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グローバリゼーションの中の江戸 の商品レビュー

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14件のお客様レビュー

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2012/11/10

 本書は、少年・少女向けの「ジュニア新書」であるが、ブクログの他の方のレビューを読んで興味を持ち、手にとってみた。  「グローバル経済」とは、現在よく語られている言葉だが、その概念についてあらためて深く考える機会はあまりないように思うが、本書は、「江戸時代」という切り口でその「グ...

 本書は、少年・少女向けの「ジュニア新書」であるが、ブクログの他の方のレビューを読んで興味を持ち、手にとってみた。  「グローバル経済」とは、現在よく語られている言葉だが、その概念についてあらためて深く考える機会はあまりないように思うが、本書は、「江戸時代」という切り口でその「グローバル経済」をわかりやすく考察している。  本書は、「グローバル経済」とは最近になってからいきなり始まったわけではなく、「大航海時代と言われる15世紀末から、世界はグローバリーゼーションに突入」し、「江戸時代は1603年に始まり、まさにその中で成立した」という。  その具体的影響の実例としてあげられている「ボタンとズボン」や「インド更紗」「文様」などの話は興味深く読めた。  また、江戸時代の「陶磁器」や「風景画」などの文化の話は、「グローバル」と結びつけるにはちょっと違和感があったが、日本が外国文化を取り込んで換骨奪胎することが当時からすでに行われていたことがよくわかる。これは日本の文化的特性なのだろうか。  しかし、「江戸時代が出現したグローバルな理由」を読むと、豊臣秀吉や山田長政をまったく評価しないなど、どうも視点に独自のイデオロギーの裏打ちというか偏りががあるようにも感じる。  著者は本書の内容以上に語りたいことがもっとあるのではないかと、読後にちょっと違和感をもった。

Posted byブクログ

2012/10/02

江戸時代は「鎖国」という通俗概念を否定し、江戸時代こそ日本がグローバルな世界の中で、平和国家として位置付けられる第一歩だったという史観で語られる内容。内容の半分は江戸時代の文化的発展と需要、もう半分は豊臣秀吉の朝鮮出兵から、アジアの中の自立した国家を目指す徳川幕府の頑張り……が語...

江戸時代は「鎖国」という通俗概念を否定し、江戸時代こそ日本がグローバルな世界の中で、平和国家として位置付けられる第一歩だったという史観で語られる内容。内容の半分は江戸時代の文化的発展と需要、もう半分は豊臣秀吉の朝鮮出兵から、アジアの中の自立した国家を目指す徳川幕府の頑張り……が語られる。 岩波ジュニア文庫といっても、内容は結構難しくて、本当にジュニア向けかと思うことが多々あるけれども、この本は別の意味で「ジュニア向けとしていいのかな?」と思った。いろいろと問題点はあると思うけれども、第一はやはり作者が歴史学者でないことが挙げられると思う。このことの何が問題かというと、物事を一面で語りすぎていて、知的発見の喜びが大きい前半に比べると、後半はちょっと同意できかねる部分が多々あった。 江戸時代が他の時代と比べて特筆するほど平和だったのは確かだし、輸入品目の国産化が日本文化を発展させたことは確かだけれども、自由貿易しなかった弊害は大きくて、日本では江戸時代に二度の大きな大飢饉が起きていることを考えれば、外国から穀物を輸入できなかった江戸幕府の体制的限界は褒められるものではなかったと思う。さらに、徳川幕府は一貫して秀吉の朝鮮侵略を「武威を示した」と称揚しているし、帝国的側面でいえば蝦夷地の開拓でロシアと一触即発の状況になっている。そもそも、そんなに徳川幕府が朝鮮や中国と仲良くしたければ、「征夷大将軍」なんて肩書きは真っ先に変えるはずだけれど。 中国にしても、中国的世界観を是とはできない(西洋的世界観を是とできないように)。冊封制度は西洋の帝国主義と同じように横暴だった。明朝だって侵略戦争はしたし、そもそも冊封制度の「世界は俺のもの」思想は、徳とは別の理屈で、その尊大さがのちに英中戦争の遠因になっている。あと、秀吉を読み書きできない人のように書いているのは、マジで語るに落ちていると思う。 中南米の銀が世界的に(日本にも)影響を与えるくだりなどは良かった。でも、結局、時代の流れの中では、国の興亡はどうしようもないことだということは解るが、だとしたら作者の史観はどうしようもなく古いものでないかと思うんだよね~。「中国の冊封は良い帝国主義」なんて本気で思ってそうなところが評価を下げている。 江戸時代のエコを語っているけれども、江戸時代はリサイクル社会ではあっても、自然についてはむしろ環境破壊社会だった。人間が牛馬のように働き、身分も固定化され、余剰人口を抱えることも難しい社会だった。そういうスタンスで語られる本も併せて読むと良いと思う。でも、作者の本業の日本文学や社会学の辺りは、知的に楽しめるものになっている。

