平壌を飛び出した宮廷詩人 の商品レビュー
「わたしの娘を100ウォンで売ります」 「金王朝『御用詩人』の告白 わが謀略の日々」 を書いた脱北詩人の著者、張真晟が自らの脱北の経緯を書いた手記である。 「金王朝『御用詩人』の告白 わが謀略の日々」でも、その経緯は少し書いてあったが、同書では一冊かけて詳細に、そして生々しい描...
「わたしの娘を100ウォンで売ります」 「金王朝『御用詩人』の告白 わが謀略の日々」 を書いた脱北詩人の著者、張真晟が自らの脱北の経緯を書いた手記である。 「金王朝『御用詩人』の告白 わが謀略の日々」でも、その経緯は少し書いてあったが、同書では一冊かけて詳細に、そして生々しい描写で描かれている。 脱北をすることになったきっかけ、国境の近くで国境警備隊に捕まり、そこから逃げだすまでの攻防、豆満江を走って越えたとき向けられた銃口、中国で朝鮮族に助けられるも、北朝鮮の追っ手が迫り何度も危機に陥ること、韓国の教会や領事館に助けを求めても冷たく追い返された絶望・・・そして、親友の死。 私にも脱北者の知り合いがいるが、彼らは脱北の経緯を語りたがらない。それは、「話せない」だけでなく、生きるための、自由を得るための脱北で家族を見捨て、少なくない人々を騙し、多くの迷惑をかけた、そうしなければ生き延びることができなかったという彼らの罪の意識がとても大きいからだろう。そしてそんな思いを著者は、自らの手記によって明らかにしている。 その複雑な苦悩を持つ脱北者や、脱北に成功できなかった北朝鮮人、脱北の決意さえできない北朝鮮住民らについて、少しでも思いを巡らせてみてほしい。
Posted by
- 1