残月あそび の商品レビュー
編集者の青山が若い頃に経験した、池田美由という作家の盗作騒ぎ。それに関わっていた営業職の宮下と、繰り上げ受賞した可奈子。鎌倉に住む、軽薄な物書きの山根。その近所で偶然会った老女。老女の語りの中の女性(老女の亡き姉)は嘘をつき続けて一生を終えたらしい。それをきかされているうち、青...
編集者の青山が若い頃に経験した、池田美由という作家の盗作騒ぎ。それに関わっていた営業職の宮下と、繰り上げ受賞した可奈子。鎌倉に住む、軽薄な物書きの山根。その近所で偶然会った老女。老女の語りの中の女性(老女の亡き姉)は嘘をつき続けて一生を終えたらしい。それをきかされているうち、青山は、この話を山根に小説として書かせたいと思い始めるが、山根との会話はいつもはぐらかされる。急に目の前に現れた可奈子の動機もどこか信用がおけない。どこまでが本当で、どこからが嘘なのか。その境目をはっきりさせることに意味はあるのか。嘘と本当とは同じものの裏とおもてではないのか。生きることとは、嘘をはらみつつ歩み消えていくことではないのか。
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村松さんのエッセイはよく読んでいます。小説はあまり読んでいないです。「残月」、夜明けになってもなお空に残る月、ありあけの月ともいいますね。早朝ウォーキングでいつも満月の後の残月を眺めています。残月あそび、なんだか雅な世界が連想されます。物語は、古都鎌倉が舞台、老女涼子が姉薄香の生き様を編集長の青山恭一郎に語りかけます。一方で良寛に惚れた作家の山根一男の人生が描かれています。何がテーマなのか、わからないまま読了に導きます。2012.6発行。1940年生まれの村松さん、72歳の作品です。
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前半期待できる滑り出しだったけど、風呂敷広げて畳めず、問いかけて解答せず、投げ掛けて拾わず。 消化不良で残念。 こういうのは余韻じゃないよなぁ。
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幽玄な景色をプロ作家が紡ぎだす世界。謎多き不思議な老嬢姉妹、出版社内の盗作騒動、書けない流行作家・・・、なんだかかび臭いピカレスクな物語。
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