終点のあの子 の商品レビュー
自分の過去を覗かれたような気分になる そんな妙な生々しさがある物語でした。 柚木麻子さんの作品は結構読んできたけど デビュー作のこれはまさかの初読。 「ふたりでいるのに無言で読書」が好き。 夏休みが終わったら、恭子が元のグループに戻っていくあたりがリアル。 高校卒業して、同級...
自分の過去を覗かれたような気分になる そんな妙な生々しさがある物語でした。 柚木麻子さんの作品は結構読んできたけど デビュー作のこれはまさかの初読。 「ふたりでいるのに無言で読書」が好き。 夏休みが終わったら、恭子が元のグループに戻っていくあたりがリアル。 高校卒業して、同級生の目とか気にならないくらい大人になった二人が再会して親友になる未来があったらいいのになぁ。
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各章の主人公である女子高生が見る周りの風景や人物が、物語が絡み合っているからこそ、人によって様々で、こんなにも見る側の立場や環境によって左右されるんだなあ、とあらためて感じた。 1章2章は、思春期特有の自分を特別だと思いたい感情に共感した。1章でお母さんが主人公に味方してくれた...
各章の主人公である女子高生が見る周りの風景や人物が、物語が絡み合っているからこそ、人によって様々で、こんなにも見る側の立場や環境によって左右されるんだなあ、とあらためて感じた。 1章2章は、思春期特有の自分を特別だと思いたい感情に共感した。1章でお母さんが主人公に味方してくれたのはなんか親の愛感じてよかったな。親と子は似てるってことなんかもしれんけど。 1番好きなのは3章。友達っていつから選べなくなるんだっけって気持ちにさせられた。恭子と早智子は、きっと感性がすごく近いところにあったのに、今までの経験とか周りの友達とか(主に恭子)がどうしても合わなくて、人目のない夏休み期間だけしか仲良くできなかった。人目なんて気にしない方がいいに決まってるけど、気にしすぎるのはもう性格だから、それも込みで「堂々と」仲良くできる、付き合える相手が、本当に相性のいい相手になっちゃうのかな。恭子と早智子がお互いに思っている不満も合わないと思うところも、それぞれ的を得ているけど、言葉を選んで指摘することがまだできない関係性(年齢もあるかも)だから、結局それ以上踏み込めないままなんやろうな。 最後まで朱里のことは好きになれなかったけど、4章でちゃんと周りから蔑まれて、杉ちゃんという親友から突き放されて、自分のことが見え始めた感じがした。あと、美咲ちゃんが唯一大学のどこにでもいる感のある女子だった。
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お下がりの本。 うーん、良かった。久しぶりに本に熱中してしまった。私の母校もお嬢様女子校で、女子校的なグループなどはないと思っていたけれど、こうやって振り返ってみると、当時もヒエラルキーみたいなものはあって、自分はそれに属さないタイプだったのかもしれないな。朱里ほど目立ちはしない...
お下がりの本。 うーん、良かった。久しぶりに本に熱中してしまった。私の母校もお嬢様女子校で、女子校的なグループなどはないと思っていたけれど、こうやって振り返ってみると、当時もヒエラルキーみたいなものはあって、自分はそれに属さないタイプだったのかもしれないな。朱里ほど目立ちはしないけれど、保田さんほど達観もしていない、オタクサブカルガリ勉の、平凡な女子高生だったのかも。
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※このレビューにはネタバレを含みます
フォーゲットミー、ノットブルー 立花希代子 世田谷にあるプロテスタント系の私立女子校。 森ちゃん 希代子と同じクラス。 瑠璃子 卒業生。美大の大学院に通う。二十七歳。 名村洋子 担任。世界史担当。三十代半ばで独身。 秋川雅美 出席番号一番。希代子とは中学一年のときも同じクラスだった。 奥沢朱里 高校からの入学。 仁科 希代子の隣の席。とても気がつきやすい。 美樹 中等部から一緒。 えどやん 中等部から一緒。 星野 秀才組。 保田幸子 内部生。目と目が離れた猫背で太めな女の子で、靴下をたるませ、のしのしと蟹股で歩く。 奥沢エイジ 朱里の父。写真家。 メイコ 奥沢エイジの恋人。モデル。 希代子の母 美恵子。目黒通りでインテリアショップの店長をしている。 希代子の父 商社のシンクタンクに勤める。ドバイに赴任。 恭子 高校入学組。クラスで堂々と振る舞っている。学年で一、二を争う美人。大学生の恋人がいる。 たあくん 恭子の彼氏。 カトノリ サブカル好き。 高木 美術の先生。 綾乃 恭子のグループ。 瀬川 学年主任。五十代の古典担当の女性教師。 甘夏 森奈津子 中高一貫校の私立女子校に入学して三年強。市民プール「オンネッティ」でアルバイトを始める。 一樹 奈津子の弟。 伊達 奈津子のバイト先のマネージャー。 ミッツー 光野。奈津子の隣のクラス。環七通りのガソリンスタンドでバイトしている。 吉沢 清掃のおばさん。 佐久間 市民プールのアルバイト。大学生。 島田 市民プールのアルバイト。大学生。 ふたりでいるのに無言で読書 菊池恭子 第一志望の世田谷の有名私立のお嬢様校に進学。卓也と付き合ってた。家は「おしゃれ帝国 クリーニング・キクチ」を経営。 卓也 恭子の彼氏。 岩田洋二 恭子が中学二年から付き合ってた。卒業と同時に別れた。 保田早智子 高校では漫画研究部に入っている。ウインナー指。 早智子の父 大学教授。六十代。 早智子の母 百科事典の編集の仕事をしている。 山下美加 恭子と同じグループ。ウインナー指の名付け親。 楠木卓也 恭子の姉と同じ大学のテニスサークル。姉の一年後輩。 内田美佐子 保田と仲が良い漫研部員。 オイスターベイビー 奥沢朱里 高校を卒業して四年が経過しようとしている。 杉ちゃん 朱里の親友。 田島淳之介 朱里が二年から付き合ってるクラスメイト。 山村 淳之介の親友。パッケージデザイン会社のプランナーに内定。 松田美咲 デザイン科。 島根明人 朱里と同じクラス。 瑠璃子 高校のOG。十五歳の朱里に美大進学を勧めてくれた恩人。四年前、留学していたベルリンから帰国し、有名な広告デザイナーの西門と結婚。 浩輔 瑠璃子の子ども。 キタムラカナコ 卒業生で、三十代のアクセサリーショップオーナー兼デザイナー。
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何年も前から工事が続く駅。永遠に終わらないかのように見え、すっきりとした完成形が想像できないその情景は、常に発展途上である、人物それぞれと重なる。 どんな自分でありたいのか。どんな自分として人から見られたいのか。 中等部からの内部生である希代子。高等部から、有名な写真家...
