雪と珊瑚と の商品レビュー
赤ちゃんを抱えた若い母親が女手一つで様々な人から助けられながらカフェを開いていく物語。 途中、出来すぎのように人の善意に支えられながら、トントン拍子に開業へ向けて話は進んでいくが、同時に自身の生い立ちにまつわる人からの同情や施しに対する葛藤、他者からのむき出しの敵意も丁寧に描いて...
赤ちゃんを抱えた若い母親が女手一つで様々な人から助けられながらカフェを開いていく物語。 途中、出来すぎのように人の善意に支えられながら、トントン拍子に開業へ向けて話は進んでいくが、同時に自身の生い立ちにまつわる人からの同情や施しに対する葛藤、他者からのむき出しの敵意も丁寧に描いている。 食材や調理法に関する細かい描写や、お店や文章自体に漂う雰囲気はまあまあ好き。 2017/07
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
「西の魔女が死んだ」や「家守綺譚」でプロットがしっかりとしたインパクトのあるある人の人生を描いた作品を各一だなあと印象のあった梨木香歩さんの「雪と珊瑚と」を読了。 主人公は自信の母親からのネグレクトの経験があり、また自信はあまりに若い二人が結婚した故の行き詰まりからシングルマザーとなった21歳の珊瑚が、周りやさしい人たちに助けられながらしっかりと我が子珊瑚の子育てをしながら自らのカフェを開き頑張って行くお話だ。 人の優しさ、珊瑚を助ける修道女であった経歴のあるくららさんとの出会い、彼女と珊瑚の生き方に関するコミュニケーションがこの本の大事なお話の中心ではあるのだろうが、もう一つ大きな魅力であり人が生きる上で大事な物と描かれているのが食べるという事だ。この本のメニュー本が欲しくなるくらいに次から次においしそうでかつ凄くヘルシーな感じの料理が描かれていて、それらの料理が確実に人を幸せにしていくだろうという予感があふれている作品で、食べる事大事さを伝えている料理の数々がすばらしい描写で読者に届けれるところが凄い。 話の最後に珊瑚がはじめて言葉を話し始める下りは自分の娘のその時期の事を思い出させてくれ、歳により涙腺が緩んでいるのか電車の中で涙を落とさないようにあるのに困った心あたたまるシーンとなっている。 そんな力強いシングルマザーの素敵な生き方が描かれた作品を読むBGMに選んだのはDiana Krallの"Live in Paris"。 何度聞いてあきのこない素敵な歌声だなあ。
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レシピ欲しいなぁ 出てくるメニューの美味しそうなこと。 レシピ本、欲しいんだが。 珊瑚は那美が言うように、いい加減になれない性格だなぁ。カフェ開くモチベーションについても、疲れた働き人が元気になるようなご飯なんて大義名分掲げてるけど、その実、幼少期の食への渇望による単なる執着心だ...
レシピ欲しいなぁ 出てくるメニューの美味しそうなこと。 レシピ本、欲しいんだが。 珊瑚は那美が言うように、いい加減になれない性格だなぁ。カフェ開くモチベーションについても、疲れた働き人が元気になるようなご飯なんて大義名分掲げてるけど、その実、幼少期の食への渇望による単なる執着心だったんじゃないかとか、いろいろ自己分析してたけど、確実に半径数百メートル以内?の人々を食で幸せにしてるんだから、気にしなくていいのに。美知恵の手紙読んで、傷つくだけじゃなくていちいち内省してしまう。 そういう時はウギャーバッキャーローって叫んで、手紙破り捨てて忘れちゃえばいいのに。最終的には、合わないってことも受け入れちゃうんでしょ。不器用なんだか、強いんだか。 毎回だけど、梨木香歩さんの書くものは、大樹のように優しく。 泰司とか、珊瑚の母保子とか、虐待する母親とかの話出てくるんだけど、無責任な人たちなんだけどさ、読んでて憎めないのは、梨木さんが、ハナからそういう人たちを否定するスタンスじゃなくて、だからって受け入れもしてないけど、見守るっていうのかな。眼差しが優しいから、読んでるこっちもいつの間にか同じ目線になってるってことなんだと思う。 ラスト、雪がおいちいねぇって言ったところ、宝石姫の口からこぼれた宝石なんて、まさしくまさしく、なんてぴったりで可愛らしい表現。くららさんって、ウエスト夫人がモデル?とか、勝手にそんなイメージで読んでた。 あと、リーズナブルの意味。貴行が言ってたことと同じようなこと、ちょうど考えてた、というか、別の本の受け売りだけど。 もう少し掘り下げて考えたい。
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世界観がすき。 小学校か中学校のころ西の魔女が死んだを読んだときもなんとなく感じていた世界観だけど、 当時はそんなに惹かれなかった。 いま、休日にカフェめぐりをしたり 庭で植物を育てたりするのにはまっているから 余計にすきだなぁと思うのでしょう。
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久しぶりに梨木香歩さんの小説が読める幸せ。 シングルマザーで赤ん坊の雪を育てる珊瑚が、親友で助産婦の那美や、雪を預かってくれるくららさん、くららさんの甥らとの出会いを通して食べること 体に優しい食材 の大切さを感じ、有機野菜を使ったお惣菜カフェを始める。 くららさんが昔修道院に...
