エムブリヲ奇譚 の商品レビュー
名義をいくつも持っている作家はあまり好きではないのですが そういう理屈抜きで「面白い!」と思える作品集でした。 ありきたりと思わせないストーリー展開を いくつも用意しているところはさすがだと思います。 すでに続刊が出ていますが、今後のシリーズ化を期待したいです。
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家の近所の図書館には山白朝子さんの本が置いておらず、機会があれば読みたいなぁと思っていました。たまたま別の図書館に行く機会があり、発見。 さすが!というか、王道という感じがしました。安定して面白かったです。読後感としては、蟲師を読んだときに近いと感じました。不思議で、妖しくて、...
家の近所の図書館には山白朝子さんの本が置いておらず、機会があれば読みたいなぁと思っていました。たまたま別の図書館に行く機会があり、発見。 さすが!というか、王道という感じがしました。安定して面白かったです。読後感としては、蟲師を読んだときに近いと感じました。不思議で、妖しくて、物哀しい。 グロテスクな表現もあるのできっと好みは分かれるでしょうが、わたしはこういうの大好きです。 (´・ω・`) ココカラネタバレアリ〼 知ってる人も多いですが、山白朝子さんは乙一さんです。本作も乙一さんだなーと思いながら読んでいました。 エンブリヲ(エンブリオ)とは胎児のことだと知らずに読み始めたのですが、なるほど本の装丁もよく見たら気味が悪い。(もちろん良い意味で。)ひとつひとつの物語のモチーフが描かれていたんですね。栞も3本の細い糸で、とても雰囲気のある本です。 どれも印象深く、好きな話でしたが、なかでもいくつかを。 【〆】 不気味でした。全て等しく命なのに、食べ物としてではなく生命として意識してしまうと、もう何も食べられなくなってしまうような気がします。 【顔無し峠】 死んだはずの人によく似た人が故郷にやってきて、みんなから大歓迎される…という流れが、マジェスティックという映画に似ている気がしました。(とても素敵な映画です。)村を旅立つ前夜、やゑが「本当はわかっていた」と言うシーンは切なかった。 【地獄】 全てのページに「蛆虫」という単語があるのでは?と思う程にその言葉が出てきて、読みながら身体中がぞわぞわしました。逃げられない場所に監禁されて、生かされる…というところ、The BOOKを思い出しました。こういう容赦のないお話も良いですね。 【「さあ、行こう」と少年が言った】 希望のある、素敵な話でした。 乙一さんの、人がいじめられる描写は淡々としていて、腸が煮えくりかえるようなひどいことをされているのに、どこか客観的に見られるというか、読んでいて不思議な気持ちになります。 なんかたくさん書きすぎてしまった(´・ω・`)
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知られざる温泉や古刹を求めて、旅本作者・和泉蠟庵は諸国を訪ね歩くが、予定通りに目的地へ着いた試しはない。その理由は蠟庵の凄まじい迷い癖。仲間とともに辿り着くのは、極楽の温泉かこの世の地獄か。 乙一の山白朝子名では2作目。かつての「黒乙一」の系譜なのだろうけど、本作は切なさに磨き...
知られざる温泉や古刹を求めて、旅本作者・和泉蠟庵は諸国を訪ね歩くが、予定通りに目的地へ着いた試しはない。その理由は蠟庵の凄まじい迷い癖。仲間とともに辿り着くのは、極楽の温泉かこの世の地獄か。 乙一の山白朝子名では2作目。かつての「黒乙一」の系譜なのだろうけど、本作は切なさに磨きがかかったうえ、残虐さもユーモアも兼ね備えている連作短編集だった。読むそばから忘れるライトノベルには違いないが、このタッチは乙一らしい。 (B)
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この本をリビングに置いておいたら、主人に「それ、表紙怖すぎ!」と言われました。 じゃあ中身も? と思うかもしれませんが、ホラーではあるものの、そんなに怖くありません。 どれももっとおどろおどろしくできたかもしれないのに、それをセーブしているような印象を受けました。 中でも、「ラピ...
この本をリビングに置いておいたら、主人に「それ、表紙怖すぎ!」と言われました。 じゃあ中身も? と思うかもしれませんが、ホラーではあるものの、そんなに怖くありません。 どれももっとおどろおどろしくできたかもしれないのに、それをセーブしているような印象を受けました。 中でも、「ラピスラズリ幻想」が一番好きです。 一番やさしいお話だからです。 ちなみに本書の著者は乙一氏の別ペンネームとのこと。 通りで、端々にやさしさがにじみ出ていると思った!
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連作短編9つ。ひどい迷い癖を持つ和泉蠟庵と旅する耳彦。旅先で不思議なできごとに巻き込まれる。 装丁が話の雰囲気に合ってます。栞の紐が3色の細い紐で珍しい。 ラストの『「さあ、行こう」と少年が言った』で蠟庵の出生の秘密が語られています。 『〆』はラストで、だからこのタイトルな...
連作短編9つ。ひどい迷い癖を持つ和泉蠟庵と旅する耳彦。旅先で不思議なできごとに巻き込まれる。 装丁が話の雰囲気に合ってます。栞の紐が3色の細い紐で珍しい。 ラストの『「さあ、行こう」と少年が言った』で蠟庵の出生の秘密が語られています。 『〆』はラストで、だからこのタイトルなのかと納得。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
胎児の姿のまま生きる子供。 何度も生まれ変わる少女。 自分とそっくり同じ別人の人生。 …とても奇妙な、不思議に味わい深い話ばかりだった。 人間臭さが無性に愛おしくなるお伽話のような雰囲気で、作中に出てくる「生きていくことの尊さ」という言葉がまさしくストンと最後に胸に落ちる。 装丁が凝っていて良い感じだけど、栞紐が細くて長くてちょっと使いづらい。どうせだから、作中の話に合わせて糸は全部黒にして5,6本くらい付け、女の遺髪が絡んだように見せてくれたら、鳥肌が立つかもしれない。 いや、やっぱりそこまでいくといろいろ駄目か。
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迷い癖のある旅本作家、和泉蝋庵が旅先で出会った不思議な話の数々。 童話のようなほんのりした気持ちになる話、ゾッとする話、目を背けたくなるような話など様々だが、怪談というには怖くない切ない話が多く、作中に出て来るラピスラズリのように深い輝きを放っている。中核となるストーリーはそれほ...
迷い癖のある旅本作家、和泉蝋庵が旅先で出会った不思議な話の数々。 童話のようなほんのりした気持ちになる話、ゾッとする話、目を背けたくなるような話など様々だが、怪談というには怖くない切ない話が多く、作中に出て来るラピスラズリのように深い輝きを放っている。中核となるストーリーはそれほど傑出しているわけではないと思うのだが、文章がうまいのか妙に物語の中に引き込まれた。 装丁もよくて、普段は装丁はあまり気にかけない方だが、この本は電書より紙をめくりながら少しずつ読むのが合っていると思った。
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本の続きがすごく気になってどんどん読んでしまった。短編で物足りないというのを聞くが十分でむしろこうしてくれた方が自分は好きです。不思議に本に吸い込まれていくような感じがしました。ラピスラズリ幻想は特に好きです。自分が読んできた中でもこれはオススメできるという本です(^_^)
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大好きだけどやっぱり短編は物足りない…! アークノア読んでからこれ読んだからかな… しかしながら乙一らしくグロくて切なくてでも人の温かさが端々に感じられる一冊。 ラストの1話が好き。
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さすが、乙一。 怖い話もあるが、どの話も切ない。 特に、「ラピスラズリ幻想」は、何度読んでも胸を締め付けられる。
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