君が降る日 の商品レビュー

島本理生【著】

2013/01/15

「冬の動物園」と「野ばら」がよかった。
自分の気持ちに正直な、不器用な主人公がいい。
島本理生の書く話はDVとか虐待とかよく出てくるけど、それはそれでいいけど、男の子と女の子の自然な時間の経過が書かれたものがすごくすきだ。

2012/12/16

島本理生特有の閉塞感がひしひしと伝わってくる。逃げようと思えば逃げられるのに、それをしないでひたすら追いつめられて苦しくなって…っていう、苦しさがどんどん迫ってくる。こういう閉塞感を描くのがほんと素敵うまいなあ。
島本理生の物語は苦しいのに心地いいのはなんでだろうといつも思うけど、文章がきらきらしているかんじがするからかなあ。

2012/11/28

生協の平積みになってて思わず買ってしまった一冊。
あんまり島本さんの本は読んだことなかったけど、この人のタッチ嫌いじゃない。
秋の夜長の、ちょっとアンニュイな時のおともには悪くないかも。
電車で立ち読み、より夜一人で紅茶飲みながら読む雰囲気かな。

2018/05/21

▼収録作品

「君が降る日」
「冬の動物園」
「野ばら」

「野ばら」が一番好き。谷川俊太郎さんの詩がこのお話の切なさをいっそう際立たせている。

2012/09/29

「君が降る日」はせつない。

「冬の動物園」は少女漫画かとツッコミ入れたくなる展開。

「野ばら」は男女の友情を描いている。途中から引き込まれる。

2012/09/22

忘れることと覚えていることは、どちらの方が簡単で、どちらの方が苦しくて、どちらの方が価値のあることなんだろう。
手を引いて連れ出してくれる人と、ここに居ていいよと言ってくれる人は、どちらの方がやさしい人なのだろう。

併録の「野ばら」がよりお勧め。恋は結局、始まらなかった。だからこそ、この思いは私たち自身のように、行き場をなくしてしまった。

2012/09/16

表題作、「君が降る日」はわたしが思う「島本理生らしさ」全開のお話だった．

恋人を事故で亡くした主人公と、その事故を起こした恋人の友人．

そんな間柄のふたりの関係が親密になるというのは、現実ではあまりありえないんじゃないかと思うんだけど、恋人の友人が抱えていた過去とどうしようもない孤独感にふれてしまった（知らされてしまった？）主人公は、その彼に哀れみだったり憎しみだったり、一周回って愛しさだったり、をもって彼と関係していくんである．

人の脆さとか弱さ、それに過敏に反応してしまう類の人間について、この人はとても上手に描いてゆくなあといつも思う．
（それゆえにだいたいどの話も主人公やその相手、友人の役割が似てきてるというのはあるけれど）

どうしようもない閉塞的な関係にふたりは落ちていくんだけれど、でも最後には光が見えるような話．何かを失い手放して、何かを得ようとする、みたいな．

「君が降る日」のほかに2編の短編も収められていて、そのひとつ「野ばら」というお話が私は一等すきでした．

裏表紙にもあるけれど、「恋人になるよりも友達でいることの難しさ」、この話はこの一言に尽きると思う．

主人公の女の子は幼い．恋に恋しているような雰囲気で、話の途中で思わぬ行動に出る彼女の妹よりも、きっと精神的に幼い．
それに対して「友達だった」男の子は、大人だった．年の離れた彼の兄よりも強く、大人だった．

だから「友達」として一緒にいても彼だけが感じていた、知っていた痛みを、女の子は自分が大人になってようやく初めて気づく．

2012/07/26

恋愛短編集、3編。

「野ばら」が良かったです。友達と恋人の狭間の物語。女性視点の一人称だけれど、男性視点がとても強い。男から女が未知なように、女から男も未知なんだな。

私はあなたに恋し あなたはそれを笑いとばし
いっしょにカラオケを歌いにいき
そうして私たちは友だちになった
「あなたはそこに」谷川俊太郎

2012/07/23

島本理生、1983年生まれ、好きになりそう。

－－－
恋人の隆一を事故で亡くした志保。祖オン車を運転していた隆一の親友・五十嵐。彼に冷たく接する志保だったが、同じ哀しみを抱える者同士、惹かれ合っていく「君が降る日」。結婚目前にふられた女性と年下の男との恋「冬の動物園」。恋人よりも友達になることの難しさと切なさを綴った「野ばら」。恋の始まりと別れの予感を描いた三編を収録した恋愛小説。

2012/06/26

恋人が亡くなった時のどうしようもない感じに過去の感情が溢れ出してきて少し文章から離れないと引きずり込まれそうだった。