調性、環境エネルギー、社会モデルなど一冊にして今日本が抱える代表的な問題をあらゆる視点から評価、検証の結果を学べる本です。
Posted by
最近好きになった荻上チキさん編集、大野更紗さんも書いているということで期待して購入 「日本の難題をかたづけよう」というタイトルだが、特定の答えを与えてくれる構成ではなく「自分で考え、行動する」必要性の出てきた社会でその思考のための武器や入門知識を与えてくれる本 以下それぞれの...
最近好きになった荻上チキさん編集、大野更紗さんも書いているということで期待して購入 「日本の難題をかたづけよう」というタイトルだが、特定の答えを与えてくれる構成ではなく「自分で考え、行動する」必要性の出てきた社会でその思考のための武器や入門知識を与えてくれる本 以下それぞれの得たものついて見ていくと… 1章 マーケットデザインの話は話自体は面白かったが、少しとっつきにくく使いどころの分かりにくい武器だった 2章 データで政治を可視化する 「○○と言われている」というある種の定説をデータを基に見てみると意外に逆の結果が出たり、数値の出し方や取り方によって、結果は左右される →感情論のみもダメだが、データのみを信用し過ぎるのもダメ 3章 社会学は役に立つのか 社会学はイマイチよくわからない分野だったが、仮説→検証(データor実地)や反証→結果というプロセスは有効な思考手順(蔓延する誤解を解くプロセス) 4章 環境エネルギー社会への想像力と実践 様々なことが言われている自然エネルギーだが、固定価格買い取り制度も始まり、他国でも実践されて普通に生活されているし、日本でも飯田市や市民レベルでの屋根貸しが始まっている。 シンプルに自然エネルギーについての知識が身につく 5章 「社会モデル」へのパラダイムシフトをまなざす 「困ってる人」の大野更紗さんの章 いかに優れた制度やシステムも実際に使う人の身になってみて使いにくければそれは「ダメなもの」 上から目線ではなく、当事者(生活者)目線が大事 この章だけを読むより「困ってる人」の方がよりダイレクトにそのことが伝わる印象 終章 貧しい人々の仕事を作る ドン底からの就業はただでさえ難しい、でもその人達にもできることがあり、その人達にしかできないことはある、そこに少し踏み台(土台)を与えることでその人たちや関わる人にハッピーや希望が与えられる 第二弾あれば期待
Posted by
興味深い分野もあれば今ひとつ分からない話も。自然エネルギーに関してはビジネスモデルの話に終始していて,もう少し定量的な議論が聞きたかったような。
Posted by
日本の難題を片付けるための手法の入門編といった位置づけの本だろう。「SYNODOS」編集長の荻上チキさんが編者で若手の研究者らが、実践的な「片付ける」手がかりをかみ砕いて解説する。「こうすればいい」と声高に言わず「こういうやり方もある」と呼びかけるのは、荻上さんが常々訴える「こ...
日本の難題を片付けるための手法の入門編といった位置づけの本だろう。「SYNODOS」編集長の荻上チキさんが編者で若手の研究者らが、実践的な「片付ける」手がかりをかみ砕いて解説する。「こうすればいい」と声高に言わず「こういうやり方もある」と呼びかけるのは、荻上さんが常々訴える「こうしたほうが良いのでは」といったポジティブな提案を積み重ねる―「ポジ出し」の考えからかな。 前半の3章はわりとアカデミック。(でも、わかりやすくかみ砕いているけど)。経済、政治、社会の各分野で、今、日本には足りていない、もしくは今後の社会で重要になる知見とかを提示している。 エネルギーと福祉について語る残り2章はどちらかというと当事者よりの人のため、より実践的に「自然エネルギーによる持続可能な社会の実現」のロードマップの一例と、障碍者福祉における「社会モデル」の重要性を述べている。 まあ、大切なことは、この本だけでは終わっちゃいけないこと。そういう意味では、参考文献とかも載せててほしかった。
Posted by
「本書のタイトルは、『日本の難点をかたづけよう』。といっても、数ある難題を手当たり次第に列挙し、「これこそが答えだ(よその解決策はクズだ)」と声高に主張をする本ではありません。新しく生まれた難題を解決するためには、新しい道具が必要となる。その道具を共有することこそが、本書の役割で...
「本書のタイトルは、『日本の難点をかたづけよう』。といっても、数ある難題を手当たり次第に列挙し、「これこそが答えだ(よその解決策はクズだ)」と声高に主張をする本ではありません。新しく生まれた難題を解決するためには、新しい道具が必要となる。その道具を共有することこそが、本書の役割です。」 (荻上チキによるまえがきより) 「想像力」、「可視化」などゼロ年代あたりに流行ったキーワードが頻出。経済、政治、教育、社会保障、エネルギーについての短い考察が提示されている。これらの各専門領域を連携させえようという姿勢が良い。個人的には第3章のひきこもり研究を具体例にした社会学論と第5章の「障害」と社会保障の問題に興味があった。ここで提示された短い考察を入門として、興味があるテーマの専門書を読むといいと思う。全体的にざっくりしているので☆3つ。
Posted by
いま、すごく惹かれるタイトルだと思う。 ただ、現状で叫ばれている社会問題に対して、「こうすればいい」という直接的な内容かと思ったら、そうではない。 もっと恒久的な、問題の解決に役立つ「道具」を読者に示してくれる本だと思う。
Posted by