何年も前から工事が続く駅。永遠に終わらないかのように見え、すっきりとした完成形が想像できないその情景は、常に発展途上である、人物それぞれと重なる。 どんな自分でありたいのか。どんな自分として人から見られたいのか。 中等部からの内部生である希代子。高等部から、有名な写真家を父に持つ朱里が入学してくる。希代子は朱里の奔放な行動に魅かれる。急速に親しくなっていく二人だったが、朱里のノートに書かれていた希代子に対する言葉を見てしまったことで一変する。 他の3編は、もともと希代子と親しかった森ちゃん、クラスで目立つ存在の大人っぽい恭子さんとサブカル好きの保田さん、大学生になった朱里の物語。視点が変わるとそれぞれがいろいろな思いを抱えていることや、思いがけない面を持っていることに気づかされる。 希代子にとっては、時々学校をさぼって「急行片瀬江ノ島行き」に乗り、ひとりで海を眺めるのだと言う朱里が、自由できらきらしているように思えた。でも、きっとその海は「フォーゲットミー ノット」の青だったんだろうなと思った。
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お嬢様学校の女子高生達の、三遍の高校時代と卒業後の一編の連作短編集。 同じ時間の三遍は、クラスの中を別の少女の目線から描くので、女子高生を俯瞰して読めます。 それぞれ少しずつ無理をしながら、学校に溶け込もうとしている。その無理した部分で摩擦がおきる友人関係。 青くて痛くて脆いけど...
お嬢様学校の女子高生達の、三遍の高校時代と卒業後の一編の連作短編集。 同じ時間の三遍は、クラスの中を別の少女の目線から描くので、女子高生を俯瞰して読めます。 それぞれ少しずつ無理をしながら、学校に溶け込もうとしている。その無理した部分で摩擦がおきる友人関係。 青くて痛くて脆いけど、思いの外、彼女たちの強さがあります。 ちょっとした女子の持ち物や所属するグループで彼女たちの立ち位置を。関東圏の各私鉄路線の雰囲気で彼女たちの家庭を 上手くイメージさせています。
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四篇からなる連作短編集。 中高一貫のプロテスタント系女子高を舞台にしたもので、高校一年生の同じクラスの色々な人物が主人公となっていくので、様々な視点から一つのクラスを眺めているようで立体感があって楽しかった。 短編四つのうち三つは同じ時間軸だけど、最後の一つはその四年後、大学四年...
四篇からなる連作短編集。 中高一貫のプロテスタント系女子高を舞台にしたもので、高校一年生の同じクラスの色々な人物が主人公となっていくので、様々な視点から一つのクラスを眺めているようで立体感があって楽しかった。 短編四つのうち三つは同じ時間軸だけど、最後の一つはその四年後、大学四年の時のストーリー。 私も中高一貫の女子校に中学から通っていたため、女子同士の憧れや嫉妬やその他色々混ざった複雑な気持ちがよく描かれているのが分かるし、当時を思い出したりした。 色々なグループに属するそれぞれの女の子の心の内というのが主軸なので、ちょっと苦しいような切ないような気持ちになったり、共感したり。。 朱里のその後や希代子の大学生活も気になる。
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女の子同士の恋愛があると聞いて買いました。表現描写が上手いと感じました。でも好きな作家に比べると物足りない。なので星は3つです。でも読み返すくらいは好きかな。
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女子校ならではの雰囲気や、女子たちの感情がわかりやすく表現されていた。 友人関係はちょっとしたことで崩れ、ふとした拍子に戻る。 登場人物の感情のぶつかりあいに、どこか懐かしさも感じた。
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女子高生が持つ、みずみずしくてどこか淡々とした雰囲気がひしひしと伝わる。 女子高生という言葉は、明るくて、眩しくて、でも儚いような響きを持ち、放課後にわいわいと戯れる、どこか能天気な彼女たちの姿を思い浮かべることは容易である。 本作で描かれるのは、空想やステレオタイプの中の女子高...
女子高生が持つ、みずみずしくてどこか淡々とした雰囲気がひしひしと伝わる。 女子高生という言葉は、明るくて、眩しくて、でも儚いような響きを持ち、放課後にわいわいと戯れる、どこか能天気な彼女たちの姿を思い浮かべることは容易である。 本作で描かれるのは、空想やステレオタイプの中の女子高生ではなく、もっとリアリティのある、でも物語として整った女の子たちの日常。
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