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中村真一郎 青春日記 の商品レビュー

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2013/08/15

中村が一高に入学直後に書き始め、16歳から20歳まで。将来の大文学者の青春の裏幕を生々しく明かしている凄い本である。それにしても読書量が凄い。日本の作家、フランス、ロシア、そして井原西鶴、古事記、竹取物語・・・。中村が自らのことを文章が下手、浅学菲才と何度も繰り返し、嘆くのが信じ...

中村が一高に入学直後に書き始め、16歳から20歳まで。将来の大文学者の青春の裏幕を生々しく明かしている凄い本である。それにしても読書量が凄い。日本の作家、フランス、ロシア、そして井原西鶴、古事記、竹取物語・・・。中村が自らのことを文章が下手、浅学菲才と何度も繰り返し、嘆くのが信じがたいような若い日々の文章。さまざまな本の書評、映画評などが楽しい。「ドストエフスキーの罪と罰」のぐんぐん押していく筆致は恐ろしい!とは、かなりの褒め言葉。そしてゴリキー「幼年時代」もぜひ読んでみたいと思わされた。そしてA.Q.なる謎の恋人?(男か女かも不明)への切々たる想いの吐露が青春を感じさせる。横光利一を絶賛(P225)しながら、最後の段階では「横光は年をとってほしくない」との言葉が出てきて、失望したように感じられるのは乗り越えたのだろうか?川端康成の評価も高い。

Posted byブクログ