Posted byブクログ

2012/08/26

とくに興味深かったのが「3 江戸の視覚の七不思議」。恥ずかしながら、レンズを通してみた想像の絵や遠近法や陰影法を駆使した絵など、ここまで黄表紙がおもしろいとは思ってなかった。ほか、柳田国男『木綿以前の事』から、磁器の登場が庶民に喜びを与えたことなど、江戸時代の庶民レベルにおけるグ...

とくに興味深かったのが「3 江戸の視覚の七不思議」。恥ずかしながら、レンズを通してみた想像の絵や遠近法や陰影法を駆使した絵など、ここまで黄表紙がおもしろいとは思ってなかった。ほか、柳田国男『木綿以前の事』から、磁器の登場が庶民に喜びを与えたことなど、江戸時代の庶民レベルにおけるグローバル化の具体例が紹介されている。東アジア文明圏における「徳」の価値観は物理的な世界征服を必要としないとの指摘から、江戸時代ではその「徳」の価値観が行動に、行動が結束や感化のネットワークになったとの由。挙げられている事実と結論が少し遊離しているきらいはあるし、その主張も現代的な価値観に流されているような感じもするが、それらの事実を取り上げること自体は大切な仕事だと思う。

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2012/08/13

岩波ジュニア新書717~1江戸の西洋ファッション:2江戸の茶碗とコップ:3江戸の視覚の七不思議:4江戸時代が出現したグローバルな理由~肝は4であって,1492コロンブス一行のイスパニョラ島上陸・・1510ポルトガルのゴア占領・・1511ポルトガルのマラッカ占領・・1525舟山群島...

岩波ジュニア新書717~1江戸の西洋ファッション:2江戸の茶碗とコップ:3江戸の視覚の七不思議:4江戸時代が出現したグローバルな理由~肝は4であって,1492コロンブス一行のイスパニョラ島上陸・・1510ポルトガルのゴア占領・・1511ポルトガルのマラッカ占領・・1525舟山群島にポルトガル居住区建設・・1533神屋寿禎の石見銀山灰吹き法精錬成功・・1538日本の銀輸出開始(倭冦の前後期の交替)・・1543後期倭冦による日本への鉄砲売り込み・・1560-メキシコ・ペルーで銀生産・・1575長篠の戦い(硝石輸入増大)・・1580東南アジアの和船急増・日本人町の建設・・1592・97秀吉の朝鮮半島侵略とアジア植民地計画・・1600リーフデ号事件・・1609家康が対墨通商・鉱山技師派遣をフィリピン総督に依頼・・1633-36海外渡航禁止・銅山開発・蘭東印会社専従による貿易維持・自給能力の向上計画・・・これを解説して繋げよう。種子島に鉄砲を伝えたのはポルトガル人も加わった倭冦であったといのは目から鱗

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