久しぶりに梨木香歩さんの小説が読める幸せ。 シングルマザーで赤ん坊の雪を育てる珊瑚が、親友で助産婦の那美や、雪を預かってくれるくららさん、くららさんの甥らとの出会いを通して食べること 体に優しい食材 の大切さを感じ、有機野菜を使ったお惣菜カフェを始める。 くららさんが昔修道院にいたという経歴が、なんだかとても梨木香歩さんらしく… 丁寧に下調べをして書き上げられた作品、という印象が彼女の作品にはどれもある。 体に染み込むような、優しくも力強い料理の数々。 変に頑固で誇り高い珊瑚。珊瑚に悪意を向ける美恵子という人の黒さ。母に放棄された珊瑚自身の思い。 やはりただの、美味しそうな、あたたかいだけのお話ではなかった。
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久しぶりの梨木香歩さんの小説。彼女の物語は、その展開というよりは、紡ぐ言葉の美しさゆえにページをめくる手が止まらなくなる。 美味しそうなたくさんの料理、お店を開くまでの結構リアルな描写、信仰について、親子について。もう一度読み返したいところがたくさんあった。 とりあえず言えるの...
久しぶりの梨木香歩さんの小説。彼女の物語は、その展開というよりは、紡ぐ言葉の美しさゆえにページをめくる手が止まらなくなる。 美味しそうなたくさんの料理、お店を開くまでの結構リアルな描写、信仰について、親子について。もう一度読み返したいところがたくさんあった。 とりあえず言えるのは、赤ちゃんの描写がすごいってことかな(笑)言葉だけで「かわいい…」ってもだえてしまった…!
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「あんたの保証ならできる」 いろいろ気になることが多くおわったけど、 それでいいような気もしちゃう美味しいお話。 自分が母だからか、親が子を信じてあげないとってセリフがすごくすとんと落ちた。 信用される子でありたいし、こどもを信用できる親でありたい。 オニオンスープ(P134)...
「あんたの保証ならできる」 いろいろ気になることが多くおわったけど、 それでいいような気もしちゃう美味しいお話。 自分が母だからか、親が子を信じてあげないとってセリフがすごくすとんと落ちた。 信用される子でありたいし、こどもを信用できる親でありたい。 オニオンスープ(P134)を作ったら夫にとっても好評だった♡
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そうか、梨木香歩さんといえば「西の魔女が死んだ」の人だった。ハーブとか野菜作りや料理の話がたくさん出てきて気が付きました。いろんな問題が提起のままで話は終わってしまったけれど、一番大事なことはすとんと心に落ちる感じで終わりました。それが大事なんだよね。
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自身は、親からのネグレクトの経験のある21歳のシングルマザー珊瑚が、周りに助けられ、子育てをしながらカフェを開く話。 カフェが軌道にのるまでの部分は、なんとも優しく、いいお話でした。 終盤、珊瑚の生い立ちが明らかになるにつれて、やるせない気持ちになりましたが、珊瑚の強さに感心し...
自身は、親からのネグレクトの経験のある21歳のシングルマザー珊瑚が、周りに助けられ、子育てをしながらカフェを開く話。 カフェが軌道にのるまでの部分は、なんとも優しく、いいお話でした。 終盤、珊瑚の生い立ちが明らかになるにつれて、やるせない気持ちになりましたが、珊瑚の強さに感心しつつ、雪と珊瑚親子を応援しながら読み進めていました。 珊瑚の一番の協力者となったくららさんが素敵です。 珊瑚のやっているカフェもとってもいい。近くだったら、絶対通うと思います。
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単に、離婚した女の人がカフェを開く、小説としては割とある話と思って読んでいたら 294ページでどかーんとひっくり返された気分です。 こんな率直な手紙ある?! もし自分がこんなもの受け取ったら、落ち込んで立ち直れないと思う。 けど珊瑚はちがって 逆にそれが、自分が朧気に自覚していた...
単に、離婚した女の人がカフェを開く、小説としては割とある話と思って読んでいたら 294ページでどかーんとひっくり返された気分です。 こんな率直な手紙ある?! もし自分がこんなもの受け取ったら、落ち込んで立ち直れないと思う。 けど珊瑚はちがって 逆にそれが、自分が朧気に自覚していた自分のエゴを具体的に言葉にしてくれたものと受け止める。 なんて強い。 これも母の力なのかなあ けれど、親がいようといまいと 配偶者と別れようとそうでなかろうと 誰かの同情や助けに全く頼らずに生きていく人なんているだろうか。
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