ゲーテのコトバ の商品レビュー
2012年に出版されたドリアン助川さんの1冊。月刊誌「GOETHE」に連載したものを加筆してまとめている。この本、ビジネス新書と書かれているので、苦手なビジネス系の本かと心配したけれど、ビジネスに限らず人が生きる上でヒントになることが書かれていた。 正直なところ、ゲーテの言...
2012年に出版されたドリアン助川さんの1冊。月刊誌「GOETHE」に連載したものを加筆してまとめている。この本、ビジネス新書と書かれているので、苦手なビジネス系の本かと心配したけれど、ビジネスに限らず人が生きる上でヒントになることが書かれていた。 正直なところ、ゲーテの言葉を抜粋されてもよく意味がわからなかった。その後に解説というよりは、それに関するエッセイが書かれてあり、明川哲也さんならではの体験や考えが面白くためになる。 ○精神が悲鳴をあげたとき、そしてその理由が長きにわたる主体性の欠如にあったとき、どうにもならない虚無が心を覆っている時、安寧を呼び込むのは、自らの幹をもう一度立て直すことだ。主体的に企て、意志を持って働きかけるその過程だ。これを行為と呼ぶ。自らの企画なら、小さな旅でもいい。誰も興味を示さない地味な町村を巡る旅であろうと、あなた自身の感性がそちらに触れたのなら、そこを歩むべきである。与えられた道ではなく、選んだ道を、一歩一歩、味わっていくことが、生きる実感の、裸の姿である。 ○金を払うのは、その人が他人にしてもらったことに感謝をした時だけだ。(略)畑で働いてもいないのに、スーパーで新鮮な野菜を手にすることができた時など。ところがここ十数年、この大原則が崩れたかのようだ。金は記号になり、デジタル信号になった。結果、私たちが陥ったのは、価値という言葉の衰退と崩壊である。混迷の時代だからこそ、原則に戻るべきではないか。どうすれば金になるかと考えるから、人は皆迷う。原則通り、どうすれば人に喜んでもらえるだろうかと考えるなら、少なくとも行為において、私たちは迷い人にならずに済む 「行為において、迷い人にならずに済む」というところ、感服しました! ○膨大な量の翻訳作業を続けていた。作者が、たどり着いた境地… ひたすら黒子に徹する翻訳者の立場を経験したことで、自分らしさを問う小賢しさのようなものが、なぜか見えてきた。これまでの私は、私にこだわるあまり、私という領域から出られない、実に小さなペンの握り方をしてきたのではないか。 ○再生を必要とする季節に差し掛かったと思うなら、何を得るかということと同じだけ、何を捨てるかということも考えた方が良いだろう。 「アメリカ原住民の多くは、部族で何かを取り決める時、その決定が七代先にまで及ぼす影響を話し合ったという」と書かれていた。 毎日、買い物に行くたびに物価がどんどん上がり生活に不安を感じ、異常になっていく気象、大気、地震の予感、溢れかえるゴミ問題、もう手に負えない徒労感で、子供やそのまた子供・・の行く末はどうなるのかと恐怖を感じる。 そんな中で生きる上でのヒントを、この本からいただけたように思う。
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もう一度読んで心に落とし込みたい。手元に置いて時々めくりたい一冊。 ●意思の力で成功しないような場合には、好機の到来を待つほかない。 ・何事にもバイオリズムがある。待つという姿勢は、行うということと等しく重要。 ●一つ所に執着するな。元気よく思いきって、元気よく出でよ!頭と腕に...
もう一度読んで心に落とし込みたい。手元に置いて時々めくりたい一冊。 ●意思の力で成功しないような場合には、好機の到来を待つほかない。 ・何事にもバイオリズムがある。待つという姿勢は、行うということと等しく重要。 ●一つ所に執着するな。元気よく思いきって、元気よく出でよ!頭と腕に快活な力があれば、どこに行ってもうちにいるようなもの。太陽を楽しめば、どんな心配もなくなる。この世の中で気晴らしするように。世界はこんなに広い。 ・所有の執着を脱した者が、逆にとてつもないものを手に入れてしまうことがある。世界と自分とは不可分だという感覚。世界と自分「区別する者は、欠乏の恐怖からやたらなにものかを手に入れたがる。だが、世界とは自分なのだという認識があれば、何も手に入れる必要はない。初めからあたえられているのだから。 ●肉体に疲労があるように、精神にももちろんそれはある。肉体ならマッサージやゆっくりと休むことでエネルギーを取り戻せるが、精神が悲鳴を上げた場合、そしてその理由が長きにわたる主体性 の欠如であった時、リフレッシュ休暇どころではどうにもならなき虚無が心を覆っている。そんな時に安寧を呼び込むのは、自らの幹をもう一度立て直すことだ。主体性的に企て、意思を持って働きかけるその過程だ。このこういによってのみ、私たちは自由な精神を取り戻せる。小さな旅でもいい。あなたの感性がそちらに触れたのなら。そこを歩むべきである。与えられた道ではなく、選んだ道を一歩一歩味わっていくことが、生きる実感の裸の姿である。
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明川哲也名義のものを久々に読みました。 ゲーテの言葉がありがたいのではなく、それをもとに紡ぎ出される明川さんの物語が素晴らしいのです。
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雑誌「GOETHE」の連載を読み、欲しくなって買った。ゲーテの言葉一つ一つに刺激を貰えた。人生の最後まで創作活動を続けたゲーテの生き方や言葉が参考になった。
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