ゴースト・オブ・ユートピア の商品レビュー
SFの常として、なんか何言ってるんだか分からん、 日本語で頼む、的な展開がつらー、っと続いていると思っているうちにいつの間にか具体的な、というか物語っぽい展開になってきて、なんだか読んでるのか読んでないのか分からないようなトリップする瞬間が訪れたりするときに、ふと気が付くとけっ...
SFの常として、なんか何言ってるんだか分からん、 日本語で頼む、的な展開がつらー、っと続いていると思っているうちにいつの間にか具体的な、というか物語っぽい展開になってきて、なんだか読んでるのか読んでないのか分からないようなトリップする瞬間が訪れたりするときに、ふと気が付くとけっこうのめりこんでる。 というのも、表現がいちいち緻密で、しかもわけわからんモードから入ってくるとそのギャップで妙に読めてしまうというか、更にはダークな描写がけっこう頭に残ってしまって、結局何の話だったか読み終わっても良く分からんけど、意外や楽しんだ模様。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
ユートピア、アンチ・ユートピア、ディストピア小説をベースに書かれた小説集。 ユートピア=楽園であるが、ユートピアが幻想であることをわかりつつ、あえて「ゴースト・オブ・ユートピア」というタイトルを用いつつ、「いま・ここ」にある「どこにもない場所」としてユートピアを表現する。 拷問のシーンなどもあり、キツく感じるシーンもあるが、ディストピア的な、ユートピア論から離れる程、それこそがユートピアであるような堂々巡りのような感覚がなんともいえない感じを抱かせる作品。 今まで感じたことのないテイストで面白かった。
Posted by
「一九八四年」に「ガリヴァー旅行記」など文学作品10篇をモチーフに、理想郷を求める者たちと語らうことで、いまここに表出するディストピア。 時にエログロであったりしながら、いずれも中途半端に収束、ラストの「華氏451度」ではいきなり書物を巡るメディア論に展開する。 細部は衝撃...
「一九八四年」に「ガリヴァー旅行記」など文学作品10篇をモチーフに、理想郷を求める者たちと語らうことで、いまここに表出するディストピア。 時にエログロであったりしながら、いずれも中途半端に収束、ラストの「華氏451度」ではいきなり書物を巡るメディア論に展開する。 細部は衝撃的なまでに印象深いが、全体としては薄モヤに覆われてぼんやりしてるのが面白い。
Posted by
旋律のような文章が美しい、夢幻的で思想的なSF小説だった。 今年読んだ本のなかで、圧倒的なボルテージの高さと先見性を感じた作品。 あらゆる「以降」に監視され、背景を間借りすることもできない今この現実世界こそがディストピアではないか。 名だたる名作タイトルを各章に掲げ、小説を...
旋律のような文章が美しい、夢幻的で思想的なSF小説だった。 今年読んだ本のなかで、圧倒的なボルテージの高さと先見性を感じた作品。 あらゆる「以降」に監視され、背景を間借りすることもできない今この現実世界こそがディストピアではないか。 名だたる名作タイトルを各章に掲げ、小説を再構築し、確信的に照射されたこの物語は希望が絶望か。 伊藤計劃、円城塔と同年デビューというところにも、何かしらの必然性を感じずにはいられない。 すべての嗜好に麻酔を打ち込まれているような、ワンダーな読書だった。 さらばブクログ。この作品の感想をいちばん最後に書けて光栄です。 ─どうかよき読書を。そしてよりよき生を願って。─ 2040年 9月
Posted by
[関連リンク] 新刊を買う。 - なんて退屈。: http://d.hatena.ne.jp/wtnbt/20120623/1340814686
Posted by
- 1