はじめて学ぶ社会言語学 の商品レビュー
「ことば」をネット上で集める方法や、それを分析する手順も紹介されており、研究したくなったら自宅でもできそうに思えるところが画期的だ。 読んで興味を持ったのは、話し手がその言葉づかいで話したのは何によるものか、といった部分。 何処で誰に何を に限らず、自分のルーツや現在所属...
「ことば」をネット上で集める方法や、それを分析する手順も紹介されており、研究したくなったら自宅でもできそうに思えるところが画期的だ。 読んで興味を持ったのは、話し手がその言葉づかいで話したのは何によるものか、といった部分。 何処で誰に何を に限らず、自分のルーツや現在所属するグループ、そしてどう見られたいか、といったこともすべて関係するらしい。 言葉とは語源通り、発した人の本質が耳に聞こえる形となって現れたものなのだろう。
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言葉というのは、幅広い。ある単語1つとっても世代によって違う意味の捕らえ方になる。今回の本が取り上げている「やばい」もいい例だ。『やばい』の語源は、牢獄を意味する単語『厄場』だと推定されると書かれている。使っていた地域は、上方(今の京都・大阪)だった。『やば』も近世になってから使われるようになったともある。使っていた人は盗人たち、つまり隠語だった。悪い言葉ほど人々を魅了して使われ続け今に至る。あの「シカト」も任侠用語だったのに今では、業界のみならず一般でも幅広く使われている。 「やばい」の意味は、悪いことを形容するはずだったのに、今では「すごい、かっこいい、」と言うように良い意味で使う人たちが出てきた。特に10代、20代で目立つ。しかも「やばくない?」と語尾を上げて使う人が多い。意味が変化し、他の形容詞を就職するようになった現象を、著書では「意味の漂白化」としている。なかなか強力な漂白剤だな。 言葉の年代差の違いとしてカナダ英語の事例を挙げている。「ソファ」を指す言葉に世代差があると書かれていたので興味がわいてきたので読み進めた。年配の世代は、chesterfieldと言った人が多数を占める。その一方でアメリカ英語のcouchを使う人が40代だと約50パーセントになり、30代以下になるとcouchが多数派を占めるという結果になった。アメリカの影響が大きいことを示す一例だ。 そのほかにもいろいろな事例を用いて、言葉について論じている。言葉で気になるのは、「ギャル語」だな。ブックオフで以前「ギャル語辞典」を見たことがある。発行年度は10年ぐらい前だと思う。今のギャルにとっては「超古典」になる。2000年代のギャル語はどのように変化していったのか誰か調べて、新書に出してくれないかな。出たら買うのに。
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