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プロメテウスの罠 の商品レビュー

3.8

55件のお客様レビュー

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2012/05/02

民間企業の社長は、従業員に「死んでくれ」とは言えないし言ってはいけない。その意味で「撤退などあり得ませんから」という菅元総理の言葉は、強力な踏み絵だ。原発に何かあった時には、スタッフの人命は優先されないという前例が出来たが、関電の社長にその覚悟はあるのだろうか?

Posted byブクログ

2012/04/27
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

あとちょっと…を残して放置プレ~だったのを、先ほど読了。 終盤では特に「『あの時』政府の中枢や東電は何をしていたのか」が、当時関わった人の証言で検証されていて、『今だから、知ることのできる』事実に、嘆息の連続。 それでもきっと、明かされているのは、ごく一部なのでしょうけれど…。 東京電力福島第一原子力発電所の事故は、今も(本当は)収束していない状況と思われますゆえ、この本においても、最後まで読んでも「何も、終わっていない」という印象です。 朝日新聞では、今も連載が続いているようですし、数ヵ月後には続編が発刊されると思われます。 首都圏では、日常会話から、あの事故を語る回数が減っていると思います。 まだ何も、解決しておらず、今後何十年も覚悟を決めて向き合わなければならない事態でありながら…。 でも実際、私も「いま、この話をしたら相手は嫌がるだろうな…」と空気を読んで、口をつぐむことが多いです。 こうしているうちに、自分の感覚からも遠くなる…という、それだけは、絶対に避けなければ…と思います。 何も出来なくとも『考える』ということまでやめてしまっては、あの時、すべてを放棄して撤退しようと考えていた(らしい)あの会社と同じになってしまう…。 重い気持ちになったとしても、未来に向けての『責任』からは、逃げてはいけないのです。

Posted byブクログ

2012/04/19

朝日新聞・特別報道部の成果。なかでも、後にNHK・Eテレ「ネットワークでつくる放射能汚染地図」へと結実する苦悩と困難な歩みを丁寧にトレースした、第二章「研究者の辞表」は出色の出来。調査報道の真髄。

Posted byブクログ

2012/04/15

原発事故はまだまだ終わっていない。 朝日新聞のコラムを書籍化。 内部被爆を広島・チェルノブイリの例も交え詳しく解説。 政府側の対応を時系列で客観的に実名で記載。 このコラムで今後どう事態が好転するのか、否か、またみてゆきたい。 20年後、30年後の日本人に見届けて欲しい一冊。

Posted byブクログ

2012/04/14

客観的な視点で原発事故について、物語的に書かれている。特に第六章「官邸の5日間」は必読だ。刻一刻を争う未曾有の事故に対応する政府の様子がありありと描写されている。

Posted byブクログ

2012/06/24

震災後の官邸の対応のまずさ、原発周辺に住む方々の想い、今後恐れられる内部被ばくのことなどを知り、停止中の原発稼働について反対の意見により傾きました。

Posted byブクログ

2012/04/12

放射能を測定に行こうとして厚労省管轄の職場から圧力をかけられ、辞表を出して現場に向かった科学者。長年続けた放射能観測を福島後の高レベルが続く最中予算を切ってしまう文科省。「混乱を招く」と放射能の分析結果の論文掲載を認めない気象研。「不安を招くから」と内部被ばくを測ってくれない検査...

放射能を測定に行こうとして厚労省管轄の職場から圧力をかけられ、辞表を出して現場に向かった科学者。長年続けた放射能観測を福島後の高レベルが続く最中予算を切ってしまう文科省。「混乱を招く」と放射能の分析結果の論文掲載を認めない気象研。「不安を招くから」と内部被ばくを測ってくれない検査期間…感動させられる一般の人達の話、こんな国だったのか?と驚く話、などなどまだ未解決の話満載です。

Posted byブクログ

2012/04/01

福島原発事故のドキュメンタリー。いかに行政と対策本部が機能しなかったかというルポは一杯出ていますがこの本では実際高放射能域に放置された住民や放射能拡散についての論文掲載を上司から止められた気象研究所職員、など当事者の目線でまとめています。情報が交錯するからという理由で職員の放射線...

福島原発事故のドキュメンタリー。いかに行政と対策本部が機能しなかったかというルポは一杯出ていますがこの本では実際高放射能域に放置された住民や放射能拡散についての論文掲載を上司から止められた気象研究所職員、など当事者の目線でまとめています。情報が交錯するからという理由で職員の放射線計測を止める。ビキニ環礁での核実験以来57年継続してきた放射線観測予算を原発事故直後に削減する…など驚きの事実が。

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2012/03/27
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

SPEEDIは意図的に隠されたのだろう。首相に隠匿して、米軍には情報を流す。酷い話だ。 政府から止められて警官が線量が高いことを住民に伝えられない…日本ってそんな国だったんですね(@@;) 「誰もいない道を走ってごらんって。そうすれば、自分のしでかしたことの大きさを感じられるからって」 国も東電も自分たちのしでかしたことの大きさは最初から知っていたんですよ。だから隠したし、責任逃れしたんですよ。 しかも管元首相に全部責任転嫁か…おそろしい…。彼も被害者ですな。 ネイチャー掲載の取り消しって…酷すぎる。これスポーツ選手でいうと、金メダル確実のオリンピック出場禁止のレベル。 第六章の「 総理に助言すべき組織が機能せず、当事者意識が欠如していた。組織の都合が優先され、必要な知識を持った人間が役職にいなかった。」 結局これに尽きるのだろう。そしてこの問題はこの国の基本的な問題点である。医療も年金も外交もすべてそんな印象だ。

Posted byブクログ

2012/03/26

不確定性の強い事象に対する強靭な組織を構築できていなかったことにつきる。HROの構築に全力をあげていかねばならないだろう。 興味があるあるのは、官僚機構の不全が、民主党政権が信頼性を壊したからなのか、それとも制度疲労によって機能不全に陥っていたのか?ということ。前者であれば、故意...

不確定性の強い事象に対する強靭な組織を構築できていなかったことにつきる。HROの構築に全力をあげていかねばならないだろう。 興味があるあるのは、官僚機構の不全が、民主党政権が信頼性を壊したからなのか、それとも制度疲労によって機能不全に陥っていたのか?ということ。前者であれば、故意にサボタージュしたという批判を受けかねず、国家を預かる専門家の集団としては許し難い。後者であれば、組織上の課題の洗い出しと検証が急がれる。 いずれにしても、危機管理が重視されるようになった2000年以降、初めて政府が直面した危機であり、その対応に失敗したということ。様々な企業や組織が危機管理に失敗してきた状態を監督官庁が指導してきながら、自分たちの組織には目を向けていなかったことに、失敗の主因があるように思われる。 最後に、本書の帯には「政府、官僚、東電の罪をあばく」とあるが、マスメディアには、全く罪は無いという書きぶりが気になりました。

Posted byブクログ