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プロメテウスの罠 の商品レビュー

3.8

55件のお客様レビュー

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2013/02/17

いまや朝日新聞の〝看板〟ともいえる連載シリーズをまとめた本。現在、本としては3冊目が出ている。その一冊目。(なぜか関連会社の朝日新聞出版からではなく学研が出している) 本1冊に6つの連載がまとめられている。出来不出来の差はあるが、1冊目には勢いを感じる。『防護服の男』『官邸の5日...

いまや朝日新聞の〝看板〟ともいえる連載シリーズをまとめた本。現在、本としては3冊目が出ている。その一冊目。(なぜか関連会社の朝日新聞出版からではなく学研が出している) 本1冊に6つの連載がまとめられている。出来不出来の差はあるが、1冊目には勢いを感じる。『防護服の男』『官邸の5日間』あたりが緊迫感があった。日本の話ではないが、『学長の逮捕』が個人的には好み。 日本の報道姿勢に手厳しい、ニューヨーク・タイムズのマーティン・ファクラー支局長もこの連載には好意的だ。(連載開始の遅さも指摘していたが) 朝日新聞の特報部という存在も面白いが、他の部(政治とか社会)とその姿勢が乖離しているような気がして、購読者としてはちょっとちぐはぐな感じを受ける。

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2013/02/10

現在も朝日新聞紙上で続く、福島第一原発事故とそれが引き起こした放射能汚染に迫ったルポルタージュの書籍化第一弾。 まあとにかく全てのエピソードでやりきれない憤りを禁じ得ない。 特に第一章の「防護服の男」、浪江町赤宇木地区に8月まで留まった三瓶ヤスコさんが文部科学省の作業員に言われた...

現在も朝日新聞紙上で続く、福島第一原発事故とそれが引き起こした放射能汚染に迫ったルポルタージュの書籍化第一弾。 まあとにかく全てのエピソードでやりきれない憤りを禁じ得ない。 特に第一章の「防護服の男」、浪江町赤宇木地区に8月まで留まった三瓶ヤスコさんが文部科学省の作業員に言われたというこの言葉は衝撃的。 「今だからいうけど、ここは初め100マイクロシーベルトを超していたんだ。そのときは言えなかった。すまなかった」

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2013/01/24

福島原発の事故の当時 関係者が研究者が何を考えどう動いたか朝日新聞が取材連載した記事。 類似書がいくつもあるが、多くの当事者へのインタビューを基に真実がみえてくる。当事者の能力や立ち居振る舞いがどうだったというより、やはり想定していなかったということの罪の重さがみえる。 しかし...

福島原発の事故の当時 関係者が研究者が何を考えどう動いたか朝日新聞が取材連載した記事。 類似書がいくつもあるが、多くの当事者へのインタビューを基に真実がみえてくる。当事者の能力や立ち居振る舞いがどうだったというより、やはり想定していなかったということの罪の重さがみえる。 しかし不測の事態を想定するということが官僚機構が最も不得意とするところだろう。ではだれが想定するべきなのか、自分の身は自分で守るしかないと思った。 危機管理の在り方を考えるに絶好の本。

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2013/01/25

国の「お偉いさん」たちと、福島で苦しんでいる人は、表面上は同じ「人」でも、違うんだな。 国の「お偉いさん」たちの作る社会で生きていく以上、その社会にとって都合のいいルールに従わなければならないけれど、頭の中だけは自由でありたい。 研究者、学者という仕事は本当に大変だな。 特に...

国の「お偉いさん」たちと、福島で苦しんでいる人は、表面上は同じ「人」でも、違うんだな。 国の「お偉いさん」たちの作る社会で生きていく以上、その社会にとって都合のいいルールに従わなければならないけれど、頭の中だけは自由でありたい。 研究者、学者という仕事は本当に大変だな。 特に、民間ではなく国から研究費などをもらってると、国を批判するデータは出せないもんな。 それでも、己の誇りにかけ、予算を削られても自分の研究を正しいと主張できる研究者の話を読むと、沈まぬ太陽の恩地一を思い出す。 自分には出来ない。

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2012/12/29

原発事故の裏側で、我々が日常的に「国」と呼んでいる政府(官邸)や官僚機構がどのように動いていたかに光を当てた報道連載。特にSPEEDIがなぜ避難に活用されなかったのか、東電の本店と現場の危機感の違いなどを読んでいて、そもそもに普段からのコミュニケーション不足も大きく今回の事故の拡...

原発事故の裏側で、我々が日常的に「国」と呼んでいる政府(官邸)や官僚機構がどのように動いていたかに光を当てた報道連載。特にSPEEDIがなぜ避難に活用されなかったのか、東電の本店と現場の危機感の違いなどを読んでいて、そもそもに普段からのコミュニケーション不足も大きく今回の事故の拡大に作用したのではないかと感じた。

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2012/12/23

 各々の視点に立って原発事故についてまとめたドキュメンタリー。  当時の緊迫感があまり伝わってこないのは残念。原発事故以外に津波や地震によって大きな問題が起こっているのに、この影響を排除したのは謎。(別に悪いという意味ではありません)

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2012/11/09

いざという時に、純粋な判断ができるか。やるべきこと、諦めるべきこと。 原発事故が起きました。 被害者たちの現実と、やるべきことをやろうとした人たちと判断ができず、諦めることができなかった人たちとの戦いが書かれています。 放射能は専門知識がないと、理解が難しいし、どう対処してい...

