岩波講座 計算科学(別巻) の商品レビュー
主に数値シミュレーションを行う研究者、学生向けに書かれた本。もしくは、スパコンを設計する人向け。計算科学について基礎的な内容から記述されており、初学者が体系的に学ぶことができる構成となっています。 アカデミックな要素が強い一冊ですが、1章「コンピュータの基本原理」の内容は、情報...
主に数値シミュレーションを行う研究者、学生向けに書かれた本。もしくは、スパコンを設計する人向け。計算科学について基礎的な内容から記述されており、初学者が体系的に学ぶことができる構成となっています。 アカデミックな要素が強い一冊ですが、1章「コンピュータの基本原理」の内容は、情報処理技術者試験の応用情報技術者の「コンピュータシステム」分野で問われる内容と被っています。応用情報技術者試験は国内の多くのITエンジニアが受験する資格試験ですが、そこで問われるような基礎知識から始まる点でも、入りやすい本といえます。 3章ではマルチスレッドプログラミングの解説があります。openmp の指示行ベースでの並列化についても書かれていますが、これは普通の企業エンジニアでも使う人がいそうですね。 また、最終章の4章では、エクサスケールスパコン(京コンピュータの約100倍の性能)の開発に向けた課題が書かれており、この章の執筆は東工大TSUBAME設計リーダの松岡教授が手がけています。松岡先生ならではの先見性のある視点から記述されており、今後のスパコン動向を知るための背景知識として有用な知見を得られる章だと思います。
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