いざという時に、純粋な判断ができるか。やるべきこと、諦めるべきこと。 原発事故が起きました。 被害者たちの現実と、やるべきことをやろうとした人たちと判断ができず、諦めることができなかった人たちとの戦いが書かれています。 放射能は専門知識がないと、理解が難しいし、どう対処していいかもわからない。何が真実かはわからない。でも、事実はある。事実を受け止めて、やるべきことをやりなさい。個人として、組織として、国として。自分の欲は捨て、できるだけ多くのために。 一人の命と大勢の命は比べられないが、大勢の贅沢と一人の命は比べられるのではないか、と私は思う。 人為的被害や、私欲やおごりによる被害拡大は非常に腹立たしい

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2012/10/20

史上最悪の放射能汚染は、なぜ起こったのか? 研究者の辞表、観測中止令、無主物の責任、官邸の5日間…。官僚・政治・東電の罪を問う。 2012年度石橋湛山記念ジャーナリスト賞。新聞協会賞も受賞し、今も朝日新聞朝刊に連載継続中だが、本書に限っては後から証言を集めたばかりでイマイチ迫力...

史上最悪の放射能汚染は、なぜ起こったのか? 研究者の辞表、観測中止令、無主物の責任、官邸の5日間…。官僚・政治・東電の罪を問う。 2012年度石橋湛山記念ジャーナリスト賞。新聞協会賞も受賞し、今も朝日新聞朝刊に連載継続中だが、本書に限っては後から証言を集めたばかりでイマイチ迫力不足(第6章「官邸の5日間」以外は)。それでも秀逸だったのは、原子力安全・保安院がSPEEDIを使って正確な放射能拡散予測をしていたのに、その事実を菅総理は朝日新聞のこの連載を読んで初めて知り激怒した、という笑えない喜劇。また発生直後の政府の発表に、戦時中の大本営発表と同じ匂いをかぎ取った人も多かったという。東電批判とともに、連載自体が裏返しのマスコミ批判になっているのかもしれない。 (C)

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2012/10/02

 朝日新聞で連載していたのを不定期に読んでいた。連載当初はかなりショッキングな内容だったと思ったが、今改めて読み返してみると、あまり驚かない。当時いかに情報が少なかったのかがわかる。  特に官邸での事故対応のドタバタは、こわい。と同時にちょっと笑える(不謹慎かもしれないけど)。 ...

 朝日新聞で連載していたのを不定期に読んでいた。連載当初はかなりショッキングな内容だったと思ったが、今改めて読み返してみると、あまり驚かない。当時いかに情報が少なかったのかがわかる。  特に官邸での事故対応のドタバタは、こわい。と同時にちょっと笑える(不謹慎かもしれないけど)。 本書に書かれていることがすべてを表しているということはないと思うし、間違いもあるかもしれないけど、ただ言えることは、こういった複数の人間が物事を為す時、絶対的に必要となることは”情報”だということかな。 判断が間違っていた、いやあっていた。といってもそれは後から出てくる話。その時々にいかに精一杯考えて結論を出したかが重要だと思う。そのためには正しい情報を的確にインプットされたか。が大事だと思う。

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2012/09/27

(図書館に入ってます)  みんなは政府っていと、すごく頭のいい官僚や、決断する政治家の集まりだと思っているかもしれないね。でもこの本を読むと、そんな思い込みがひっくり返される。  東京電力・福島第一発電所の事故のとき、首相の菅直人や経産大臣、官房長官は、情報もない、携帯電話すら...

(図書館に入ってます)  みんなは政府っていと、すごく頭のいい官僚や、決断する政治家の集まりだと思っているかもしれないね。でもこの本を読むと、そんな思い込みがひっくり返される。  東京電力・福島第一発電所の事故のとき、首相の菅直人や経産大臣、官房長官は、情報もない、携帯電話すら通じない「オペレーションルーム」で、東電社員と怒鳴りあっていた。原発の図面さえどこからも来ず、福島原発に行ったことのある原子力安全委員長が記憶を頼りに、「たしか建物のどこかに、冷却のためのディーゼル発電機が増設してあったような……」とか言っている間に、原発が爆発してしまう。  その情報も、テレビからしか入ってこない。  まだある。こんな非常事態には「SPEEDI」という放射能の拡散予測システムが動くことになっていたのだが、経産省も文部省も、システムが存在すること自体、わざと首相に知らせなかった。それで、大量の放射能が降った飯舘村の人々の避難が遅れてしまった。飯舘村に放射能が降ることは、事前にわかっていたのに……!  「プロメテウスの罠」は、朝日新聞の連載を本にしたもので、今も連載されている。他の記事は、「経産省によると」とか、「事情通によれば」など、誰が言ったかはっきりしない書き方をしているのだが、それをやめて、政治家も官僚も、すべて実名で登場して、失敗や手抜きを指摘される。だから政府関係者にとっては、「プロメテウスの罠」が一番怖いとも言う。ということは、一番うまく権力を監視しているということでもある。  さて、プロメテウスというのは、ギリシャ神話に登場する人物のこと。彼は神のもとから「火」を奪い、人間のもとに届けた。そのために、人は食べ物を煮炊きすることを覚えて、今のようになった。核・原子力また、神の領域から届いた「第二の火」なのかもしれない。この火は大量の電気を造るけれども、どこにも捨てられない核のゴミも生み出し、福島事故を引き起こした。どうしたら私たちは、この「罠」から脱け出すことができるのだろうか。(A.O/非常勤)

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